超音波室

循環器内科、内分泌代謝内科(第一内科診療科群)

 心臓超音波では、最新の機器を駆使して心臓の形態、機能、弁膜症、短絡疾患の有無などの評価を行っております。今年度は新たに3Dエコー(経胸壁、経食道)を導入し、リアルタイムで心臓の立体構造が把握できるようになり、特に心臓弁膜症における術前の弁の性状評価などに大いに役立っております。また、症例によっては薬剤や運動負荷心エコーにて虚血性心疾患や弁膜症のバイアビリティー評価や手術適応の判定を行っています。

(循環器内科 加藤雅彦)

 甲状腺エコーでは、甲状腺の腫瘍性病変など精査が必要な方には、超音波ガイド下に穿刺吸引細胞診を行っております。手術治療が望ましい場合には、耳鼻科・頭頚部外科あるいは乳腺内分泌外科と連携して治療にあたっています。

(内分泌代謝内科 伊澤正一郎)

第二内科診療科群

 消化器内科では腹部領域疾患のスクリーニング検査のほかに、高度専門医療機関として下記の診療を行っています。

  1. 慢性肝疾患患者に対する肝癌サーベイランス
    ウイルス性肝疾患に対して肝がん早期発見のために行っています。症例によっては超音波だけでなくCTやMRIとの併用も行われています。
  2. 最新のカラードップラー装置、造影超音波装置、fusion画像による最新超音波診療
    高感度、高解像度装置により臓器・組織の機能診断が可能となり、特に造影超音波検査は腫瘍の鑑別診断、治療効果判定に応用しています。更にCTやMRIの画像とも組み合わせたfusion画像により精度の高い画像心を行っています。
  3. 肝がんに対するラジオ波焼灼療法
    当科では二種類のラジオ波焼灼装置(cool-tip型、展開針型)を用いて 患者、病変にあった治療計画を立てラジオ波を行っています。
  4. 超音波内視鏡検査
    内視鏡室とも協力し超音波内視鏡を用いて、消化器癌の深達度診断、鑑別診断、さらに膵臓疾患や消化管病変に超音波内視鏡下の針生検も増加しており、早期膵がんの診断に役立てています。
  5. 鳥取県西部腹部超音波研究会
    医師会、大学を中心に鳥取県西部腹部超音波研究会を2ヶ月に一回行い、新しい超音波診断の普及、若手医師、技師の教育育成にも力を入れています。また、年一回専門家を招聘し超音波の講演会も行っています。

(消化器内科 孝田 雅彦)

小児科

 小児科では、対象疾患として先天性心疾患、不整脈、川崎病関連冠動脈障害、成人先天性心疾患、その他に学校検診、乳児検診などで心電図や心雑音等の 異常を指摘された患者の精密検査を行っています。また当院の総合周産期母子医療センター新生児集中治療部門(NICU)にて新生児専門医、産科医とともに 胎児・新生児心疾患の診療にも当たっています。そのため、小児科の心臓超音波検査では先天性心疾患の診断や治療の方針決定、手術症例では術後のフォロー アップ、冠動脈異常の評価などを行うこと、また必要に応じて手術施設や近隣各医療施設に対する情報提供を行うことを目的としています。

(小児科 岡田晋一)

皮膚科

 皮膚科は毎週火曜日9:00-10:00に予約制で超音波検査を行っています。
皮膚科では主に皮膚・皮下腫瘍の臨床診断や術前評価に用いています。特に皮内・皮下腫瘍に関しては有用であり、腫瘍の内部構造の確認や腫瘍の局在の確認、周囲組織との関係の確認のため超音波検査を行っています。粉瘤、石灰化上皮腫、脂肪腫、皮膚線維腫、異物などについて超音波検査を行いました。

(皮膚科 足立孝司)

頭頸部外科エコー(耳鼻咽喉科・頭頚部外科)

 火曜日と木曜日の午前に、頭頸部腫瘍や感染性疾患などを対象とした検査や治療、および頸部スクリーニング検査を行っています。
 頭頸部腫瘍においては、Bモードエコー所見に、ドップラーやエラストグラフィーを組み合わせることにより、術前・術後の評価を高い精度と小さな侵襲で行うことが出来ます。2011年度より最新のエコー機が導入され、組織の硬さをエラストグラフィーとは別の側面から評価することが可能となりました。頭頸部領域における良悪性鑑別診断の精度を上昇させることなどが期待されます。
 実際の診療内容について、以下に述べます。

