鼻副鼻腔疾患
鼻副鼻腔疾患について当科での取り組み
鼻閉や鼻漏、嗅覚障害といった鼻の症状は、日常生活に大きな影響を与えることが多い疾患です。特にアレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎など、難治性疾患の診療に力を入れています。
検査・診断の流れ
症状の原因を正確に特定するため、当科では以下のような精密検査を組み合わせて診断を行い、患者さんに最も適した治療方針を立てています。
- 鼻腔内視鏡検査:鼻副鼻腔を細いカメラで詳細に観察します。
- 鼻腔通気度検査:鼻づまりの程度を数値化して評価します。
- CT検査:副鼻腔の立体構造や病変を確認します。
- 嗅覚検査:嗅覚障害の原因や程度を調べます。
- アレルギー検査:少量の血液でアレルギーの原因物質を最大39項目まで評価できます。
治療方法について
内視鏡下鼻副鼻腔手術
- 難治性アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、鼻副鼻腔良性腫瘍への手術治療
薬物治療では治療が難しい患者さんへ適応しています。からだへの負担を最小限に抑えながら高い改善効果が期待できる手術方法です。 - マイクロデブリッター(シェーバー)の使用
手術支援機器のひとつです。腫れた粘膜などを効率的に除去でき、手術時間の短縮に繋がります。 - ナビゲーションシステムの導入
術中に鼻の構造をリアルタイムで確認しながら安全に手術を進める最新技術です。この技術により、周辺地域の病院では対応が難しい再発性の難治性副鼻腔炎や鼻副鼻腔良性腫瘍に対しても拡大内視鏡手術を行い、より効果的な治療が可能です。
生物学的製剤を用いた薬物治療
- 好酸球性副鼻腔炎(指定難病)や鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に対する最新治療
特殊な注射薬を用いた治療法です。従来の治療で十分な効果が得られなかった患者さんにも新たな選択肢となります。
他科との連携治療
当科では、他診療科と連携して治療も行っています。
- 脳神経外科との合同手術
鼻腔を通じて脳腫瘍の手術を行う「経鼻的手術」を実施しています。この方法は、鼻腔内からアプローチすることで、従来の手術よりも患者さんの負担を軽減します。
- 眼科との連携手術
涙の通り道が詰まる慢性涙嚢炎に対し、涙の流れを改善する「涙嚢鼻腔吻合術」を行っています。この手術により、涙の排出を正常化し、目脂の症状を改善して患者さんの日常生活を快適にします。
当科を受診される患者さんへメッセージ
当科では最新の治療法や技術を積極的に取り入れ、患者さん一人ひとりに寄り添った診療を心がけています。それぞれの症状や生活背景に合わせた治療を行い、鼻疾患による不快な症状を改善することで、患者さんの生活の質を向上させることを目指しています。鼻の病気でお困りの際は、どうぞお気軽に当科へご相談ください。