血液内科

近年、血液がんの治療の進歩には著しいものがあります。急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性腫瘍、悪性リンパ腫(ホジキン病、非ホジキンリンパ腫)、多発性骨髄腫等、ほぼ全ての血液がんに対して新薬が登場してきています。新薬は、従来の抗がん剤とは異なる分子標的薬(抗体薬、小分子化合物)が主体です。分子標的薬は、がん細胞の増殖に関わるタンパク質や、栄養を運ぶ血管、がんを攻撃する免疫に関わるタンパク質などを標的にしてがんを攻撃する薬です。いくつかの疾患では、治癒や長期生存が目指せるようになり、また治癒しないまでも生存期間は確実に延びています。

それに伴って血液がん患者さんの治療は外来治療が中心になっています。嘔気、白血球減少等の副作用対策が進歩して外来治療が可能になってきました。患者さんにとっても自宅での生活を維持しながら血液がん治療を受けられることのメリットは大きいといえます。若い方は勿論、高齢の方にとっても精神的安定や運動機能維持のためにメリットは大きいのです。

一方、急性白血病の方、造血幹細胞移植の方、抗がん剤治療導入の方、重症の方々には入院治療が必要です。その際には血液内科病棟(クリーンルーム14床)に入院して頂いています。

当科はしばらく医師不足のため、難治性の血液がんに対する造血幹細胞移植が十分にできない状況が続いておりました。しかし、少しずつ医師の数も増え、今年度より積極的に造血幹細胞移植も実施するようになりました。来年度からは、骨髄バンクや臍帯血バンクからの同種移植も実施できるようになる予定です。また、過去3年の診療実績をご覧いただければ分かる通り、外来患者数、入院患者数ともに増加傾向です。

血液がんは患者さんにとってなじみは薄く、わかりにくい領域と思います。治療にあたっては、病状等についてよくご説明して、ご本人とご家族のご理解の上で実施することに努めています。また、がん専門看護師が患者さんとご家族のご理解を深めるお手伝いをすることができます。

診療実績(過去3年)

30年度 令和元年度 令和2年度
1. 外来延べ患者数 5,984名 6,244名 7,281名
2. 紹介患者数 130名 113名 149名
3. 逆紹介患者数 98名 123名 424名
4. 入院延べ患者数 5,036名 6,265名 7,565名
5. 新入院患者数 213名 269名 291名
6. 平均在院日数 22.76日 21.72日 25.6日2n

地域連携

国立病院機構米子医療センター、鳥取県立中央病院、松江赤十字病院と連携をとりながら、鳥取県西部を中心に鳥取県中部から島根県安来市あたりまでの血液疾患の患者さんを受け入れています。

(河村 浩二)