がんセンター
鳥取大学医学部附属病院がんセンターでは、県がん診療連携拠点病院として高いがん医療体制を確保し、地域がん診療連携拠点病院をはじめとする地域医療機関との連携を図るとともに最新の情報や研修の場を提供し、さらにはがん薬物療法専門医をはじめとするがんの専門職の育成することを目指している。平成27年10月より化学療法に関連する業務を化学療法センターで、緩和ケアに関連する業務を緩和ケアセンターで対応していた。令和3年度からは包括的ながん医療が提供できるよう組織改編を行い、がんセンター、化学療法センター、緩和ケアセンターを統合して、がんセンターとしてスタートする。
1.化学療法
化学療法レジメンの審査委員会や外来化学療法室の運営など、その整備と充実に関する業務を化学療法センターで行った。がんセンターでは、化学療法センターと連携を行い、適切な化学療法の運用・提供を行った。化学療法に関する内容の詳細は、化学療法センターの項目に記載している。
2.緩和ケア
多職種からなる緩和ケアチームの活動などの業務は緩和ケアセンターで行った。がんセンターでは、緩和ケアセンターと連携して、緩和ケアを必要とする患者に対して適切な医療を提供した。緩和ケアに関する内容の詳細は、緩和ケアセンターの項目に記載している。
3.がん登録
がん診療連携拠点病院においては、院内がん登録の推進は必須である。事務員3名で登録作業を実施。平成20年8月より、症例抽出・データ入力・登録を事務が行い、各診療科は確認作業のみを行っている。登録状況を表1に示す。鳥取県院内がん登録情報センターを開設している。
4.地域連携
がん診療連携協議会の事務局を担当している。令和2年度は、拠点病院間の意見交換を目的としたがん診療連携協議会を2回(7月、3月)、県内医療従事者の研修と情報交換を目的とした鳥取県がん研修会を1回(1月)開催した。
5.教育・研究支援
公開教育セミナーを主催している。令和2年度には院内講師による鳥取大学医学部附属病院がんセミナーを5回、外部講師を招いた公開セミナーを1回開催した。
学生教育では、医学科4年次の臨床腫瘍学、生命科学科2年次の基礎腫瘍学の講義担当を行った。
6.患者相談支援
患者支援のために、医療福祉支援センターと協力してがん相談室(がん相談支援センター)を開設している。令和2年度の相談対応件数は743件(電話191件、面談549件、その他3件)であった。
また、がん患者サロン(さくらサロン)を運営して患者のサポートを行っている。令和2年度は、オンラインさくらサロンを2回、子育て世代のがん患者サロン「さくらカフェ」を3回、さくらサロン作品展を2回開催した。さくらサロン通信「さくらだより」Vol.1~10を発行した。
7.リンパ浮腫外来
日本リンパドレナージ協会の講習を修了したセラピスト5名が交代で週2回(木金)にリンパ浮腫外来を行っている。乳癌や婦人科癌で術後にリンパ浮腫を発症するリスクのある人、また発症した人に対してリンパドレナージを施術する他、患者さん自身がドレナージを行うための指導、ストッキングやスリーブなど弾性着衣の着脱に対する指導などを行っている。令和2年度の延べ患者数は444人であった。完全予約制で私費診療である。
執筆 大山賢治