栄養部

Ⅰ患者給食管理

患者給食業務の地元企業への委託と地産地消推進

  1. 地元企業に病院給食の業務委託を行うことにより、米子市及び近隣住民の雇用促進、地域食品業者取引率、地産食品使用率の増加につなげ、地域貢献を目指している。
  2. 病院給食に関する契約内容、労働者環境、施設設備等について、本院栄養部管理者と給食業務事業責任者で給食検討会を毎月行っている。
  3. 病院給食の安全と質改善を行う為、「衛生・感染」、「献立・食材」、「災害・緊急」、「インシデント」、「教育・研究」の5つの専門委員会を組織し、本院、委託側の双方から委員を選出し、業務検討を行っている。
  4. 病院給食における患者サービスとして、選択メニュー実施、出産祝い膳の提供を行っている。また化学療法等による食欲不振患者には、喫食状況を見ながら個別に食事変更の提案等行っている。食種対応困難な方については、聞き取りをしながら大山食、中海食の個人対応食を作成し、喫食量のアップを図るよう取り組んでいる。
  5. 大規模災害時対応として患者用の非常食を三日分確保している。特に初発時食は、各病棟に設置している。この初発時食は、被災時の混乱状況を考慮し、ブロックタイプの非常食と水を準備している。ブロックタイプの食事は水に浸すことにより流動からペーストなど形態の調整が行える。また27品目のアレルギー対応と宗教上の理由による禁止食品の対応も行えるものを準備している。
  6. 災害および食中毒などによる給食調理施設使用が出来ない場合、地元業者との連携で3時間以内に病院外部施設での食事準備の連携を整えている。

Ⅱ栄養管理

臨床栄養学を基にした栄養治療支援

  1. 入院時診療計画書作成に管理栄養士も携わり、入院時からの栄養管理を行い、低栄養リスク患者の抽出を行っている。
  2. 医師の特別な栄養管理の必要性有の指示に従い、栄養管理計画書の作成を行っている。これにより低栄養による合併症発症予防に努めている。
  3. 病棟担当制を進めており、各診療科の専門疾患、治療に準じた栄養管理支援が行えるよう栄養支援連携を図っている。
  4. 個別栄養食事指導の実施を行い、外来から入院、入院から退院後の外来受診時に結び付ける食事指導支援を行っている。
  5. 集団栄養食事指導として入院・外来患者合同の糖尿病教室を実施している。
  6. 栄養サポートチーム(NST)、糖尿病支援、褥瘡、緩和、心臓リハビリ、集中治療室、のチーム医療の回診、カンファレンスに参加している。NST専門療法士の実施訓練施設として受け入れを行っている。
  7. 入退院支援センターと連携し、アレルギー患者の食事確認、食事形態、食種選択支援を行っている。

Ⅲ社会貢献

地域および全国での医療貢献のための活動

  1. 全国国立大学病院栄養部門会議 常置委員・教育専門部会担当
    国立大学病院栄養部門に所属する管理栄養士・栄養士の教育を行い、その質の向上と栄養部門職員の地位向上のための教育、研修を行っている。
  2. みんなで取り組む糖尿病予防対策事業の参画
    • 鳥取県西部福祉保健局管内糖尿病予防対策事業の一環で、西部圏域糖尿病予防対策検討会に参画している。
  3. 栄養サポートチーム専門療法士の実施訓練施設としての研修開催の実施
  4. 看護部などの専門コース研修の講師およびスタッフ
  5. 管理栄養士・栄養士養成校臨地実習生の受け入れ

