麻酔診療科群

麻酔診療科群では、麻酔管理の必要な手術の周術期管理、集中治療、人工呼吸器管理、ペインクリニック(疼痛緩和)、緩和医療などの診療活動を行っています。当科の性質上、常に各診療科と連携しながら診療を進める必要がありますが、強い協力体制のもと綿密に情報交換して日々の診療に取り組んでいます。

麻酔科

1.手術業務

大学病院に求められる高度で先進的な手術や検査などの医療が、安全・快適な環境で実践できるよう最新の機材、技術を駆使し麻酔業務を行っています。麻酔法としては、全身麻酔、硬膜外麻酔、脊髄くも膜下麻酔、エコーガイド下末梢神経ブロックなどを単独または組み合わせて、患者の状態や術式に応じて最適な麻酔管理を行っています。麻酔科管理手術枠は月・水・金曜日は8列、火・木は7列の固定枠で運用しています。ロボット手術やハイブリッド手術室を用いた低侵襲手術がますます増加している中で、手術の複雑化と長時間化がより進む中、術前術後の速やかな対処や効率的な運用など限られた環境で患者の手術待機期間の短縮に対応するのはもちろん、多忙な中でも安全で快適な手術環境を整えるべく努めています。

平成30年度 令和1年度 令和2年度 令和3年度
手術症例数 8129 7951 7777 7954
麻酔科管理症例数 4176 4024 4024 4069

2.麻酔科術前外来

麻酔科術前外来は、毎週月・木曜日と隔週の火曜日に開設しています。

当外来では日本麻酔科学会専門医または指導医が手術部看護師とともに、各外科系診療科で手術を予定している患者さんのうち、麻酔管理上の注意が必要な方や重症の方、手術前日や当日入院を予定する方を対象に術前評価を実施しています。術前麻酔説明ブースでは、タブレットを使用した解説ビデオの提供や、看護師による問診と手術当日の流れの説明を行います。看護師は手術に対する不安や要望も積極的に聴取し精神的にもサポートします。医師は患者一人一人を入念に評価したうえで麻酔計画を立て、麻酔とリスクの説明を行い、患者さんとご家族に納得したうえで安心して手術を受けていただけるように努めています。

平成30年度 令和1年度 令和2年度 令和3年度
麻酔科術前診察 1099 1135 906 1020

ペインクリニック外科

1.外来診察

ペインクリニック外来は、水曜日と金曜日に終日開設しています。日本ペインクリニック学会認定医研修施設である当ペインクリニック外来では、治療の難しい各種の痛み(帯状疱疹後神経痛、慢性腰痛、三叉神経痛、CRPS、がん性疼痛など)の治療を、各種鎮痛薬による薬物治療、多種類の神経ブロック、近赤外線照射などによる理学療法などを用いて行っています。神経ブロックでは、症状に応じて局所麻酔薬だけでなく高周波熱凝固法やアルコール等の神経破壊薬を用いたブロックも施行しています。近年では、より安全に施行するため、超音波診断装置やX線透視を積極的に使用しております。

また、痛み以外でも四肢血流障害、突発性難聴、顔面神経麻痺、多汗症などには神経ブロックや高気圧酸素療法などの治療法も提供しています。

平成30年度 令和1年度 令和2年度 令和3年度
ペインクリニック受診患者 2631 2896 2373 2330
令和3年度 初診患者
帯状疱疹関連痛 11人
頭頸部、顔面痛 4人
脊椎疾患 7人
肩、上肢痛 4人
腰下肢痛 7人
がん性痛 9人
脳脊髄液減少症 4人
CRPS 1人
術後遷延痛 3人
線維筋痛症 3人
その他 16人
合計 69人
令和3年度 X線透視下ブロック
(高周波熱凝固法、アルコールブロックを含む)
脊髄神経後枝内側枝ブロック 5例
神経根ブロック 4例
交感神経ブロック 1例
三叉神経ブロック 2例
くも膜下ブロック 8例
仙腸関節ブロック 3例
脊髄刺激療法(SCS) 5例
硬膜外自己血パッチ 3例
合計 31例

2.入院診療

集中的な疼痛治療、厳密な薬剤調整、侵襲度の高いインターベンショナル治療を行う患者を対象に入院管理を行っています。濃厚な治療を実施することで、速やかな日常生活への復帰を目指しています。今年度は硬膜外脊髄刺激電極留置術を多く行いました。また緩和ケアチームにも参加し、各種神経ブロックや薬剤調整など痛み治療に特化した専門性を生かし症状緩和のサポートを行っています。

今後も内臓神経ブロックなどの高度な神経ブロックや硬膜外脊髄刺激電極留置術、持続くも膜下ブロックなどペインクリニックが専門とする疼痛緩和治療に取り組んでまいります。

令和3年度入院患者
脊髄刺激療法(SCS) 5例
持続硬膜外ブロック 1例
硬膜外自己血パッチ 3例
合計 9例

(文責 青木亜紀)