3-3-16. 内視鏡室

平成22年度の消化器系内視鏡検査件数は3913件(上部消化管内視鏡2382件、下部消化管内視鏡検査1041件、小腸内視鏡12件、専用機EUS190件、EUS-FNA70件、ERCP213件、腹腔鏡5件)で内視鏡を用いた治療・処置件数は494件(胃ESD34件・EMR7件、食道ESD7件・EMR11件、大腸EMR181件、消化管止血術40件、異物除去8件、ERCP系治療139件、胃瘻造設38件、消化管拡張術29件)であった。
消化器内視鏡検査では病変の的確な診断に役立つ超音波内視鏡(内視鏡的超音波下穿刺も含む)、大腸拡大内視鏡の件数が増加しており、苦痛の少ない経鼻内視鏡、ダブルバルーン式小腸内視鏡・カプセル内視鏡(平成23年5月より導入)を用いた小腸検査も行っている。治療内視鏡では消化器系の癌、前癌病変に対する内視鏡的粘膜切除術、アルゴンプラズマ凝固法などが行われている。最近は早期食道癌・早期胃癌に対する新しい内視鏡的切除術である内視鏡的粘膜下組織剥離術(endoscopic submucosal dissection; ESD)も積極的に行っている。また、各種の内視鏡的治療用器具を用いて、消化管出血、消化管・胆道狭窄、消化管悪性腫瘍、消化管内異物などの治療も行っている。
気管支鏡領域では2010年12月~2011年11月まで1年間の気管支鏡件数は322件であり、内訳は末梢生検(主に超音波内視鏡ガイドシース法:EBUS-GS法)184件、内視鏡治療(光線力学的療法:PDT)2件、内視鏡手術1件、異物除去術4件、内腔観察(内視鏡超音波、蛍光内視鏡含む)84件、気管支洗浄52件、中枢生検(直視下生検および超音波内視鏡下経気管リンパ節穿刺生検:EBUS-TBNA)40件であった。
本年は山陰地方初の早期扁平上皮癌に対するPDT治療を2例成功することが出来た記念すべき年となりました。(治療で使用するPDレーザーは中四国地方で唯一当大学しか所有しておらず非常に貴重な治療法です)幸い2例とも内視鏡的寛解が得られ合併症も軽症で済み、その臨床的意義を強く実感した次第です。また仮想内視鏡ナビゲーションシステム(Bf-NAVI™)を導入し、EBUS-GS法と組み合わせることにより肺末梢生検の診断率も約89%と劇的な向上を達成している。来年はさらに胸膜生検用の軟性胸腔鏡も導入し(すでに購入済)、診断困難な胸膜病変に対しても積極的にアプローチしていく予定である。今後もこだわりを持った呼吸器内視鏡診断・治療に努めてゆきたい。
以上、最新の内視鏡診療機器にて質の高い診療サービスを患者様に提供できる状況となっている。さらに、検査前の血圧測定(必要時は検査中も)、検査中の酸素飽和度、脈拍をモニターし、安全・安心な検査ができるようにしています。

文責
第2内科 八島一夫
第3内科 小谷昌広