最先端のMRI検査

MRI検査とは

 MRI(Magnetic Resonance Imaging)検査とは、「磁気共鳴画像検査」とも呼ばれ、強力な磁石と電波を利用して人体の水素原子の挙動を画像化する検査です。主な特徴は、放射線による被ばくがなく、体の中の縦、横、斜め、あらゆる方向からの断面を画像として得ることができます。

 検査は、全身に金属がない状態で検査着に着替え、筒状のトンネルの中に入って安静の下で行います。検査時間は30分程度要し、検査中は装置からトントンといった音がしますが、全く痛みを感じることなく検査を受けることができます。

 全身のあらゆる臓器の検査や、造影剤を使用しないで血管を描出(MRA)したり、さらには膵管(膵臓を通る管)、胆嚢、胆管等を描出(MRCP)することもでき全身の検査が可能です。

本院のMRI装置

 平成24年4月より世界最先端のテクノロジーを持つMRI装置2台(GE社製、シーメンス社製)が新たに稼働し、平成23年3月から稼働している装置(フィリップス社製)と合わせて3台の装置を運用しています。以下は、その概要です。

GE社製 3テスラMRI装置
GE社製 3テスラMRI装置
頭部ASL画像
頭部ASL画像

 GE社製の3 テスラ(テスラは磁力の単位:T)装置は、中国四国地域では初めて導入された装置です。
 
 特徴は世界最大の70㎝のオープンボア(ボアとは被験者が入る円筒部分)で、被験者の閉塞感を緩和するだけでなく、新開発の静磁場マグネット、RFコイル、マルチドライブを搭載して、従来の装置より高画質な画像を得ることができることから、より微細な疾患の診断に有用です。

 また、肝臓の脂肪含有率を数値で評価できる「IDEAL-IQ」の機能や、脳の血流情報が造影剤を使用しないで得られる「3D ASL」などの新しいアプリケーション技術なども搭載し、従来の装置よりさらに進化した画像情報の提供ができ、体に負担が少なく検査ができる装置です。この装置は、主に頭部、頸部領域の検査に使用しています。

シーメンス社製 3テスラMRI装置
シーメンス社製3テスラMRI装置
臨床画像
広範囲から細部まで対応

 シーメンス社製の3 テスラ装置は、GE社の装置と同様に世界最大の70㎝オープンボアです。

 また、「Tim 4G」と呼ぶ最新のコイル技術を搭載し、最大204 個の超高密度コイル・エレメントと最大128 チャンネルの独立したRF チャンネルを統合してTim(Total Imaging Matrix)を構成することで、従来の装置と比較して局所を対象にした超高分解能撮像が可能であるため、臓器や疾患部分が詳細に検査でき、さらには全身に点在する疾患も検査することができる装置です。

 そして頸部、腹部、四肢などの全身で高度な体動補正が行える「BLADE」を装備しているため、動きのある部位の検査も容易に行うことが可能です。この装置は、頭部、頸部、骨盤部、脊椎、四肢と広範囲な検査に使用しています。

フィリップス社製 1.5テスラMRI装置
フィリップ社製 1.5テスラMRI装置

 フィリップス社製の装置は、磁力が1.5 テスラです。
 この装置の特徴は心臓の拍動や横隔膜の動きに対して同期させる技術に優れ、動きのある心臓検査に威力を発揮します。特に造影剤を使用しないで心臓が動いている様子や冠動脈の描出を行うことが可能なため、心臓疾患の検査に極めて有用です。

 さらにSENSE という高速撮像法の技術を用いて、高画質を維持しながら撮像時間の短縮が図られるため、検査時間の短縮できる装置です。この装置は、動きのある心臓検査を中心にそのほか肝臓、腎臓などの診断にも使用しています。

 

MRI検査でどんなことがわかるのか、どのようなときに使うのか

 MRI検査で得られた画像は、専門の放射線科医師が速やかに読影を行い、診断レポートを作成します。MRI画像を用いて脳の疾患や、がんなど全身のあらゆる部位の疾患を診断することができます。

 少し詳しく記載すると、脳梗塞や脳出血、動脈瘤、脳腫瘍、頭部外傷などの頭部疾患、そして頭部以外の全身の臓器の腫瘍や結石のほか、脊髄や関節、ヘルニア、子宮・卵巣などの骨盤内臓器の疾患の診断ができます。

 また、胆管や膵管などの管、そして常時拍動している心臓や血管だけを画像化して診断することもできます。さらに軟骨や筋肉、靭帯などの軟部組織は一般的にX線撮影では診断が困難ですが、MRI検査では靭帯損傷、肉離れ、骨軟部腫瘍などの診断にも有用です。しかし、肺のように水分が少なく、空気の多い臓器の診断にはあまり適していません。

