遺伝子診療科 概要
診療内容
対象疾患
- 染色体疾患
ダウン症候群、18トリソミー、13トリソミー、ターナー症候群、相互転座など - 習慣性流産
相互転座など - 神経筋疾患
筋ジストロフィー症、脊髄性筋萎縮症など - 遺伝性腫瘍
遺伝性乳がん・卵巣がん症候群、リンチ症候群、家族性大腸ポリポーシス、多発性内分泌腫瘍症、リ・フラウメニ症候群、網膜芽細胞腫など - 先天代謝異常症
ライソゾーム病、アミノ酸代謝異常症など - その他
難聴、遺伝性自己炎症疾患、マルファン症候群、脆弱X症候群、色覚特性、高齢妊娠、近親婚など
当科の方針
遺伝性疾患とは、遺伝情報をになう染色体や遺伝子の変化によって起きる病気のことです。
遺伝子に関する研究の進歩により稀な遺伝性疾患だけでなく、広い分野の病気の遺伝子診断が可能になってきています。この遺伝子診断で明らかになる遺伝情報は、患者さんだけでなく家族や家系の方々の病気にも関連してくることがあります。
- 家族に遺伝する病気だといわれた人がいるので心配している。
- 上の子どもが先天性の病気だといわれ、次の子のことが心配。
- 先天異常、染色体異常、遺伝する病気など説明を受けたけれど、よく理解できない。
- 自分が遺伝性疾患であることを結婚相手にどう伝えるか悩んでいる。
- 結婚相手がいとこで、いとこ婚だと障害を持つ子どもが生まれる可能性が高いと聞いて心配。
- 乳がん発症者が家族に複数いて、医師から遺伝性腫瘍を疑われ、遺伝子検査を考えている。
遺伝や遺伝性疾患に関する心配、不安、家族の問題などを一緒に考えて、より良い人生を歩むためのお手伝いをさせていただきます。
※親子鑑定は行っておりません。
診療科の特色
・遺伝カウンセリングは、遺伝の専門家である臨床遺伝専門医と認定遺伝カウンセラー®の2人で対応しています。
・患者さんだけでなく、ご家族の相談への対応もしております。「成長・進学・就職・結婚に際して、遺伝のことを相談したい」、「遺伝子検査の詳細を知りたい」、「遺伝性疾患の治療法や健診、管理方法を知りたい」、「発症前診断や出生前診断を受けたい」など様々な遺伝に関するご相談に対応させて頂いています。
・必要に応じて、遺伝学的検査を行い、患者さんの確定診断、まだ病気でない方々の診断(発症前診断)、おなかの赤ちゃんの診断(出生前診断)ができる体制を整えています。
遺伝カウンセリング希望の方へ
遺伝カウンセリングは完全予約制です。外来案内をご覧いただき、遺伝カウンセリング専用連絡先にご連絡ください。
遺伝カウンセリングは、自費による自由診療であることをご承知ください。
保険診療で必要な初診料などはいただきませんが、規定の料金をご負担いただくことになります。
初回:8,250円(税込)、二回目以降:5,500円(税込)
一部、保険診療として遺伝カウンセリングを実施できる場合があります。
詳細は、遺伝子診療科へお問い合わせください。
初回は1時間程度のお時間がかかりますのでご了解ください。
紹介状は必ず必要ではありませんが、患者さんの詳細な情報があれば、より具体的に、ご相談の対応ができますので可能であればご準備ください。
遺伝学的検査について
遺伝学的検査の費用は、遺伝カウンセリング費用とは別に必要となります。検査内容によって、金額が異なり、健康保険が適応される場合とされない場合があります。詳細は遺伝カウンセリングで説明します。
医療関係者の皆様へのお願い
当科はFAXによる予約を行っていません。(NIPT・BRCA検査はFAX予約を受付けています)。
当科への受診を患者さんに勧める場合、遺伝カウンセリング専用電話にお問い合わせください。
患者さんやそのご家族の方に遺伝カウンセリングが自費診療であることを説明してください。
診療実績
遺伝子診療科で遺伝カウンセリングを開始し、今年度で15年目になります。
昨年度(令和4年度)は、合計388件(初診184件、再来談204件)の遺伝カウンセリングを実施し、年々増加傾向にあります。来談者の多くが山陰地方在住の方ですが、その他にも山陰を除く中国地方・関西地方・中部地方・関東地方から受診される来談者もいらっしゃいます。
昨年度は、遺伝性腫瘍、神経筋疾患、代謝・内分泌疾患、循環器疾患、皮膚疾患など、様々な疾患の患者さんとそのご家族がご相談にいらっしゃいました。
当科は、2016年度から新型出生前診断である無侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)を実施しています。
また、2023年度より重篤な遺伝性疾患を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-M)も実施しています。
現在日本では診断がつかずに悩んでいる患者さんに対して、遺伝子を調べることにより診断に結びつけることを目的とした研究、未診断疾患イニシアチブ(IRUD)が進められています。当院はこのIRUDの山陰地方の拠点病院であり、主治医から診断がつかずに悩んでいる患者さんの紹介を受け入れています。
当科では他診療科との連携を図り、これまで以上に専門性を高め、様々なご相談に対して細やかな対応ができるよう、取り組んでまいります。