内視鏡室
平成23年度の消化器系内視鏡検査件数は5139件(上部消化管内視鏡3346件、下部消化管内視鏡検査1220件、小腸内視鏡32件、専用機EUS233件、EUS-FNA75件、ERCP229件、腹腔鏡4件)で内視鏡を用いた治療・処置件数は 563件(胃ESD29件・EMR6件、食道ESD12件・EMR10件、大腸EMR219件、消化管止血術62件、異物除去8件、ERCP系治療 150件、胃瘻造設41件、消化管拡張術26件)でした。
消化器内視鏡検査では病変の的確な診断に役立つ超音波内視鏡(内視鏡的超音波下穿刺も含む)、大腸拡大内視鏡の件数が増加しており、苦痛の少ない経鼻内視鏡、ダブルバルーン式小腸内視鏡・カプセル内視鏡(平成23年5月より導入)を用いた小腸検査も行っています。消化管癌の診断・治療方針決定のために、画像強調・拡大内視鏡を用い詳細な観察を行い、診断精度が向上しています。治療内視鏡では消化器系の癌、前癌病変に対する内視鏡的粘膜切除術、アルゴンプラズマ凝固法などが行われています。最近は早期食道癌・早期胃癌に対する新しい内視鏡的切除術である内視鏡的粘膜下組織剥離術(endoscopic submucosal dissection; ESD)も積極的に行っており、件数も増加しています。また、各種の内視鏡的治療用器具を用いて、消化管出血、消化管・胆道狭窄、消化管悪性腫瘍、消化管内異物などの治療も行っています。
平成23年10月~24年9月まで1年間の呼吸器内視鏡件数は365件でした。内訳は末梢生検(主に超音波内視鏡ガイドシース法:EBUS-GS法)190件、PDT(光線力学的療法)1件、APC焼灼術4件、気管支充填術(EWS)3件、異物除去術4件、内腔観察(内視鏡超音波、蛍光内視鏡含む)52件、気管支洗浄・気管支肺胞洗浄52件、中枢生検(直視下生検および超音波内視鏡下リンパ節生検:EBUS-TBNA)53件、局所麻酔下胸腔鏡6件でした。
2年前より超音波プローベとガイドシースを併用した末梢生検法(EBUS-GS法)に力を入れ、昨年には仮想内視鏡ナビゲーションシステムも新たに導入し、肺末梢病変の劇的な診断率向上を達成しております。またEBUS-TBNAによる縦隔肺門リンパ節生検の件数も増加しており、現在まで高い診断精度を維持しております。
本年から局所麻酔下胸腔鏡も新たに導入し、胸水穿刺だけでは診断困難な滲出性胸水貯留症例に対しても積極的な壁側胸膜生検が可能となりました。局所麻酔下胸腔鏡による胸膜生検は低侵襲かつ高い診断率が期待出来る検査であり、現在急速に普及し始めております。それを裏付けるように本年当科で施行した6例すべてで確定診断が得られており、その有用性を強く実感しているところです。
呼吸器内視鏡検査に関連した様々な機器の進歩により、高精度の内視鏡診断を提供出来る時代に変化しております。今後もこだわりを持った、常に最先端で有益な呼吸器内視鏡診断・治療に努めていきたいと思いますので宜しくお願い致します。
以上、最新の内視鏡診療機器にて質の高い診療サービスを患者様に提供できる状況となっています。さらに、検査前の血圧測定(必要時は検査中も)、検査中の酸素飽和度、脈拍をモニターし、安全・安心な検査ができるようにしています。
文責
第2内科 八島一夫
第3内科 小谷昌広