3-2-04. 精神科
精神科
平成22年度の精神科の活動状況を報告いたします。
当科では,患者さんの臨床症状の改善だけでなく,学業や就労などの生活全般を視野に入れた治療やリハビリテーションを実践しています。治療内容は世界的に用いられている標準的な治療を用いるとともに,最先端の脳科学の技術を用いた検査法により,できるだけ科学的な診断に基づいた治療を目指しています。また,患者様が安心して治療を受けられるように,担当医は患者様と厚い信頼関係を築くこと,および治療に関するニーズをよく把握することを重視しています。
当科の病床は閉鎖病棟24床,開放病棟9床で構成され,時代の状況を反映する多様なこころの病に苦しむ患者様のニーズに合った治療を心掛けています。閉鎖病棟では,精神症状のために治療と保護が必要な方を対象として,主として統合失調症,気分障害(単極性うつ病,双極性障害),様々な原因による認知症,強迫性障害,摂食障害,広汎性発達障害などの患者様に対応しています。治療方法としては,診断および状態像に対してもっとも適切と判断される向精神薬による薬物療法が治療の中核となります。しかし,薬物療法で十分な治療効果が得られない場合もあり,適応がある患者様に限って,修正型電気痙攣療法を麻酔科の協力の下に全身管理に万全の注意を払いながら行っています。平成21年度も延べ50名の方がこの治療法で改善されています。こうした身体的治療に加えて,うつ病や不安障害に対する認知行動療法や統合失調症に対する認知リハビリテーションである認知矯正療法を行っています。また,地域の精神科単科病院からの要請が多い,身体合併症を伴った患者様の受け入れにも力を入れています。他方,開放病棟は比較的症状の軽い患者様の治療と静養を兼ねた入院治療を行っています。
外来診療では,1日平均約90名の患者様の治療を行っています。通常の精神疾患に対する一般診療に加え,地域でニーズの高かった児童思春期,特に発達障害に関する専門外来を平成22年4月より開設致しました。さらに,精神科としては初めての先進医療「光トポグラフィー検査を用いたうつ状態の鑑別診断補助」を始めました。平成22年には全国から計11名の方が受診され,今後の治療方針決定に有効であると好評を得ています。また,医学部内に解説された臨床心理相談センターとの緊密な連携の下に,認知行動療法や専門的なカウンセリングをご希望の方の治療をご依頼しております。
メンタルヘルスを担う地域の中核医療機関として,今後は院内での検査・診断・治療だけでなく,予防活動にも力を注いで参りたいと考えております。