放射線部
機器更新
放射線治療
令和2年6月から高精度放射線治療装置(LINAC)及び動体追跡システムの臨床運用を開始した。本装置は最新のLINAC装置であり、また中国地方で2番目(4管球システムは初)の動体追跡システムである。LINAC装置はフルデジタル制御やシステムの統合によりサブミリメートルの精度で駆動が可能となり、さらに高線量率モードの使用により治療時間の短縮が可能となった。動体追跡システムは腫瘍近傍に配置した金マーカーを2方向からの透視画像上でパターン認識技術により追跡し、予め設定した位置にマーカーが来た時にのみ治療ビームを照射するシステムであり、また2方向からの画像を利用して画像誘導放射線治療(IGRT)を行うことも可能となる。これらの装置により通常の放射線治療においてはIGRT機能により従来よりもスループットの向上が期待でき、また呼吸性移動のある部位の治療では動体追跡機能により照射体積を縮小させることで正常組織への照射を低減することが可能となる。
X線CT
令和3年2月にAquilion Precisionを導入した。最小0.25㎜スライス厚検出器を搭載しており高精細な画像の取得が可能である。特に肺や骨の領域を明瞭に描出することができる。またAdvanced intelligent Clear-IQ Engine (AiCE)と呼ばれるディープラーニング技術を応用した新画像再構成法が可能になった。低線量撮影下でも、空間分解能の向上や大幅なノイズ低減効果が短時間で得られる画期的な画像処理手法である。
また、 Aquilion Precisionに付属して画像解析装置(Vitrea)も導入した。Vitreaを用いた解析により、急性期脳梗塞における梗塞巣の範囲及び治療方針の決定に有用な情報を提供することが可能となった。
一般撮影
令和2年12月に回診用X線撮影装置MoblileDaRt Evolutionを導入した。19インチ大型タッチパネル型モニタを搭載し、撮影画像を素早く参照することが可能となった。またX線検出器(FPD)も大視野のワイヤレスタイプを採用したことで、様々な部位への撮影が可能となった。
人事
令和2年度は5名の新診療放射線技師が配属され、診療放射線技師42名、事務補佐員6名の人員体制であった。
資格等
博士号取得:岸本淳一(医学)、田中拓郎(保健学)
その他取り組み
COVID-19の感染対策として、安全に放射線検査を行うべく、感染制御部門指導の下、多職種でのシミュレーション研修を行った。
放射線部受付において、自動受付機による運用を開始した。これにより、患者様の検査室までのスムーズな移動、受付職員の業務効率の向上が可能となった。
関連資格取得状況(累計)
第1種放射線取扱主任者 | 8名 |
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検診マンモグラフィ撮影認定技師 | 7名 |
X線CT認定技師 | 5名 |
核医学専門技師 | 3名 |
救急撮影認定技師 | 2名 |
血管撮影・インターベンション専門技師 | 2名 |
放射線治療専門放射線技師 | 2名 |
医学物理士 | 2名 |
放射線治療品質管理士 | 1名 |
磁気共鳴専門技術者 | 1名 |
医療情報技師 | 1名 |
日本DMAT | 1名 |
業務実績(前年度比較)
部署 | R1年度 | R2年度 |
---|---|---|
一般(単純・透視) | 113679 | 110523 |
血管撮影 | 2171 | 2281 |
X線CT | 27281 | 27990 |
MRI | 10159 | 10331 |
核医学(PET含まず) | 1298 | 1237 |
PET | 1719 | 1668 |
骨塩定量 | 1529 | 1571 |
放射線治療 | 7754 | 7737 |
放射線治療計画 | 338 | 389 |
IVR | R1年度 | R2年度 |
---|---|---|
総数 | 973 | 1149 |
治療 | 805 | 951 |
血管 | 730 | 881 |
非血管 | 75 | 70 |
放射線治療 | R1年度 | R2年度 |
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体外照射(IMRT) | 338(67) | 389(90) |
緩和 | 100 | 97 |
小線源 | 39 | 18 |
アイソトープ内用 | 35 | 43 |
文責:岩田 直樹