3-3-14. 高圧酸素治療室

治療内容について、本年度は昨年度に比して、全体として25%程度治療回数の増加が見られた。放射性脊髄神経疾患や、感染症関係、突発性難聴等の頻度の高いのは例年どおりであるが、救急適応である一酸化炭素中毒に対する治療が減っている。診療科として、脳内、整形、救災、耳鼻科などの診療科に対する治療回数が多いのは、適応疾患の関係で変わらない。
高圧酸素治療室には第1種高気圧酸素治療装置と第2種高気圧酸素治療装置が各々一基ずつ導入されている。前者は一人用で、状態の比較的落ち着いている患者に適用される。後者は治療装置室内が広く、1度に4~6名の患者さんを治療することができる。また、重症の患者さんで医師や看護師の付き添いが必要な場合でも、患者とともに医療スタッフを収容し、高気圧酸素治療を施行でき、閉所恐怖症の患者さんや、業務災害などで一度に多くの高気圧酸素治療が必要な患者が発生した場合でも、治療対応が可能となっている。また副室を備え、高度一万メートルに相当する低気圧環境を現出することが可能であるため、低気圧環境下における生理学及び工学的研究や、高山環境への馴化のための登山前訓練への応用などにも利用できる。本年度も、1名ではあるが自費で馴化訓練を行った。ただ、第2種高気圧酸素治療装置は、維持費用が高額になってしまうところが欠点である。両装置ともに、そろそろ更新の時期に来ているが、対応に苦慮している。
(齋藤憲輝、松上紘生)

統計

疾患別治療総回数
疾 患 名 救急適応 非救急適応 総計
放射線性脊髄神経疾患   93 93
突発性難聴   27 27
ガス壊疽 9 14 23
放射性下顎骨骨髄炎   20 20
膀胱内出血(潰瘍性?)   20 20
蘇生後脳症   18 18
両側腸腰筋膿瘍   18 18
右急性脛骨骨髄炎   10 10
右膝切創・MRSA感染症   10 10
潜水病 2 6 8
壊死性筋膜炎 1 6 7
急性薬物中毒 2 5 7
高山トレーニング   4 4
一酸化炭素中毒 1   1
総数 22 191 213

診療科別治療法回数
診療科別 救急適応 非救急適応 総計
脳内   93 93
整形 5 34 39
救災 10 17 27
耳鼻   27 27
口腔外科   20 20
泌尿器   20 20
乳腺   18 18
脳外   18 18
高山トレーニング   4 4
総数 15 251 266