胸部外科

胸部外科の現在のスタッフは6名で、手術部やHICUなど各部署での仕事を兼ねながら、日常診療をしています。常時12名の卒後初期臨床研修医がいて、研鑽を積んでいます。診療活動は毎朝745分の始動を原則としており、曜日毎に抄読会、手術手技検討会、肺がんカンファレンス、術前検討会、術後検討会を行っています。平成23年度の手術件数は別表のとおりで、合計216件(前年度比-1件)でした。手術件数は昨年度からほぼプラトーになってきています。胸腔鏡手術は158件(前年比-25件)で、今年度は病状の進行症例が多く、適応が減少したようです。その中で手術支援ロボット(ダ・ヴィンチ)による胸腔鏡手術は順調に症例を重ねています。平成23年度は18例(肺癌10例、胸腺疾患8例)の手術を行い、平成22年度に施行した8例と併せて合計26例となり、呼吸器外科領域では国内最多の経験症例となりました。今後導入を予定している施設からの問い合わせや症例見学の希望も多く、引き続き安全なロボット手術手技の確立に努めていきたいと思います。主として入院患者に使用されるクリティカルパスは医療の標準化と効率化のためにいまや必須のツールとなり、約80%の患者さんに適用されており、診療ガイドラインに沿った治療に努めています。他科との診療体制では呼吸器内科、放射線科と毎週行う肺がんカンファレンスで治療方針を確認し、緊密な連携を取っています。また、月1回行う胸部疾患カンファレンスでは治療経過の確認を継続してきました。地域との連携では西部医師会と合同の胸部X線勉強会を継続すると同時に、平成23年度に導入が始まった医療機関における肺がん検診も順調に推移し、肺がん検診の普及と精度向上に努めています。しかしながら一方で、肺がん地域連携パスの運用は期待通りには進んでおらず、今後さらに地域との交流を活性化させるように工夫が必要であると考えています。引き続きわれわれの行っている魅力ある呼吸器外科医療を内外に向けて発信して行きたいと思います。

 (中村 廣繁)

表 平成23年度(平成23年4月~平成24年3月)手術患者

疾患名

手術患者数

原発性肺癌

85(67)

転移性肺腫瘍

16(16)

良性肺疾患

18(14)

自然気胸

18(18)

膿胸・胸膜炎

15(15)

縦隔疾患

23(17)

胸膜中皮腫

1(1)

胸膜腫瘍

0(0)

胸壁疾患

6(1)

胸部外傷

5(1)

手掌多汗症

6(6)

横隔膜疾患

0(0)

その他

23(2)

216(158)

(  )は胸腔鏡手術