  MRI検査は、得られる情報が多いため、主に精密な検査を行うときに使用されます。

検査を受けるまでの流れ

  1. 事前にかかりつけの医院やクリニックからMRI検査の予約をするか、
    または、本院の診療科に受診しMRI検査の予約をします。
  2. 予約当日に本院に来院していただきます。医院やクリニックから予約(FAX予約)した場合は、医療福祉支援センターにお越しいただき、その後、検査予約時間の15分ほど前にMRI検査室の受付に行きます。また、本院に受診された診療科から予約した場合は、その診療科にお越しいただき、その後、MRI検査室の受付に行きます。
  3. MRI検査室の受付担当者が更衣の説明と金属の有無の確認をします。
  4. 検査着を着用後に問診票を渡しますのでご記入いただきます。
  5. 看護師が問診票の記載内容の確認を行います。
  6. そして待合でしばらくお待ちいただきます。
  7. 検査の順番がきたら担当技師が患者さんをお呼びして、問診票と検査依頼表を見ながら、本人確認、ペースメーカー等の確認、金属チェック、検査部位チェックを行って検査を開始します。
  8. 検査用寝台に仰向けに寝てもらいます。検査中に気分が悪くなったりした場合の連絡用にブザーをお渡しします。また検査中は担当者とマイクを通じていつでも会話ができます。
  9. 検査を始めると連続的に「トントン」という音がしますが磁石から出る音ですので心配はいりません。
  10. 検査の内容によっては造影剤という薬を静脈内に注射して検査を行う場合があります。
  11. 検査が終了すると私服に着替えてお帰りいただきます。

検査担当スタッフ

(放射線科医師 2名)
常時専門の放射線科医師がMRI検査室に常駐し、検査方法の指示や造影剤の注入などを行い、さらに検査後の画像診断レポートの作成を行っています。
(放射線技師5名)
専任の診療放射線技師が検査を担当し、必要に応じて三次元画像の作成なども行っています。特に担当責任者は鳥取県で唯一のMRI検査専門技師の認定資格「磁気共鳴専門技術者」を取得しています。
(看護師1名)
専任の看護師が担当し、患者さんの体の状態の確認や検査の注意事項の説明などを行い、患者さんが検査を安心して受け、さらに検査が安全に終了するよう看護業務を行っています。
(受付担当者1名)
放射線科スタッフ

MRI検査を受けることができない場合

●ペースメーカー、人工内耳が埋め込まれている方
●手術等で脳動脈クリップや人工関節などの体内金属類がある方
(検査の部位、金属の種類によっては検査ができる場合があります)
●閉所恐怖症または暗い所が苦手な方
●妊娠もしくは妊娠している可能性のある方

医療機関の方へ

画像診断目的のために本院へ紹介していただける場合、「患者連絡票」、「診療情報提供書」を医療福祉支援センターにFAX送信をお願いします。
[医療福祉支援センターFAX番号]0859-38-6960

この依頼が届いた翌日に予約表を返信いたします。

患者様に「患者連絡票」、「診療情報提供書」、「予約表」をお渡しいただき、予約日に本院にお越しいただくようにしてください。
詳細は以下のホームページをご覧ください。
https://www2.hosp.med.tottori-u.ac.jp/medical-institution/introduction.html

よくいただくご質問

Q. MRI検査の検査時間は、どのくらいかかりますか?
A. 検査時間は、通常検査で30分程度です。

Q. MRI検査を受ける時に何か準備が必要ですか?
A. 検査の前日や当日に準備することは特にありません。
 しかし、検査によっては前日より食事を制限される場合がありますので、注意事項をお読みください。

Q. MRI検査中は動くことができないのですか? 息をとめるのですか?
A. 検査中に動くと画像に影響がでるので、出来るだけ動かないようにしていただきます。もし動いた場合はもう一度動いた時の検査だけをします。放射線を使わないので何回検査をしても大丈夫です。検査によっては息を止めたり、唾を飲み込まないように協力してもらう場合があります。

Q. MRI検査は放射線被ばくはしないのですか?
A.CT検査のようにX線を使用した検査ではなく、磁場を利用した検査なので放射線の被ばくはありません。

Q. 検査室に持ち込めないものはなんですか?
A. 携帯電話、腕時計、指輪、ネックレス、ヘアピン、など
 入れ歯、補聴器、眼鏡、カイロなど
 磁気カード(診察券、キャッシュカード、クレジットカード、テレホンカードなど)
 化粧品(アイシャドウ、マスカラなど)
 カラーコンタクトレンズ(ケースをご持参ください)

お問い合わせ

放射線部 0859-38-6842
放射線部ホームページ