治療

1.てんかん

点頭てんかんにはビガバトリンが有効であり、日本でも承認されています。それ以外のてんかんに関しては、一般のてんかん治療と同様に、発作型に応じて薬剤が選択されます。難治性てんかんの一部に対してはてんかん手術療法も行われます。詳細な発作評価と検査にて手術適応を決定します。

 

2.脳腫瘍(上衣下巨細胞性星細胞腫、SEGA)

拡大しているSEGAに対して、手術による摘出やエベロリムス内服治療が行われる。場合によっては、エベロリムス内服治療後に腫瘍縮小が得られてから手術による腫瘍の摘出を行います。脳神経外科医とそれぞれの治療法のリスクと効果を考慮して選択します。

 

3.腎血管筋脂肪腫(AML)

AMLが小さく無症状のうちは、定期的に画像検査をしながら経過観察します。一般的なAMLの場合、増大して4cmを超えれば経カテーテル動脈塞栓術(TAE)を施行します。しかし結節性硬化症に伴うAMLの場合、もう少し小さい3cmを基準にして、それ以上であればTAEやエベロリムス内服治療、外科的腫瘍摘出術、腎部分切除術を行う場合もあります。出血した場合には、緊急的な手術が必要となる場合があります。治療方針の決定は泌尿器科、腎臓内科、放射線科などの関連診療科と相談して行います。

腫瘍径<3~4cm 自覚症状なし:年1回の画像検査
自覚症状あり:治療を検討
腫瘍径≧3~4cm 自覚症状あり:治療を検討
自覚症状なし:6ヶ月毎の画像検査をしつつ治療を検討
腫瘍増大傾向あり、出血の危険性が高い 治療を検討

 

4.知的障害・精神神経症状

適切な養育環境の調整(接する大人の障害理解)が主であり、必要に応じて行動療法や薬物療法を行います。

 

5.皮膚症状

積極的な治療の適応となることは少ない。整容的問題から、レーザー治療や液体窒素療法、切除術が行われます。

 

6.心臓症状

心横紋筋腫瘍による重度の血流障害、心不全、不整脈を認めた場合は、強心薬、利尿薬、抗不整脈による薬物治療を行います。また、稀ではありますが、これら原因により生命を脅かすような症状を来した場合には、腫瘍の外科的切除術を行います。

7.肺リンパ脈管平滑筋腫症(pulmonary lymphangioleiomyomatosis, LAM)

初期は無症状のことが多いですが、進行すると動作時呼吸困難の増悪、気胸の反復を呈し、増悪して死亡に至ることがあります。胸部レントゲンやCT、肺機能検査で診断します。シロリムスの内服治療ができるようになりました。呼吸困難に対して、気管支拡張薬の投与や酸素吸入などが必要になることがあります。気胸に対してはドレナージなどの治療を行いますが、手術が必要とする場合もあります。
また、内科的な治療が無効の場合には肺移植が考慮されます。