Ⅳその他

令和元年度活動報告

第3回SAN-IN心不全チームカンファレンス 他職種カンファレンス コメンテーター 令和元年 6月15日
鳥取大学医学部附属病院5A勉強会 糖尿病食について 令和元年 6月21日
鳥取大学医学部附属病院5A勉強会 肥満外科手術に向けての勉強会(試飲会含む) 令和元年 5月20日
鳥取大学医学部附属病院5A勉強会 肥満外科手術に向けての勉強会
(ロールプレイ)
令和元年 7月12日
鳥取県西部医師会認定生涯教育講座
多職種で見る循環器疾患
治療カンファレンス
心にやさしい栄養指導 令和元年 7月19日
鳥取大学医学部附属病院ミニ講座 調味料の塩分、知っていますか? 令和元年 7月 4日
「栄養の日」市民公開講座in愛媛 生活習慣予防のための栄養療法 令和元年 8月 4日
第5回県民健康講座慢性腎臓病講演会 肝腎要の食生活
~食生活を考慮したCKD予防~
令和元年 9月 1日
第5回県民健康講座慢性腎臓病講演会 栄養相談 令和元年 9月 1日
第2回心臓リハビリセミナー 心臓リハビリテーションに必要なリハ栄養の知識とその実践 令和元年 8月31日
第10回中国ブロック
糖尿病スキルアップセミナー
分かりやすく伝えようステージに合わせた腎臓食 令和元年10月13日
第3回日本地域医療連携システム学会 現在の取組から在宅医療のすきまを考える
(栄養士の立場から)
令和元年11月 9日
日本肝臓学会肝がん撲滅運動 肝心要の食生活
~酒を飲まなくても安心できません!~
令和元年11月16日
床ずれ予防イベント(褥瘡委員会) 床ずれ(褥瘡)予防の食事 令和元年11月21日
鳥取大学医学部附属病院6B勉強会 肥満外科手術に向けての勉強会(試飲会含む) 令和元年11月27日
鳥取大学医学部附属病院
がん化学療法看護コース研修
がん患者の栄養管理 令和元年12月 9日
鳥取大学医学部附属病院
褥瘡看護コース研修
褥瘡の栄養管理 令和2年2月5日
心臓リハビリテーション学会
第5回中国支部地方会
他職種カンファレンス コメンテーター 令和2年2月8日
食品開発と健康に関係する研究会 急増する心不全に対する減塩の考え方 令和2年2月19日

今後の展望

令和2年4月より事務部医事課栄養管理室の位置付けから診療施設部門として配置変更となり、管理栄養士および栄養士が医療従事者であることが本学でも認められた。この配置変更を機に名称も看護部、薬剤部と同様に管理を除き栄養部と改めた。また部内においても栄養管理室の廃止に伴い、栄養管理室長は管理栄養士長とし、主任栄養士も主任管理栄養士と名称を改めた。この名称変更で管理栄養士と栄養士を明確に分け、本院栄養部の実務管理者は国家資格である管理栄養士免許を有する者となった。

この変更と同じ時期に令和2年度の診療報酬改定では、特別集中治療室、摂食嚥下、外来化学療法における管理栄養士のチーム医療参画が盛り込まれ、益々、管理栄養士の医療従事者としての役割が大きくなってきている。本院でもこの診療報酬改定に対する配置準備の検討を進めている。しかし算定実施には、本院の管理栄養士の4割は3年未満であるため実務経験が不足している。今後、算定要件を満たすために部職員の教育と技術向上を行っていく必要がある。

この管理栄養士の病棟支援活動を充実させるには、患者給食業務の安定した業務遂行が不可欠である。このためには単なる給食提供ではなく、その質が確保されなければならない。現在、給食業務従事者の不足と必要機器類の老朽化と設置が不足しており患者個人対応を一部休止して対応している。これらの状況改善として給食業務従事者の業務環境である厨房内施設設備、厨房および洗浄機器類をHACCPおよび大量調理マニュアル準拠した施設と機器類を備えなければならない。病院給食の委託契約についても営業届出が義務とする法改正となり、この対応を急がなければならない。これらの給食業務の改善により、栄養部員の給食管理業務からの労務軽減を行い、病棟での栄養管理による医療支援の充実を図りたいと考えている。

栄養部・管理栄養士長
牧山嘉見(文責)