病院長あいさつ
鳥取大学医学部附属病院のホームページをご覧いただきありがとうございます。病院長の武中篤でございます。
令和5年4月に病院長を拝命し、このたび、令和7年4月から2期目を務めさせていただくことになりました。2期目の病院長就任にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
我が国の人口は平成20年をピークに、その後17年間、減少の一途をたどっています。新型コロナ感染症による人々の行動変容も相まって、日本の社会構造は次のステップに入ったといっても過言ではありません。医療においても同様に大きな変革が求められています。当院は今後どうあるべきなのか、真剣に考えなければなりません。
当院のルーツは、明治26年に創設された鳥取県立病院米子支部病院で、その後130年の間、地域の皆様に愛され、発展を遂げてまいりました。我々は、今後も地域医療の最後の砦として立ち止まることなく前進し続ける使命があると考えています。
新たな取り組み
この2年間で新たに取り組んだ活動をご紹介いたします。
診療面では、潰瘍性大腸炎・クローン病センター、児童・思春期精神科病床、脳卒中・心臓病等総合支援センター、鳥取大学ロボット手術研修開発センター『ToRSC(トルシー)』などを開設し、社会のニーズに対応できる先進的医療の推進に努めております。
運営面では、入退院患者さんの医療安全に配慮したペイシェントフローマネジメントセンター、入院患者さんの情報を一元的に把握する病棟マネジメントセンターの開設、さらに、外来患者さん支援アプリ『とりりんりん』のフルバージョンアップ、医療費後払いシステム『待たずにラク~だ』、地域医療連携を推進する患者紹介システム『トリップ』・『トリラポ』や地域病院間カルテ共有化システム『トリカル』の導入など、これらの施策を通じて医療DX化の推進にも取り組んでまいりました。
2つのスローガン
当院の理念「地域と歩む高度医療の実践」のもと、2つのスローガンを掲げています。
1つ目は「地域自慢のOur hospitalとなる」。軽症の患者さんには地域のかかりつけ医を受診いただくことを推奨しています。そのうえで、地域医療の最後の砦として、当院が存在することを認識していただければ、それが住民の皆様の安心につながるのではないかと考えます。そのためにも住民の皆様に当院をよく知っていただくことが重要と考え『病院サポーター制度』を開始しました。この制度では、ボランティア活動、病院モニター、広報支援、イベント支援などの病院運営をサポートすることにより、とりだい病院を「Our hospital」と体感していただくことを目的としています。現在、約250名の方に登録していただいており、今年度も更に多くの方に登録をお願いできればと考えています。
2つ目は「医療のエコ活動の推進」です。先に述べた時代の転換期において、多くの病院ではこれまでと同様の医療サービスを提供することが難しくなっています。前例にとらわれず、どうすれば地域に安定した医療体制を維持することができるかを、みんなで考えていかなければなりません。
無駄を省き、あらゆる医療資源(人材を含む)の有効活用を目指す。当院では、これを「医療のエコ活動」と称し、推進してまいります。例えば、会議削減やDX化による書類削減、院内LED照明化、医療機器の長寿命化などの施策を既に実施しています。また、患者さんも協力できるエコ活動として、前述の医療費後払いシステム『待たずにラク~だ』を導入しました。このシステムでは、患者さんは診察後、会計を待たずにただちに帰宅できるため、時間の短縮化、待ち時間のストレス軽減につながります。また、職員は患者さんの帰宅後に精算業務を行うことができるため、仕事の平準化とピーク時の負担軽減につながるという利点があります。これも、人材という医療資源を効率活用するエコ活動の一環だと考えられます。
今後も職員や地域の皆様と一緒に、この「医療のエコ活動」を推進していきたいと思います。
新病院整備
当院では、2029年の着工を目指し、新病院整備の基本計画を策定中です。
「とりだい病院は未来の理想病院を作ります」をキャッチフレーズに、
1. 人の温かさとDXを両立するスマートホスピタル
2. 公園と一体化し地域のランドマークとなる病院
3. 自然と調和した病院
4. 最後の砦としての有事対応ができる病院
を目指します。
新病院は、地域に開かれた共創拠点としての役割を果たすべきと考えています。米子市や鳥取県との連携、そして地域の皆様のご理解があってはじめて、このプロジェクトを進めることができます。今後、積極的に情報公開を行い、多くのステークホルダーの皆様と準備を進めてまいりたいと考えています。何卒ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
最後に、当院が将来にわたり「地域と歩む高度医療の実践」の場となれるよう、引き続きご支援とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
令和7年4月
鳥取大学医学部附属病院長 武中 篤