皮膚科

 皮膚科では、第一に皮膚腫瘍の診断・治療に重点を置き、経験豊富な医師が診療にあたっています。附属病院の鳥取県におけるがん医療の拠点病院化の動きにあわせ、山陰地方の皮膚腫瘍・がんセンターとしての役割を担うべく、努力を重ねております。また、内臓の病気に伴う皮膚病の診療にも力を入れており、皮膚病変より数々の内蔵の病気を発見するという、皮膚科医にしかできない“技”の研鑽を続けております。
 当科の最大の特色は、皮膚病理組織診断(顕微鏡による細胞や組織の検査)に力を入れていることです。現在までの症例の蓄積だけでなく、病理を熟知した医師による十分な検討・討論が行われており、前医療機関で診断のつかなかった皮膚病を数多く診断しております。この病理診断は、皮膚腫瘍の治療においても、適切な術前診断というだけでなく、病理所見に基づいた手術方法の選択にも役立てられています。
 皮膚病は目に見える分、診断が下しやすいように思われます。診断はついていなくても、時に、ある種類の内服や外用剤を使用することにより小康状態を得られる場合もあります。しかし、実は同じ様な発疹に見えても診断が難しい場合が多く、皮膚科学的な根拠に基づいて臨床診断と治療を行っていくためには、皮膚科の研鑽を十分積まなければなりません。皮膚科診療の力が求められているレベル以上に達しているかどうかの指標に「皮膚科専門医」制度がありますので、診察を受ける際の目安と考えて下さい(多くの診療所では免状を診察室に掲げています)。皮膚に現れた病気(熱傷・火傷を除く)は、是非皮膚科専門医の肩書きを持つ医師に相談して下さい。専門医取得の有無はなお、鳥取大学附属病院皮膚科勤務の医師のうち認定皮膚科専門医の免状を持つスタッフは5名にもおよびます。
以下に、当科での診療内容について具体的に記します。

皮膚疾患診療

 アトピー性皮膚炎において16歳以上の最重症の患者さんに対してシクロスポリン(免疫抑制剤)の内服治療を行うことがあります。悪化時に一時的に内服を行い、改善後は再び外用薬を中心とした治療を行います。尋常性乾癬でもシクロスポリン内服による治療を行うことがあります。シクロスポリンを内服される場合には、定期的に血液検査を行い、薬の血液中の濃度(トラフ値)を測定し、適切な薬の量であるかを確認します。また、既存の治療では十分効果がない尋常性乾癬や関節症性乾癬、膿疱性乾癬では、炎症をもたらす特定の因子に直接作用して症状を改善することのできるいわゆる生物学的製剤による治療も行っています。難治性多発性円形脱毛症においては副腎皮質ホルモン(ステロイド)の局所注射、DPCP・SADBAによる局所免疫療法や発症6カ月以内であればステロイドパルス療法を行うこともあります。

皮膚腫瘍診療

 悪性黒色腫(ホクロのがん、あらゆる臓器のがんの中でも最もたちが悪い)、基底細胞がん(最もありふれた皮膚がん)、日光角化症(お年寄りの顔面に多い早期の皮膚がん、鳥取県に非常に多い)、ボーエン病(早期皮膚がん)、有棘細胞がん(転移しやすい)、パジェット病(湿疹に酷似した陰部に多いがん)などの診療に豊富な経験を持ちます。皮膚がんは早期発見により生命への危険を回避できます。しばしば良性の他の皮膚疾患に間違えられることもありますので、少しでもおかしいなと思われたら、気軽に大学病院を受診されることを勧めます。いずれの癌も初期であれば完治に近い状態が得られますので、ごく早期に精確な診断をつけることに心がけております。経験豊富なスタッフが丁寧に診察いたします。皮膚に生じたこのようないわゆる「デキモノ」は皮膚専門医が診療すべき対象であることを強調いたします。また、悪性黒色腫においては腫瘍周囲に放射性同位元素及び色素を注射し、シンチカメラや肉眼でセンチネルリンパ節(最初に転移するリンパ節)を同定し摘出を行うセンチネルリンパ節生検が保険適応されることになりました。摘出したセンチネルリンパ節は病理組織学的検査を用いてがん転移の有無を確認します。癌が非常に巨大かつ深部に進行していた場合、あるいは深部のリンパ節廓清が必要な場合は、耳鼻科、消化器外科、婦人科、形成外科の応援をいただいて手術を行うこともあります。皮膚がんに限りませんが、皮膚病に対し妥当と思われた治療を2週間行っても全く反応がない場合、是非専門医に受診されることをお勧めします。山陰地方では、デキモノができても多くの人がいつか消えるだろうと放置して、悲惨な結果になる例があとを絶ちません。また、最初の診断を間違えて漫然と長期にわたり誤った治療を受け、同様に悲惨な結果に終わる方もおられます。とにかく、早期発見に努められることをお勧めします。

