脳とこころの医療センター
令和元年度の脳とこころの医療センターの活動状況をご報告致します。
1.脳とこころの医療センターに属する4診療科間の連携
脳とこころの医療センターを構成する4つの診療科、すなわち、脳神経内科、脳神経小児科、脳神経外科、精神科は、脳血管障害、てんかん、頭痛、発達障害、認知症、高次脳機能障害など、複数科での診療やリハビリテーションを必要とする可能性がある疾患・障害に対して、診療科間の円滑な連携体制の下、患者さんにとって最適の治療・リハビリテーションを実施しています。
脳・神経疾患や精神障害は、運動、感覚、認知、感情など、様々な脳機能の不調を招くことが多く、しばしば複数の診療科による連携および協働が必要になります。その点で、当センターでは、各診療科がそれぞれの専門領域について関与するだけでなく、他科と緊密な連携を取ることができています。そのためには、日頃から、診療科の枠を超えたスタッフ間のコミュニケーションが求められます。その意味で、4診療科が近接している当センターは、こうした要求を満たすのに適しています。
2.臨床心理士の充実
脳とこころの医療センターでは、病院長のご配慮で、令和元年度より所属する臨床心理士が3名に増員となりました。脳・神経疾患や精神疾患においては、診断や治療効果判定に、多様な心理検査が活用されているため、各人が得意分野をもつ臨床心理士の増員は診断の迅速化や精緻化に繋がっています。
また、継続的なこころのケアを希望される患者さんに対しては、臨床心理士がカウンセリングを担当します。患者さんの苦痛に共感しながら、困難を乗り越えようとされている患者さんのご希望に沿う支援を行っています。
3.脳とこころの医療センターのカンファランス・研究会
前述のごとく、神経・精神疾患はしばしば診断・検査・治療など、診療上の困難を伴うことが多く、専門的知識と広い視野が求められます。隔月に4診療科で実施している当センターの症例検討会は、令和元年度も5回開催し、活発な議論が展開されています。さらに今年度は、当センターとして、脳科学の最先端の研究手法に触れる機会として、精神疾患を対象に脳機能のモデル化がご専門の沖村宰先生に、「計算論的精神医学」をテーマにご講演頂きました。診療科の枠を超えた熱い質疑が交わされ、現実の精神機能をモデル化し、数理的表現を用いて病態解析を行う手法に対する高い関心が示されました。
当センターでは、今後も外部講師を招き、日常診療に応用される可能性のある最新の医学的知見について知見を深めていく所存です。
文責 兼子 幸一