精神科

 当科では、患者さんの臨床症状の改善だけではなく、学業や就労などの生活全般を視野に入れた治療やリハビリテーションを実践しています。治療内容は世界的基準の治療を行うとともに、最先端の脳科学の技術を用いた検査法により、できるだけ科学的な診断に基づいた治療を目指しています。また、患者さんが安心して治療を受けることができるように担当医は患者さんと厚い信頼関係を築くこと、治療に関するニーズを把握することを心がけています。
当科の病床は閉鎖病棟24床、開放病棟9床で構成され、時代の状況を反映する多様な心の病に対して対応できる病棟となっています。閉鎖病棟では、精神症状のために治療及び保護が必要な方を対象とし、主として統合失調症、気分障害(うつ病、躁うつ病)、認知症、強迫性障害、摂食障害、発達障害などの患者さんに対応しています。治療方法としては、状態像および診断に対して最も適切と判断される向精神病薬による薬物療法が治療の中核となります。しかし薬物療法で十分な治療効果が得られない場合もあり、適応がある方に限って修正型電気痙攣療法を麻酔科の協力の下に全身管理に万全の態勢を払いながら行っています。平成23年度ものべ32件の治療実績を有し、症例によっては高い治療効果を認めています。また、地域の精神科病院からの要請が多い身体合併症を伴った患者さんの受け入れにも力を入れています。他方、開放病棟では比較的症状の軽い患者さんの静養と治療を兼ねた入院を行っています。
外来診療では、一日平均約90名の診察を行っています。通常の精神疾患に対する一般診療に加え、地域でのニーズの高まりを受け、児童思春期とくに発達障害に関する専門外来を平成22年4月より開設いたしました。さらに、精神科としては初めての先進医療である、
「光トポグラフィー検査を用いたうつ状態の鑑別補助診断」を平成22年から行っております。平成23年度には全国から計28名の方が受診され、今後の治療方針決定に有効であると好評を得ています。また、医学部内に開設された臨床心理相談センターとの緊密な連携の下に認知行動療法や専門的なカウンセリングなどをご希望の方に紹介しております。その他、通院患者さんを対象として、社会生活に障害となる認知機能障害を検知し、それに合ったリハビリテーションを行うことを目的に、統合失調症の認知リハビリテーションである認知矯正療法を行っております。
メンタルヘルスを担う地域の中核医療機関として、今後は疾病の検査・診断・治療だけでなく、地元医師会などとも連携をして予防啓発活動にも力を注いでいきたいと考えております。