ロボット支援下冠動脈バイパス術

診療科 心臓血管外科
英語術式名 Ra-CABG(Robotically assisted coronary artery bypass grafting)
保険適用
適応 冠動脈狭窄症

術式の概要

ここで掲載している動画は、実際の手術映像となります。このような動画や写真で、気分が悪くなる可能性のある方は、お気をつけください。
冠動脈狭窄症とは、心臓を栄養する冠動脈に徐々に沈着したコレステロールなどが血管の内腔を狭める状態で、狭窄が進行すると血管を流れる血液量が減少して、十分な酸素や栄養素を心筋に供給できなくなり、胸痛や胸部圧迫感が出現します。放置すると心筋梗塞に繋がります。
実際に狭いところや詰まっているところを治療するにはカテーテル治療と手術(冠動脈バイパス術)の2つの方法があります。カテーテルでうまく直せる場合はカテーテル治療が良いですが、カテーテル治療が難しい場合や手術のほうが優れている場合があります。また、長期的な生命予後は冠動脈バイパス術が優れています。冠動脈バイパス術とは、冠動脈の狭窄・閉塞部の先に血液の流れるルートを新たに作ります(吻合)。このためには、心臓以外のところから血管を採取することが必要です。
ロボット支援下の手術では、胸壁の裏側を走っている内胸動脈を、ロボットを用いて採取し、この内胸動脈と左前下行枝という冠動脈との吻合を直視下で通常通り行います。創部は胸の真ん中を切るのではなく左前胸部に7-10cmの小切開ですみ、術後の痛みが軽減され、早期退院・早期社会復帰が可能となります。



長所・患者のメリット

ロボット支援により、内胸動脈の採取が従来よりも正確で綿密にできるようになります。胸の真ん中を切るのではなく左前胸部に7-10cmの小切開を置くだけで冠動脈バイパス術が可能となり、術後の痛みが軽減され、早期退院、早期社会復帰が可能となります。

当科の特徴

当科では、心臓手術をできるだけ体の負担が少なくできるように工夫してきました。大動脈瘤に対するステントグラフトを用いた血管内治療や大動脈弁狭窄症に対するTAVI(タビ手術)などもいち早く取り入れました。平成23年から小切開手術にも取り組んでおります。ロボット支援下の弁手術は平成31年から僧帽弁形成術を中心に積極的に行っており、中国地方でロボット支援下の心臓手術を行っている施設は鳥取大学だけです。