3-3-03. 放射線部

 放射線部は、安全な医療と高度な医療の提供を目標に掲げて努力した。
安全な医療を行うためには、教育および研修が必要なことから、年間通して研修計画を立て職員教育を行なった。一般撮影、CT検査、血管造影検査、MRI検査、RI検査、放射線治療の六部門に分けて、それぞれの診療業務に適応させた研修を行なった。また、患者の移動に関してはリハビリテーションの専門家をお招きして実技指導を受けた。その結果、職員の医療安全への意識が高まり、より安全な医療の提供が図られた。
 3月11日の東日本大震災による原子力発電所の事故を受け、住民が本院に健康被害のための受診するシステム作りを行なった。システムは時間内と時間外に来院する方々を対象に二つのシステムを作り、24時間体制で対応した。被曝関連で受診される方は、他の一般診療に来院する方々と進入路を別にし、従来の救急部の一室を放射性物質の汚染に対応する養生を行ない、その部屋を初期受け入れ室として受け入れ、そこで本人と持ち物、衣類の放射線サーベーを行ない、安全確認をした後に放射線科専門医の診察を受診させた。必要に応じて現地での行動を元に外部被曝の線量も推計し、その被曝線量を放射線科医師の診察の補助データとして活用した。県内や県外から問合せが大変多く寄せられ、現地から避難した方、現地にボランテイアで行かれた方などの放射線サーベーと診察を行なった。しかし、住民の放射線被曝の不安は大きく電話での質問や問合せは県内はもとより県外の広域からよせられている。また、福島県への放射線サーベイヤーのための診療放射線技師の派遣も計画している。さらに米子地方への放射性物質の飛来の調査のため、二月ほどを予定に毎日病院の屋上で計測を行っている。この原発に対する住民への対応は中国・四国地方ではいち早く、さらに施設によってはこれらの対応をしなかったことから、本院に対して国民の皆様からは感謝の気持ちが多く寄せられた。放射線部も今回の事故対応で「地域の住民の健康と安全を図る支援」ができたが、近隣に島根原発があることから、不慮の事故に対するさらなる対策も検討しなければならないと考えている。
 診療での今年度のトピックスは、三台目のMRI検査装置が23年2月に導入された。本院で稼動している他の二つの装置では、動きの早い心臓系の検査を不得手にしていたため、それをカバーする装置としてフィリップス社の装置を導入した。また、この装置は全身のあらゆる疾患にも対応できることから、MRI検査の予約待ちの解消が少しでも図られることが期待される。
高度医療の提供には技師個人のレベルアップが必須であり、そのための教育の一環として講習会や研修会、さらにセミナー等への派遣も積極的に行なった。また、大学病院の技師として、新たな技術の開発や検査方法の改善のための研究も積極的に取組み、その成果を国内はもとより海外で開催される著名な学会でも発表を行い、さらに学会誌等の論文での紙上発表も行った。

(平田 吉春)