頭頸部診療科群(耳鼻咽喉科・頭頸部外科) 概要
診療内容
頭頸部癌に罹られた患者さんにとって最適な治療を
「頭頸部」とは、鎖骨より上にある脳と眼球を除いた部位の総称であり、そこに生じる悪性腫瘍を頭頸部癌と呼びます。当科では、頭頸部癌の診断から治療、経過観察まで、一貫して対応しています。対象疾患には、口腔癌(舌癌)、咽頭癌、喉頭癌、鼻腔癌、甲状腺癌などが含まれます。
頭頸部は、食べる、話す、聞く、嗅ぐといった生活に欠かせない重要な機能を担う臓器の集合体です。そのため、癌の根治性(きちんと治すこと)を維持しつつ機能を温存することが、頭頸部癌治療において重要な課題となります。治療方針の決定に際しては、病期の進行度だけでなく、患者様ごとの社会的・精神的な背景も考慮し、可能な限り多くの要素を満たす形での治療を提供することが求められます。
手術に加え、放射線治療やがん薬物療法、光免疫療法などを組み合わせることで、患者様にとって最適な治療を提案していきます。
頭頸部癌に対する内視鏡手術(ロボット手術)
2013年1月より、当科では手術ロボットを用いた経口的咽喉頭癌切除術を導入しました。この手術は、ロボットを口から挿入し、のどの癌を切除する方法であり、嚥下(飲み込み)機能や発声機能を温存できるという大きな利点があります。
現在、中咽頭癌・下咽頭癌・声門上癌の早期癌に対して施行しており、2022年4月からは保険適用となり、症例数を順調に積み重ねています。
詳細は、鳥取大学医学部附属病院低侵襲外科センターHPをご参照ください。
頭頸部癌に対する光免疫療法
2021年より光免疫療法を導入しました。手術、放射線治療、がん薬物療法などの標準治療の適応とならない患者様を対象としています。この治療は、これまで治療を諦めざるを得なかった進行・再発癌の患者様にとって、新たな希望となる可能性があります。
ナビゲーションシステムや術中CTなど最新の設備を併用し、安全かつ効果的な治療を提供しています。
人工聴覚器取り扱い施設
平成15年3月に山陰で初めての人工内耳挿入術を施行し、現在100件を超えました。その他人工中耳や軟骨伝導補聴器といった新しい人工聴覚器も取り扱っており、最適な聴覚活用が行える環境を整えるべく、診療にあたっています。
摂食・嚥下(えんげ)とは・・・水や食べ物などを口から胃まで送る一連の運動
一般的に年齢を重ねるにつれて、嚥下機能は低下していきます。その他にも脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、パーキンソン病や多系統委縮症などの変性疾患、胸部大動脈瘤などの循環器疾患といったさまざまなものが嚥下障害の原因となります。嚥下外来では、実際に喉の状態を内視鏡で診察したり(VE:内視鏡下嚥下機能検査)、X線での検査(VF:嚥下造影検査)を行うなど、嚥下機能の評価を行います。また、嚥下改善術や誤嚥防止術などの手術治療を行います。
詳細は、嚥下外来のHPをご参照下さい。
声帯麻痺に対する治療
反回神経麻痺のため声帯が動かなくなると声がかすれます。声帯を声を出すときと同じ位置に移動させる手術(甲状軟骨形成術、披裂軟骨内転術)を行うと、声のかすれが改善します。
米国睡眠学会,日本睡眠学会認定の基準を満たす睡眠検査システム設置

- 睡眠検査(PSG,MSLT)の実施
- 睡眠検査の監視と視察判定
- NPPVの呼吸器の手動調整
- 認定技師の養成
鼻副鼻腔疾患について当科での取り組み
鼻閉や鼻漏、嗅覚障害といった鼻の症状は、日常生活に大きな影響を与えることが多い疾患です。特にアレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎など、難治性疾患の診療に力を入れています。
詳細は、鼻副鼻腔疾患 をご参照下さい。
専門分野
■頭頸部悪性腫瘍に対する治療
■頭頸部内視鏡手術(ロボット手術)
■人工内耳を含めた難聴に対する治療
■嚥下障害に対する評価と外科的治療(嚥下改善術、誤嚥防止術)
■睡眠時無呼吸症候群に対する治療
■鼻副鼻腔内視鏡手術
■中耳手術
■音声手術
特徴的技術
● 鏡視下手術(頭頸部・耳・鼻)
● 人工内耳治療
● 睡眠時無呼吸検査システム
● 経口的ロボット支援手術
● プロボックス
● 光免疫治療
特徴的な医療機器等
- エラストグラフ超音波装置
- CO2レーザー装置
- 音声分析装置
- 終夜睡眠時無呼吸検査システム
- 高解像度マノメトリー
- ダヴィンチサージカルシステム(手術支援ロボット)
- 3D外視鏡システム(ORBEYE)