緩和ケアセンター

がん診療においては、診断早期から適切な緩和ケアの提供により生活の質の改善のみならず、延命効果もあることが報告されている。がん患者さんを中心に、診断早期から治療と並行して、体と心の痛みを和らげるための医療を提供している。入院患者を中心に緩和ケアを提供している緩和ケアチームでの活動に加え、外来患者に対する緩和ケアの提供を行っている。平成30年度診療報酬改定で末期心不全が緩和ケア適応疾患に加わり、心不全患者に対する緩和ケアの提供も行っている。令和3年度からは包括的ながん医療が提供できるよう組織改編が行われ、がんセンターの一部門としてスタートする。

1.緩和ケアチーム

消化器内科、呼吸器内科、麻酔科、精神科の医師と、がん看護専門看護師、緩和ケア認定看護師、薬剤師、臨床心理士、歯科衛生士、管理栄養士による多職種で緩和ケアチームを構成している。カンファレンスを木曜日、回診を金曜日に実施し、患者の苦痛を全人的苦痛としてあらゆる角度からアセスメントし、各専門的見解を以て患者の症状緩和に努めている。緩和ケアチーム依頼件数の年度推移、令和元2年度診療科別依頼件数、令和2年度依頼内容割合、を以下に示す。

2.緩和ケア外来

がんを患う外来通院中の患者さん、他の医療機関から紹介を受けた患者さんを対象に、体の痛みやだるさ、気持ちのつらさなどに対する診療を行っている。月曜日、水曜日、金曜日の午後に、第二中央診療棟二階のがんセンター内の診察室で完全予約制での診察を行っている。

3.教育・研究支援

医師を対象とした緩和ケア研修(PEACE研修)を令和3年1月に開催(参加者17名)した。鳥取大学医学部附属病院がんセミナーを通じて緩和ケアに関連する講演を行った。中海緩和研究会および米子緩和ケア研究会に参加して、地域の医療従事者との情報交換を行った。

学生教育では、医学科6年次の臨床医学特論2、医学科4年次の臨床腫瘍学、生命科学科2年次の基礎腫瘍学において緩和ケアに関する講義を行った。

今後も研修会や学生講義を通じて、緩和ケア診療の啓蒙と普及を行う予定である。

執筆 大山賢治