3-3-06. 高次集中治療部

高次集中治療部平成22年度

集中治療部開設が1991年。すでに20年以上の歴史を有します。HCUと合併されて高次集中治療部となったのが1997年、第Ⅱ集中治療室が開設されたのが2008年。第Ⅰ、第Ⅱの各ICU及びHCUの入室患者重症度も各医師に定着して混乱がなくなり、それにともなって高次集中治療部内および他病棟との移動もスムーズになってきました。
救急棟が立ち上がり、救急用のベッドも遠からずそちらに移るようです。それに伴って、HCUのICU化の話が出始めていて、高次集中治療部の配置にも変更の可能性が出てきています。どうなるのでしょうか?

(齋藤憲輝)

ICUⅠ

第一集中治療室の最近の目標は「不要な管は抜く」です.
気管挿管による侵襲的人工呼吸からマスクでの非侵襲的人工呼吸へ,フェイスマスクでの酸素投与は経鼻酸素へ,あるいは酸素吸入中止へ.静脈栄養は経管栄養,経口摂取へ.ドレーンも膀胱カテーテルも早期抜去へ.
もちろん,ただ早くやめているのではありません.鎮痛管理,感染防御,ベッドサイドリハビリ,間欠的NPPV,胸郭外陰圧式換気を含む非侵襲的呼吸補助,口腔ケアや嚥下リハビリ等,患者さんの早期回復に向けた援助をしてゆく中で,自分たちの仕事を見直し,「早く抜いても大丈夫」だということを確認してきました.
患者さんたちにとって集中治療室は10年前と,いえ5年前と比較してもずいぶん苦痛の少ない環境になったのではないかと考えています.
それでもまだまだ,集中治療室は「苦痛」で「怖い」で「もう二度と行きたくない」場所でしょうが,少しずつでも「苦痛ではない」,「怖くない」場所になるよう変ってゆきたいと願っています.

(南 ゆかり)



第一ICU入室患者
入室患者  366 
性別男性n(%)235(64)
 女性n(%)131(36)
予後生存退室n(%)344(94)
 死亡退室n(%)22(6)
第一ICU入室患者の年齢
1歳未満n(%)5(1)
1から9歳n(%)25(7)
10歳代n(%)14(4)
20歳代n(%)6(2)
30歳代n(%)25(7)
40歳代n(%)11(3)
50歳代n(%)23(6)
60歳代n(%)96(26)
70歳代n(%)97(27)
80歳代n(%)59(16)
90歳代n(%)5(1)
366(100)
平均 59.9 
中央値68 
第一ICUの入室期間
1日n(%)21(6)
2日n(%)127(35)
3日n(%)77(21)
4日n(%)37(10)
5日n(%)21(6)
6日n(%)22(6)
7日n(%)10(3)
8~14日n(%)36(10)
15~21日n(%)5(1)
22~28日n(%)4(1)
29日以上n(%)6(2)
366(100)
平均 4.9 
中央値3 
第一ICU診療科別入室患者数
心臓血管外科n(%)170(46)
消化器外科n(%)53(14)
小児科n(%)21(6)
胸部外科n(%)14(4)
耳鼻咽喉科・頭頚部外科n(%)14(4)
乳腺内分泌外科n(%)12(3)
整形外科n(%)11(3)
女性診療科n(%)11(3)
脳神経小児科n(%)9(2)
消化器内科n(%)6(2)
呼吸器内科・膠原病内科n(%)6(2)
小児外科n(%)6(2)
歯科口腔外科n(%)6(2)
循環器内科n(%)5(1)
血液内科n(%)5(1)
形成外科n(%)5(1)
内分泌・代謝科n(%)3(1)
腎臓内科n(%)3(1)
眼科n(%)2(1)
泌尿器科n(%)2(1)
精神神経科n(%)1(1)
皮膚科n(%)1(1)
合計 366(100)
ICUⅡ

入室患者数は、H21年度に比べ、ICU2では44人増加し1504人、HCUでは27人減少し756人、全体としては17人減少し2260人であった。ICU2での患者数増加とHCUでの患者数減少は、症度による有効利用やICU2から一般病棟への転棟が平滑に行われていることも要因と考えられた。年齢分布は12~99歳で前年度同様、平均在室日数もICU2で3.7日、HCUでは4.7日であり、前年度同様であった。入室区分ではHCUにおいて緊急での入室が通常の入室を上回った。科別統計ではICU2において、消化器外科、心臓血管外科、脳神経外科の入室が多く、HCUにおいては循環器内科、脳神経外科、消化器外科の入室が多かった。また、疾患別ではICU2では循環器系疾患、消化器系疾患、神経系疾患、呼吸器系疾患が多く、HCUでもほぼ同様であった。月別の入室患者数では、ICU2では5月に少ない傾向であった。
今後も各科の担当医、病棟医長の先生方のご協力と連携のもと、ICU2とHCUの有効活用と潤滑な運営ができるよう努めたい。

(高次集中治療部 石橋美名子)

ICUⅡ統計(PDF)
HCU統計(PDF)