胸部外科診療科群

胸部外科診療科群は呼吸器外科と乳腺内分泌外科を共同で診療しています。

医師数

14名(呼吸器外科9名、乳腺内分泌外科5名)

診療スタッフ(講師以上)

中村廣繁(教授、胸部外科診療科群主任診療科長 兼 呼吸器外科長)
鈴木喜雅(特任講師、乳腺内分泌外科長)
春木朋広(講師)

診療活動

呼吸器外科

呼吸器外科では、HICUなど各部署での仕事を兼ねながら日常診療をしています。毎朝、抄読会、肺がんカンファレンス、術前検討会、術後検討会、病理検討会を行っており、病理検討会は乳腺内分泌外科や病理学教室と合同で行っています。

2019年度の手術件数は合計249件でした。手術件数は手術枠による制限のある中で、特に原発性肺癌手術の増加に注力しています。2019年度は141件の原発性肺癌手術を行っており、前年と比べ35件増加しました。当科の得意分野である鏡視下手術も216件と、8割以上の手術が鏡視下で行われており、低侵襲手術として定着しています。ロボット支援手術も、肺癌に対して41例、縦隔疾患に対して14例と増加しており、日本の施設では有数の手術件数を誇ります。日本の呼吸器外科ロボット手術のオピニオンリーダーとして、引き続き安全なロボット手術手技の確立に努めていきたいと思います。

また、当科では診療ガイドラインに沿った標準治療を診療科の理念としており、入院患者には以前からクリティカルパスを積極的に適応していますが、近年は高度・先進医療の導入のため、倫理委員会での承認に基づき、他施設共同臨床試験の実施件数が増加しています。また、他科との診療体制の強化は重要課題であり、呼吸器内科、放射線科と毎週行う肺がんカンファレンスで治療方針を確認し、緊密な連携を取っています。地域連携では西部医師会と合同の胸部X線勉強会を継続しており、肺がん検診の普及と精度向上に努めています。肺がん地域連携パスの運用も含めて地域との前方連携・後方連携は地道に続けており、市民への啓発活動も含めてさらに推進していきたいと思います。今後も引き続き地域医療に貢献しながら、われわれの行っているハイレベルの呼吸器外科医療を内外に向けて発信していきたいと思います。

(文責: 病棟医長 髙木雄三)

乳腺内分泌外科

乳腺内分泌外科では、乳腺外科領域を主体に甲状腺および副甲状腺といった内分泌外科領域も取り扱っています。2019年度の手術件数は合計181件でした。乳癌に対する治療を中心的に行っており、手術に加え、診断や術前・術後および再発後の薬物治療(内分泌療法、化学療法、分子標的薬治療など)から、緩和的医療まで幅広く対応しています。診療ガイドラインに沿った標準的な診療を提供することを心掛けています。

手術につきましては、形成外科と合同での同時再建手術も行っております。また、2020年4月から遺伝性乳癌卵巣癌症候群と診断された乳癌および卵巣癌患者さんへの予防的手術が保険適応となりました。遺伝子診療科と女性診療科と連携し、遺伝性乳癌卵巣癌症候群に対する診療体制を整えており、当科でも予防的な乳房全切除を施行することが可能となっています。

担当する領域の診療については、全国と比較しても遜色ないレベルの診療を提供し、地域での中核を担う形で地域医療に貢献できるよう努めてまいります。

(文責: 外来医長 若原 誠)

手術件数(2019年4月~2020年3月)

呼吸器外科

疾患名 手術件数 内、胸腔鏡手術 内、ロボット手術
原発性肺癌 141 122 41
転移性肺腫瘍 18 18
良性肺疾患 3 3
自然気胸 14 14
膿胸・胸膜炎 6 6
縦隔疾患 23 18 14
胸膜中皮腫 2
胸膜腫瘍 2 2
胸壁疾患 5 2
胸部外傷 2
手掌多汗症 25
横隔膜疾患 0
その他 8 6
合  計 249 191 55

乳腺内分泌外科

原発乳癌手術 96例
乳房全切除術 79例
乳房温存術 14例
同時再建手術 3例
再発乳癌手術 9例
乳腺良性腫瘍 10例
甲状腺手術 7例
悪性腫瘍 3例
良性腫瘍 4例
その他 59例
中心静脈ポート 49例
上記以外 10例
合  計 181例