女性診療科群

 女性診療科では、周産期、生殖・内分泌、婦人科腫瘍を3本柱にして診療を行っている。
当院は、従来から地域の周産期センターとしての役割を担っており、山陰地方の医療機関からのハイリスク妊婦の紹介や緊急母体搬送例が多い。平成18年度からは総合周産期母子医療センターが開設となり、ますますこれらの現象に拍車が掛かっている。最近では、胎児穿刺などの直接的情報による出生前診断や胎内治療の症例も増加してきている。新生児室・NICU医師と定期的にカンファレンスを行い、症例によっては関係各科との綿密な連携により適切な周産期管理に努力している。
 生殖・内分泌領域では、体外受精・胚移植などの先端的治療を実施し、良好な治療成績を治めてきた。これらの治療にも奏効し難い男性不妊症患者に対しては顕微授精を行い、妊娠例も増加している。習慣流産患者に対しては、抗凝固療法(低分子ヘパリン持続注入)を積極的に行い良好な成績を得ている。腹腔鏡検査は不妊の原因検索の目的で行われてきたが、最近では子宮筋腫や卵巣腫瘍などに対して腹腔鏡下手術を積極的に行っている。腹腔鏡下手術は開腹手術と比較して患者への侵襲が少なく、術後癒着も軽減できることから、未婚女性や不妊症患者には極めて有用な術式である。さらに婦人科としては全国で2番目にロボット支援手術を導入し、先進医療承認をめざして臨床研究を実施している。現代病といわれる子宮内膜症は当科の重要なテーマの一つとしており、基礎的検討をふまえて適切な治療法を行うべく努力を重ねている。
 当科は、鳥取県内の婦人科悪性腫瘍の過半数を取り扱うとともに、山陰地域の婦人科がんセンターの役割を果たしている。子宮頸癌は子宮がん検診の啓発と普及に伴って、初期病変の割合が増加している一方で、当地域の特徴として、がん検診未受診の高齢者進行癌が依然として多いことがあげられる。進行癌症例に対しては抗癌剤による術前化学療法を行い、手術適応の拡大と根治性の改善に努めている。また、若年者頸癌症例に対しては、妊孕性温存を考慮した広汎性子宮頸部摘出術を試みている。子宮体癌および卵巣癌症例は全国的な傾向に同期して漸増している。手術術式の改良のみならず、抗癌剤化学療法を駆使して集学的治療を行い、予後の改善を目指している。なかでも進行癌卵巣症例の予後は全国平均に比較しても良好な成績を得ている。
 患者のニーズに応えるため、平成15年9月から乳腺外来を開設した。視触診に加え、マンモグラフィーと超音波検査を行い、現在までに13名の乳癌患者を発見している。
以上のように受精から始まり、思春期、成熟期、老年期へと女性のライフサイクルすべてにわたって幅広く診療活動をしており、いずれの分野ともますます専門性を深めている。周辺医療機関との連携をもっと密接にし、大学病院としての使命を果たせるよう努力したい。

(大石徹郎)