美容外来(自費)

 大学病院で美容診療を行う最大の利点は、皮膚科専門医が肌の状態を的確に把握したうえで正確に診断し、その上で必要な処置のみを行うことであると考えております。ケミカルピーリング法はシミ(老人性色素斑、肝斑、雀卵斑)、ニキビ、小ジワなどに適応があります。ニキビ治療では、悩み多き若い人を中心に成果を上げております。また、ロングパルスアレキサンドライトレーザー(Gentle LASE)という機器を用いてレーザー脱毛を行っております。

その他特殊治療

 陥入爪に対するワイヤー治療(自費)も行っております。これは特殊な金属でできたワイヤーで、手術等の苦痛を伴う手技を駆使することなく湾曲した爪を矯正する方法です。また、難治性皮膚疾患に対する光線療法も行なっております。

ファックス予約制度

 当科ではファックス予約制度を積極的に導入しています。開業医の先生から紹介を受ける時に、予めファックスにて診察時間の予約をしていただく制度で、他に重症患者さんが受診された場合以外は待ち時間を15分以内にするよう努力しており、待ち時間の短縮など円滑な診療が実施できる体制をとっています。症状が落ち着いた方については、大学病院に比べ比較的患者さんの都合の良い時間に受診が出来る一般医療機関(原則としてご紹介元)にその後の治療継続をお願いします。もちろん何か症状に変化が生じ、必要と判断された時には再度ご紹介頂くなど、密接に連携をとっています。実際にご経験いただいた患者さんに大好評の制度ですので、是非ご利用下さい。
 入院治療の対象疾患は、皮膚腫瘍(良性からがんまですべて)や母斑(ほくろ、あざ)をはじめ、アトピー性皮膚炎、水疱症、乾癬などの難治性疾患、帯状疱疹や丹毒などの感染症まで多岐にわたります(熱傷・火傷は除く)。特に皮膚外科治療に力を入れており、手術室、外来処置室での手術件数は年間468件に及びます。
当科では鳥取県西部・中部および島根県東部地域のみならず、山陰地方全域および岡山県北部をも対象地域としており、地域機関病院皮膚科が担うべき役割を認識し、高齢化や複雑化する社会環境・医療環境のなかで皮膚科医に要求される医療を効率的に提供できるよう、スタッフ一同努力していきたいと思っております。また、当科に限って言いますと、大学病院であるからといって決して敷居の高い診療を行なっている訳ではなく、どなたでも、またご自身がたいしたことがないかも知れないと思われる疾患でも診察いたしますので、お気軽にご相談下さい。

平成23年診療実績


 外来患者統計
  平成23年 外来患者統計
    外来患者数 10,772人
    新患患者数 2,000人
    再来患者数 8,772人
    FAX予約患者数 716人
平成23年 疾患別新患患者統計

平成23年 疾患別新患患者統計

疾患

計(人)

疾患

計(人)

1  湿疹

365

15 上皮性良性腫瘍

184

2  蕁麻疹・痒疹・皮膚掻痒症

128

16 上皮性悪性腫瘍

116

3  紅斑症・紫斑・血管炎・血行障害

68

17 非上皮性良性腫瘍

128

4  物理・化学的皮膚障害・壊疽

123

18 非上皮性悪性腫瘍

23

5  中毒疹・薬疹

111

19 発汗異常症

15

6  水疱症および膿疱症

35

20 毛包脂腺系疾患

37

7  紅皮症

2

21 毛髪・爪甲疾患

110

8  炎症性角化症・非炎症性角化症

104

22 細菌性疾患

86

9  膠原病

42

23 ウイルス性疾患

107

10 代謝異常症

12

24 真菌症

144

11 皮膚形成異常・萎縮症

9

25 皮膚結核症

1

12 肉芽腫・肉芽腫症

20

26 粘膜疾患

6

13 色素異常症

32

27 動物性皮膚疾患・性病

31

14 母斑・母斑症・奇形

106

28 その他

44

平成23年 地域別初診患者統計

平成23年 地域別初診患者統計

地域

(人)

米子市

811

鳥取県西部(米子市を除く)

486

鳥取県中部

269

鳥取県東部

55

島根県東部

285

島根県西部

12

隠岐

38

岡山県北部

17

その他県外

27

平成23年入院患者統計

病院のご紹介
基本情報
実績・取り組み

平成23年 入院患者統計

病名

患者数(人)

湿疹 皮膚炎群(アトピー性皮膚炎を除く)

13

アトピー性皮膚炎

5

蕁麻疹(アナフィラキシーを含む)

13

痒疹群

 

2

紅斑症

 

7

血管炎

 

7

薬疹 中毒疹

 

21

天疱瘡

 

3

類天疱瘡

 

19

紅皮症

 

5

乾癬

 

14

膠原病

 

0

細菌感染症

 

23

ウイルス感染症

21