放射線治療科
令和5年度の放射線治療科は、まさに大忙しの一年間でした。非常に多くの症例をご紹介いただき、年間で11500件、症例数で500例をこえる患者さんの治療を行わせていただきました。これまで通り、強度変調放射線治療(IMRT)を中心とした高精度放射線治療を中心として、その割合が毎年の目標50%を維持することが出来ました。IMRTに関しては東部の県立中央病院でも軌道に乗ってきており、鳥取県東部と西部でそれぞれ高精度放射線治療が確立されつつあることを非常に頼もしく思っています。しかし、施設間で格差も生じ、鳥取市立病院では本年をもって放射線治療を終了することとなってしまいました。県内に放射線治療施設は5施設あり、人口比で鳥取県は決して少ない方ではないと思いますが、これ以上の減少は県の癌治療成績に影響する可能性もあると考えられますので、我々が中心となって維持する必要があると考えています。
令和5年度の放射線治療科においてもう一つ強調する点として、小線源治療、特に子宮頸癌を始めとした婦人科腫瘍に対する画像誘導小線源治療(IGBT)が鳥大病院に集約されたことが挙げられます。放射線治療科ではMRIを用いたIGBTを以前より積極的に行っていますが、それを当院に集約することが可能になり、県内の放射線治療を必要とする婦人科癌患者が地域の中核施設より紹介され、全員に過不足のない治療を受けていただくことが可能となりました。鳥取県での小線源治療の集約化は全国の放射線治療施設からも注目を集めているため、今後も継続してゆく必要があると考えています。
これらの高精度放射線治療を行っていく上で、やはり痛感したのがマンパワー、特に放射線治療医の不足です。当科は人員拡充に力を入れるべき部門として、県からも協力を受けておりますが、なかなか人材が集まりません。我々も人材の育成が非常に大切であることを十分に認識しており、学生の講義、臨床実習でも放射線治療の魅力、その必要性を学生さんたちに一生懸命伝えて、充実した臨床実習を心掛けているつもりにしておりますが、何分、教員の数も少なく内容も不十分なものになっているのかもしれません。しかし、ここであきらめるわけにもいかず、これからも手を抜くことなく、粘り強く臨床実習を続け、人材獲得に努めてゆきたいと考えています。放射線治療医の拡充は、より多くの患者さんに安全・かつ効果的な治療を提供するうえで必須であり、我々の中の優先順位としてこれらかも上位に置き、病院及び県と協力してゆきたいと思っています。
放射線治療の増加で問題となったのは、治療医の不足だけでなく、放射線技師、医学物理士、看護師の負担増です。一日70件近くの治療を行ったり、全身照射を行ったりする場合は治療が終了するのが19時くらいになってしまい、そのあと翌日の準備、線量の検証などをこなさなければならず、大きな負担を与えてしまいました。また小線源治療の増加も勤務量を増やす要因となりました。このような負担の増加がミスにつながり、治療の安全性が損なわれますので、彼らとは十分に相談の上、一日の件数にある程度の上限を設けつつ、早急な治療が要求される患者さんに対応してゆくという方法を今年度は取るようにしています。毎年毎年、良いこと悪いことがあり、問題も多く生じますが、その都度放射線治療科全体のスタッフでしっかりと協力して今後も乗り切ってまいりたいと考えています。
これからもよろしくお願いします。
文責 吉田賢史(診療科長)