  • 甲状腺疾患ではエコーによる診断以外に、穿刺吸引細胞診や経皮的エタノール注入療法(PEIT)なども行います。主な対象は手術加療を必要とする、甲状腺腫瘍・副甲状腺腫瘍・甲状腺機能性結節・バセドウ病などです。橋本病や悪性リンパ腫の診断(と加療)も行っています。火曜日は甲状腺外来と並列で行っており、外来受診日に精査が可能です。また、内分泌内科との連携を密にしており、内科的加療が必要な疾患に関しては内分泌内科へ紹介もしています。甲状腺嚢胞などを対象に、経皮的エタノール注入療法(PEIT)を行っています。
  • 他臓器原発悪性腫瘍による頸部リンパ節転移を疑う症例においても精査し、必要な場合にはエコー下に穿刺吸引細胞診(FNAB)を施行し診断します。
  • 悪性リンパ腫の診断、再発診断にもエコーは有用です。必要なときは、エコー下穿刺による組織診を行ったり、生検の手術を予定したりします。
  • 頸部のリンパ管腫に対してのOK-432の注入療法も行っております。
  • 自己免疫性の唾液腺疾患などのエコー診断も行います。
  • 頸部腫瘤の中には、組織診による診断が必要となる疾患があります。適応を吟味した上で、穿刺組織診(CNB)を行っています。組織を採取することによって、免疫染色など追加することが出来ます。
     

 2011年度は検査技師の育成も行っており、今後は更に多くの患者様に対応出来るようになると思われます。

(耳鼻咽喉科・頭頚部外科 福原隆宏)
 

心臓血管外科

 近年、僧帽弁形成術の件数が増加するにあたり、術前の弁の詳細な評価が重要になってきています。3Dの食道エコーが導入され、術中の所見とほぼイメージ通りの弁の形態を知ることが可能になってきました。術前に修繕のイメージをつかんでおくことは形成術においてとても重要であり、手術成績の向上にもつながっていくものと考えられます。
 その他の大動脈弁疾患、虚血性心筋症、先天性心疾患などのほとんどが超音波検査によって、手術適応および術式が決定されている状態であり、今後超音波検査はさらにその重要性があがってくると思われます。
いつも循環器内科の先生、技師さんには貴重なアドバイスをいただいています。今後も各部門の連携を強め、研鑽させていただきたいと思っています。

(心臓血管外科 白谷 卓)

検査部

 超音波検査は心臓・腹部・甲状腺・血管(頸動脈、下肢静脈)に大別され、生理機能検査部門の検査技師は心臓領域3~4名、腹部領域4名、甲状腺2名、血管領域4名が交代して従事しています。超音波検査士の取得者は、検査部に5名在籍しています。領域別に循環器3名、消化器5名、体表臓器1名であり複数の領域取得者が在籍しています。専門資格取得をはじめとする術者育成に取組んでいます。
 23年度超音波検査の技師が1名増員となり超音波検査の業務充実を目指しました。心臓エコー検査は循環器外来検査日に技師を2名に増員し、技師検査枠を増やし、技師の検査件数は22年度比274件増加しました。腹部エコー検査は超音波検査士(消化器)の専門資格を新たに1名取得しました。甲状腺エコー検査は内分泌甲状腺エコーに加え23年11月から耳鼻科甲状腺スクリーニングエコーを技師1名で開始しました。
 
 超音波検査は年々増加しており、特に下肢静脈エコーの依頼が急増しています。下肢静脈エコーは22年度より280件増加し頸動脈エコーも約70件増加しました。
 
 検査は予約制を基本としていますが、当日依頼にも可能な限り対応しています。検査部で超音波検査に従事している検査技師は日本超音波医学会、日本超音波検査学会、日本エコー図学会など関連学会に所属し、各学会や研修会、指定講習会に積極的に参加すると共に学会発表や地域の技師の指導も行いました。
 

(検査部 原 文子)

平成23年度超音波件数

  心エコー 腹部エコー 頚動脈エコー 甲状腺エコー 下肢エコー
H23. 4 236 344 65 109 70 824
5 214 269 59 103 71 716
6 309 336 63 116 77 901
7 207 308 76 101 83 775
8 271 304 71 133 95 874
9 265 401 58 99 78 901
10 220 350 65 93 93 821
11 160 304 64 110 73 711
12 218 338 63 111 81 811
H24. 1 196 303 66 87 101 753
2 240 339 66 91 95 831
3 271 405 68 110 73 927
合計 2,807 4,001 784 1,263 990 9,845