神経線維腫症1型アドバイザリーボード
神経線維腫症1型とは
- 神経線維腫症1型はNF1遺伝子の異常によって生じる常染色体顕性の遺伝性の疾患です(出生約1/3,000の割合で発症します)
- 皮膚、中枢神経系、骨など様々な臓器に病変を生じますが、症状には個人差があり、年齢により出現する症状は異なります
- 約20-30%に叢状(そうじょう)神経線維腫を合併するとされています
- 2022年に根治切除不能な叢状神経線維腫を合併した小児(3-18歳)に対してMEK阻害薬が本邦で承認されています
- 当院では、必要に応じて関連する診療科(ボードメンバー)でカンファレンスを行い、治療方針を決定いたします
神経線維腫症1型アドバイザリーボード
(鳥取大学医学部附属病院)
診断
- 神経線維腫症1型の早期診断(遺伝子診断を含む)
- 皮膚、中枢神経系、骨などに生じる様々な合併症の早期発見
治療方針の決定(フォローアップを含む)
- 検査の必要性(MRI等)
- 小児に対するセルメチニブ(MEK阻害薬)の適用と長期予後
- 外科的治療の適用
神経線維腫症1型のボードメンバー
皮膚科 | (江原由布子、吉田雄一) | 皮膚病変の治療 |
---|---|---|
小児科 | (藤本正伸) | 小児期における全般的な合併症のファロー |
脳神経小児科 | (岡西 徹) | 発達、中枢神経系の病変のフォロー |
形成外科 | (陶山淑子) | 叢状神経線維腫の外科的治療 |
整形外科 | (山家健作) | 悪性末梢神経鞘腫瘍の診断・治療 |
頭頸部外科 | (福原隆宏) | 頭頸部の叢状神経線維腫の治療 |
脳神経外科 | (神部敦司) | 脳腫瘍の診断とフォロー |
眼科 | (三宅 瞳) | 眼病変の診断とフォロー |
放射線科 | (落合諒也) | 画像診断と治療効果の判定 |
遺伝子診療科 | (粟野宏之) | 遺伝カウンセリング、遺伝相談 |
薬剤部 | (金田達也) | 服薬指導 |
神経線維腫1型の診断基準(参考資料)
遺伝学的診断基準
NF1遺伝子の病因となる変異が同定されれば、神経線維腫症1型と診断する
臨床的診断基準
- 6個以上のカフェ・オ・レ斑
- 2個以上の神経線維腫(皮膚の神経線維腫や神経の神経線維腫など)またはびまん性神経線維腫
- 腋窩あるいは鼠径部の雀卵斑様色素斑(freckling)
- 視神経膠腫(optic glioma)
- 2個以上の虹彩小結節(Lisch nodule)
- 特徴的な骨病変の存在(脊柱・胸郭の変形、四肢骨の変形、頭蓋骨・顔面骨の骨欠損)
- 家系内(第一度近親者)に同症
7項目中2項目以上で神経線維腫症1型と診断する
日本皮膚科学会(2018)