医療福祉支援センター
医療福祉支援センター 活動内容
医療福祉支援センターでは、患者さんやご家族に安心して良質な医療をお受けいただけるよう、万全の体制で各種の医療サービスを提供することを使命とし、“迅速" “信頼" “思いやり" をモットーに日々業務に励んでおります。
令和3年2月には入退院センター及び総合患者相談窓口との統廃合がなされ、総合的な患者支援部門として再編されました。業務内容は多岐にわたりますが、以下の体制図のとおり、入退院支援機能、地域医療連携機能、患者相談窓口機能の3機能を軸とした業務を担っています。当センターの役割は年々重要性を増していますが、地域医療の先導的な役割を果たすべく、行政、地域の医療機関、介護・福祉施設等と連携し、看護師、医療ソーシャルワーカー及び事務担当の多職種が相互に協力しながら、ひとり一人に寄り添った支援を提供しています。
下のグラフは、各診療科・病棟からの医療福祉支援センターへの紹介件数を経年的変化とともに示します。
医療連携や医療福祉制度の相談などで医療福祉支援センターに紹介された令和2年度の件数は合計1,800件で、毎年およそ2,000件の紹介に対応しています。
以下に各機能ごとの実績を示します。
1.入退院支援機能
入退院支援
医療福祉支援センターでは、入院前から退院までの支援を行い、同時に円滑な病床運用のサポートを行っています。
前方支援としては、入院決定時から入院オリエンテーションを実施し、さらに患者の生活状況や身体症状などの情報を収集し、入院中の療養計画を患者と共有しています。また、退院支援に必要な患者の意向も聞き取り、意思決定できるための情報を病棟に繋げる取り組みも行っています。
後方支援としては、主治医からの要請により転院調整や在宅支援を行っており、転院調整は一般病院、回復期リハビリテーション病院、療養型病院などへの転院を希望される患者さんに対して病院の紹介や確保を行います。在宅支援は介護や医療処置を必要とする患者さん、がん末期の患者さん、認知症、運動機能障害や重度身体障害を有する患者さんなど、退院後に在宅での医療支援を望まれる患者さんに対して、地域の訪問看護ステーション事業所や医療機関と協力して支援を行っています。
2.地域医療連携機能
ICTを活用した医療連携
ICTを活用した鳥取県における基幹的な医療連携ネットワークシステムとして、「おしどりネット」があります。
おしどりネットは、鳥取県全域及び島根県の一部の医療機関の間で診療にかかる情報を共有し、質の高い安全な医療を提供しています。患者さんがおしどりネットに参加することにより、患者さんが希望された複数の医療機関で治療内容や検査データ、薬の処方などの診療情報が共有でき、効率的かつ的確な医療をお受けになることができます。
当院はこれまで、おしどりネットを運営する鳥取県医療連携ネットワーク協議会の代表機関を務めており、医療福祉支援センターはおしどりネットの運営事務局として、毎月開催される協議会の準備や参加医療機関との連絡調整、システム上のデータ処理や院内外に向けての普及活動等を行ってまいりました。
令和3年3月31日現在の登録患者数は計8,575名で年々増加していますが、令和2年度は1,878名の登録があり、非常に多くの患者さんにおしどりネットへ参加していただきました。
令和2年4月1日より、おしどりネットの運営は新たに設立されたNPO法人へ移管され、情報参照機関として調剤薬局の参加が始まるなど、さらに連携が広がっています。今後も当院は参加医療機関の中心的役割を担い、本ネットワークシステムのさらなる発展に寄与してまいります。
FAXによる外来診療予約対応
病院、開業の先生方から診療科への診察依頼やCT、MRI、RI、PETなどの検査依頼をFAX予約で受付けています。FAX予約された患者さんは診察や検査が予約時間内にスムーズに実施ができるように調整しています。コロナ禍に伴い紹介患者数は減少していますが、FAX予約件数の推移をみると、年々増加し、令和2年度は10,298件で病院全体の書面による紹介患者数の96.8%を占めています。また、FAXによる逆紹介も急増しており、令和2年度は912件でした。
