3-3-11. 総合周産期母子医療センター

平成18年7月1日に、鳥取県から本院が総合周産期母子医療センターとして指定され、7月14日から運営を開始いたしました。当センターはMFICU6床を含む母体・胎児部門20床とNICU9床を含む新生児部門18床と分娩部門から構成されています。
当センターは厚生労働省の周産期医療対策事業に基づいて運用されており、他の医療機関から患者様の救急搬送の受け入れと治療を本センターの重要な機能としています。
母胎・胎児部門は主として、早産児・低出生体重児の出産が予想される場合等、他の医療機関の医師が搬送を必要とした患者様を受け入れます。また新生児部門は、低出生体重児に加えて、呼吸、循環、神経症状・腹部症状、黄疸、重症仮死等の症状により、他の医療機関の医師が搬送を必要とした患者様を受け入れます。また、当センターでは産科や新生児科だけでなく、脳神経小児科、小児外科など、種々の専門家の協力を得て、如何なる合併症を持つ妊婦さんでも妊娠中から産後まで、そして最重要の新生児ケアを「総合的」に行うことができる医療施設を目指します。
ハイリスク妊婦の分娩を当院内で行うことにより、病的新生児・早産児の初期治療を充実させ、新生児搬送に伴うリスクを回避することが出来ますし、ハイリスク妊娠分娩について、妊娠早期から母胎・胎児・新生児の管理治療を一貫して行うことが可能となります。
当センターではこのような医師・看護師の充実と最新の機材を用いて、おかあさんと赤ちゃんの生命と健康を守るために、県内全域の周産期医療機関と協力して、全力をつくしていきたいと考えております。
副センター長 長田郁夫
平成21年の症例、活動
【母体胎児部門】
分娩件数(母体数) 293例(単胎 270例, 多胎 23例)
分娩数(総出生児数) 317例
生産 300例
死産 17例(22週未満 12例, 22週以降 5例)
他施設からの紹介
母体搬送 56例(19%)
外来紹介 139例(48%)
当院 95例(32%)
分娩様式(22週以降285例)
経腟分娩 171例(うち多胎9例)
吸引分娩 18例(うち多胎 2例)
帝王切開 97例(うち多胎 9例)
予定帝王切開 45例(うち多胎 2例)
緊急帝王切開 50例(うち多胎 7例)
※緊急帝王切開の適応
骨盤位、既往帝切の陣発、破水 14例
胎児機能不全 11例
分娩停止 8例
妊娠高血圧症候群 5例
前置胎盤などの母体出血 4例
胎盤早期剥離 2例
その他 6例
※早産児 102例の母体疾患
前期破水 32例(32%)
切迫早産 30例(30%)
胎盤機能不全 8例( 8%)
前置胎盤 8例( 8%)
妊娠高血圧症候群 6例( 5%)
子宮内胎児発育不全 5例( 5%)
胎盤早期剥離 2例( 2%)
その他 11例(10%)
【新生児部門】
症例
入院数261人
院内出生 206人(78.9%)、院外出生 55人(21.1%)
出生体重別
~999g 11例
1000~1499g 22例
1500~1999g 25例
2000~2499g 64例
2500g~ 139例
呼吸管理症例数
人工換気 52例、
持続陽圧呼吸 47例(人工換気と重複あり)

主な疾患
呼吸器疾患 145例
呼吸窮迫症候群、胎便吸引症候群、新生児一過性多呼吸
先天性肺炎など
先天性心疾患 4例
房室中隔欠損症、先天性肺動脈弁狭窄症など
内分泌疾患 2例
高インスリン性低血糖症
外科症例 4例
先天性横隔膜ヘルニア、十二指腸閉鎖、鎖肛、食道閉鎖
中枢神経疾患症例 2例
脳脊髄膜瘤、脳瘤
その他
重症黄疸、膿胸など
他施設への搬送例
院内小児病棟へ転棟 8例
他施設(診療所、病院)への逆搬送 13例
他の医療機関への搬送 1例
療育施設への入所 2例

新生児部門における有資格者
周産期(新生児)専門医 2名(うち1名は暫定指導医)
小児循環器暫定指導医1名
新生児蘇生プログラムインストラクター 3名
新生児集中治療認定看護師1名
国際ラクテーションコンサルタント3名
新生児部門の活動
新生児蘇生法勉強会 2回、母乳育児支援セミナー、脳波モニタリング講習会、第147回周産期母子医療研究会、NICU同窓会(カンガルーファミリーの会)を開催