3-2-09. 整形外科

整形外科が扱う疾患は、四肢・脊椎の外傷、骨関節変性疾患、リウマチ性疾患、脊椎脊髄疾患、末梢神経疾患、骨軟部腫瘍、代謝性骨疾患など多岐にわたる。当科ではあらゆる分野に対応できるよう、各分野に専門スタッフを揃えて診療体制を整えている。

外来

 平成22年度の外来診療については、新患は月・水・金曜日、再診は月~金曜日まで毎日対応した。専門外来としてリウマチ性疾患、脊椎脊髄疾患、末梢神経障害、骨軟部腫瘍、小児整形、股関節、膝関節、肩関節、手外科、スポーツ障害、骨代謝性疾患(主として骨粗鬆症)を開設し、一般外来を含めて受診患者の診療にあたった。平成22年度の新患患者は1,044名、延べ外来患者数は22,370名であった。

入院

 整形外科・リウマチ科病棟は主として8A病棟を使用しているが、患者の年齢、重症度を勘案して小児病棟、高次集中治療病棟なども利用している。近年は入院患者における高齢者の割合が増加してきており、早期社会復帰を目指した術後リハビリテーションが重要であると考えられる。当科では米子市周辺のリハビリテーション病院を中心とした医療機関と提携して行い、早期離床と早期社会復帰を目指している。平成22年度の新入院患者は681名、平均在院日数は21.72日であった。

手術

 平成22年度の手術件数は614件であった。件数は前年度より増加しており、手術部・麻酔科の協力を得つつ手術を行っている。

1) 骨折外傷手術:緊急手術・多発外傷・高エネルギー外傷の症例が多い。

2) 脊椎手術:高齢者の手術件数は引き続いて多く、近隣病院からの紹介患者数も多い。また、脊椎外傷患者の受け入れも多数行っており、手術件数は多い。

3) 人工関節・骨切り術:関節疾患に対する手術では、高齢者では人工関節置換術が多いが、若年者ではなるべく骨切り術などの自家骨を用いた関節温存手術を行うようにしている。人工関節置換術、骨切り術ともに手術数が増加している。

4) 感染症手術:近年は糖尿病などを有する患者や免疫低下状態の患者が増加し、骨関節や軟部組織の感染を来たして紹介されてくる症例も増加傾向にある。重篤な全身状態で搬送されることが多いため、救急災害科などとの連携を図りつつ治療を行っている。

5) 手外科・マイクロサージャリ―・形成外科的手術:手術件数が飛躍的に増加している。近隣病院で手外科を専門に行う施設が少ないため、紹介患者が多く、緊急手術の件数も多い。

6) リウマチ性疾患に対する手術:生物学的製剤による治療進歩により、手術対象となる患者は減少している。手術は関節形成手術が多い。

7) 骨軟部腫瘍手術:骨軟部腫瘍では、良性腫瘍に対して切除術、悪性腫瘍に対しては手術+補助療法(化学療法・放射線照射)を施行している。腫瘍用人工関節の進歩、骨延長、マイクロサージャリ―技術による骨移植や複合組織移植といった手法が確立され、患肢温存手術を選択する機会が増加し、四肢切断を施行する症例は減少した。手術数は平成21年度と比較し増加している。

8) 関節鏡視下手術:膝、肩、肘など鏡視下手術の技術が進歩し、低侵襲手術として関節外傷・疾患に対する手術件数が増加している。

今後の展望

 当科を受診される患者は、他科的疾患を合併していることが多く、近隣病院より合併疾患の存在のため紹介される場合もある。そのため、患者の全身機能評価を踏まえつつ最善の治療を提供していく必要がある。また、リハビリテーション部や近隣病院と情報交換を密に行い、機能回復に向けた連携体制を今後より一層充実させていく努力が必要である。

 

            平成22年度の手術件数と内容

手術名

件数

骨折

56

脊椎

132

人工関節

94

骨切り術

          12

感染症

35

手外科・マイクロ・形成外科的手術

78 

関節リウマチ

           8

骨軟部腫瘍

57

関節鏡視下手術(膝・肩・その他)

70

末梢神経障害

22

外傷・その他

50

         計

614(重複あり)

 

(文責:遠藤 宏治)