放射線部

放射線部 令和3年度の動向

機器更新

放射線治療

令和4年2月に令和元年度に続き高精度放射線治療装置(LINAC)及び動体追跡システムを導入した。今回導入したLINAC(TrueBeam Edge)は定位放射線治療に特化した装置で、マルチリーフコリメータ(MLC)が前回導入した装置と比較して遮蔽板の厚みが半分となっており、より小さい腫瘍形状に対して高精度な放射線治療が可能となる。さらに、前回同様に動体追跡装置を組み合わせており(国内初)、脳及び体幹部定位照射をより高精度に実施可能なシステムとなった。臨床稼働は令和4年5月を予定している。また、前回更新したLINACに光学式ポジショニングシステム(Align RT)を追加導入した。体表面の形状を高解像度カメラによりスキャンすることにより3次元的な位置照合及びリアルタイムモニタリングが可能となった。Align RTにより深吸気息止め治療(DIBH)などの呼吸制御を伴う治療や体動による位置ズレを監視することでより安全に治療を実施することが可能となった。

MRI

令和4年2月にIngenia Ambition 1.5Tを導入致した。MRI装置は一般的に超電導状態を維持するため約1,500リットルのヘリウムが必要であるが、導入された装置ではわずか7リットルの液体ヘリウムで超電導状態を維持できる。これにより自然災害や 予期せぬ吸着事故が発⽣した場合でも、施設で早急かつ安全に対応することが可能となった。また装置のトンネル径が以前と比較し、60cmから70cmと大きくなったため、閉塞感が軽減され快適な検査を提供すると共に、条件付MRI対応インプラント/デバイスが挿⼊された患者さんや、妊婦さんに対しても安全に検査を行うことが可能である。

令和4年3月にSIGNA™ Architect - AIR™ IQ Editionを導入した。従来は腹部や骨盤の検査の際にコイルと呼ばれる重たい機械を患者さんに被せて検査を行っていたが、新たに導入されたAIRコイルはまるで毛布を掛けているように軽く柔らかい形状を実現し、圧倒的な検査の快適性を提供することができる。また新たに使用できるようになった画像再構成法であるAIR Recon DLは取得された撮影データにディープラーニング技術を適用する事で従来と同じ検査時間でより鮮鋭な画像を取得することができ、さらに長時間の検査に耐えられない患者さんには短時間撮影で従来と同じクオリティーの検査を提供できる事が可能となった。

血管撮影

令和4年3月にARTIS Icono D-spinを導入した。

本装置は最先端血管内治療で求められている「高画質な画像」「医師の求めている画像」を常に安定して提供することが可能となっている。

操作性の向上によるスムーズなワークフローの実現、そして3D画像取得のための回転撮影において正面/側面C-アームの位置を保持したままの撮影が可能となっており、作業効率の向上に大きく貢献している。

本装置に搭載された治療のための最先端かつ専門的な機能により、画質向上と時間短縮の両方を実現し、現代社会における高度な血管内治療への対応が可能となった。

人事

令和3年度は1名の新診療放射線技師が配属され、診療放射線技師42名、事務補佐員6名の人員体制であった。

資格等

  • 検診マンモグラフィ撮影認定技師:角朋実
  • 第一種放射線取扱主任者:津田正樹
  • 医療情報技師:藤原泰裕
  • JNMT Best Paper Award(Editors‘ Choice 2nd Place)受賞:奥田恭平
  • 日本放射線技術学会中国・四国支部 支部論文表彰受賞:田中拓郎

その他取り組み

医療法改正による放射線被ばく線量の管理義務化に伴い、線量管理システムを導入した。本システムにより、従来の管理と比較して、より効率的かつ迅速な線量管理が可能となった。

整形領域における外科的手術支援であるCアーム装置とナビゲーションシステムを組み合わせた「術中ナビゲーションシステム」の操作を担当し、医師、看護師共に手術チームの一員として取り組んでいる。

関連資格取得状況(累計)

第1種放射線取扱主任者 9名
検診マンモグラフィ撮影認定技師 7名
X線CT認定技師 5名
核医学専門技師 3名
救急撮影認定技師 2名
血管撮影・インターベンション専門技師 2名
放射線治療専門放射線技師 4名
医学物理士 2名
放射線治療品質管理士 1名
磁気共鳴専門技術者 1名
医療情報技師 2名
日本DMAT 1名

業務実績(前年度比較)

部署 R2年度 R3年度
一般(単純・透視) 110523 102483
血管撮影 2281 2297
X線CT 27990 28495
MRI 10331 10392
核医学(PET含まず) 1237 1110
PET 1668 1635
骨塩定量 1571 1649
放射線治療 7737 8732
放射線治療計画 389 417
IVR R2年度 R3年度
総数 1149 1226
治療 951 1089
血管 881 954
非血管 70 135
放射線治療 R2年度 R3年度
体外照射(IMRT) 389(90) 411(155)
緩和 97 109
小線源 18 27
アイソトープ内用 43 46