このようにFAX予約の重要度が高まっていることを受け、診療予約の利便性を向上させるため、他の医療機関よりWEBから予約申し込みをしていただける「紹介統合WEBシステム」を令和3年1月より導入しました。令和3年度より本格運用がなされる見込みであり、今後はWEBによる予約受付件数が増加していくと予想されます。
セカンドオピニオン外来の予約受付
かかりつけ医や二次医療圏以外の施設からも当院で行っている専門診療を受けていただくために、FAXまたは郵送でセカンドオピニオン外来の予約を受付しています。令和2年度は31件でした。一方、セカンドオピニオンで逆紹介するケースも10件ありました。
マルトリートメントへの対応
児童虐待、家庭内暴力(DV)、障がい者・高齢者の虐待などのマルトリートメントに対して医療支援を行っています。子どもに対するマルトリートメントを疑う事例対応については、令和2年度に既存組織から多職種におけるチーム医療の形へ再編がなされ、活動体制がより整備されました。対象症例の早期発見、早期支援、予防的介入、継続支援等の包括的な対応を実践できるよう、院内外での連絡体制を整え、緊急対応もできるようにしています。また、障がい者・高齢者虐待の対応については、近隣市町村と課題を共有し、フローチャートやチェックシートを作成するなど地域との連携を強化しています。
令和2年度は児童相談所からの診察依頼や診療科からの相談事例22件に対応し、当院・児童相談所・要保護児童対策協議会主催のカンファレンスを46回実施しました。また、障がい者・高齢者の虐待についても、令和2年度9件の相談に対応しました。
地域連携パスの運用
大腿骨近位部骨折/脊椎椎体骨折・骨盤骨折と脳卒中に関して、鳥取県西部圏域における急性期病院、回復期リハビリテーション病院及び維持期(生活期)の医療機関の間で地域連携パスを運用しており、計画策定病院となっている当院と山陰労災病院の主催で定期(四半期毎)のパス運用連絡会を開催し、運用状況や問題点等を共有しています。
また、胃がん、大腸がん、肝がん、肺がん、乳がんの5大がんについても同様に地域連携パスを作成・運用しており、機能の異なる医療機関間の共有診療計画の推進を図っています。令和2年度は大腿骨近位部骨折/脊椎椎体骨折・骨盤骨折の地域連携パスが27件、脳卒中地域連携パスが192件、がん地域連携パスで136件(胃がん41件、大腸がん26件、肝臓がん2件、肺がん44件、乳がん23件)の運用実績がありました。令和2年度は、院内で特に運用実績の乏しかったがん地域連携パスについて利用促進活動が行われ、大幅な件数増に繋がりました。
近隣医療機関等との連携推進
定期的に、近隣医療機関等との情報共有や意見交換を目的とした交流の場が設けられ、連携推進が行われています。令和2年度はコロナ禍によって面会を伴う交流の機会は減少しましたが、WEB会議等によって連携を継続しています。(例)
- 鳥取県西部圏域及び安来圏域における地域連携実務者会
- 近隣回復期病院との定期連絡会
- 西部在宅ケア研究会(在宅医療に関する連携)
- 医療連携・退院支援関連部門の全国会議・中国ブロック会議
3.患者相談窓口機能
各種医療福祉制度、公費負担医療制度の案内
医療福祉支援センターでは患者さんが利用できる各種の医療福祉制度、公費負担医療制度のご案内を行っております。
医療福祉制度では身体障害者福祉、障害年金、傷病手当金等、公費負担医療制度では結核医療、更生医療、育成医療、養育医療、特定医療費(指定難病)、小児慢性特定疾病医療費、肝炎治療、肝がん・重度肝硬変治療の各医療費助成の申請手続案内や所轄行政機関との連絡調整を行っており、令和2年度は公費負担医療費制度について約500件の申請手続案内を行いました。