3-3-01. 検査部

検査部では、約280項目の検査を1日平均約10,000件実施している。大型の検査装置で多項目多数の検体を同時高速処理できる検査から1名の患者さんに臨床検査技師1名が1時間を要する検査まで多種多様である。全ての検査結果が安心・安全な医療に繋がるように知識と技術の向上に努めるとともに、全員参加型の業務改善、教育、安全管理、情報管理の各委員会を設け、検査部として何ができるかを検討しながら活動している。

1.検査機器更新

平成21年度には、検体前処理搬送システムと生化学・免疫血清検査装置を更新し、既存の腫瘍関連検査測定機器とウイルス感染症検査測定機器2台も搬送ラインに接続した。多くの検査が診療前検査であることから、搬送ラインと機器の更新、接続は、より精度の高い多くの検査結果の迅速報告を可能としスムーズな外来診療と患者サービス向上に繋がった。

平成22年6月に行った4週間の調査では、血液一般検査は、採血受付から、採血を行い検査機器で検体を受付するまでの時間は平均17.2分、測定・結果報告までの時間は平均4.3分の合計21.5分であった(図1)。生化学検査は、採血受付から、採血を行い採取管内の血液凝固確認後遠心して搬送ラインに搬入し受付するまでの時間は平均29.1分、測定・結果報告までの時間は平均19.4分の合計48.5分であった(図2)。採血から結果報告までの時間短縮には、採血待ち時間の短縮が最も効果的である。1日平均300名、多い日では450名の患者さんの採血に、混雑時には最大で8名の採血者を配置できるように検査の効率化をさらに推進したい。

検査機器更新に伴い、それまで薬剤部で実施していた薬物血中濃度測定を検査部で行うこととした。検査部の機器は医療情報システムに接続している検査部門システムにオンラインしているため検体の取り違え防止と省力化になり、薬剤師の負担軽減に繋がったといえる。

2.検査件数

検査件数は年々増加しており平成21年度も前年に比較し、5.2%増となった。なかでも緊急検査、特に時間外の緊急輸血の件数が大幅に増加しており、救急外来や病棟の重症患者受入を反映していると思われる。

3.専門性の高い臨床検査技師

臨床検査技師という国家資格だけではなく担当業務に関しての知識と技術の啓発に努め日常業務にフィードバックするために、学会が認定する様々な認定資格を多く取得してきた。平成21年度も新たに日本臨床神経生理認定技術士を取得したことにより、現在では延べ40名の資格者を有することとなった。

検査部
図1
 検査部

図3
検査部門 件数
前年度比
(21年度/20年度)
総点数
前年度比
(21年度/20年度)
一般検査 74,234 97.6 2,136,699 97.9
血液検査 230,757 103.3 7,610,981 103.6
生化学検査 1,362,304 104.2 17,734,310 103.2
免疫血清検査 219,364 102.9 18,339,651 102.3
微生物検査 44,899 103.0 4,590,655 102.2
薬物血中濃度 3,252   1,528,440  
緊急検査 血液ガス分析 1,573 109.8 235,950 109.8
緊急生化学 424,727 109.7 5,322,524 109.6
緊急血液 51,520 119.3 1,625,024 121.2
緊急髄液一般等 2,443 123.5 287,960 122.8
緊急輸血 2,021 143.7 53,610 137.7
生理検査 循環器機能検査 16,083 107.0 2,846,166 107.3
脳・神経機能検査 1,866 112.0 1,053,100 107.8
呼吸機能検査 6,678 111.5 1,036,208 110.9
感覚機能検査 3,360 114.7 1,121,320 109.6
超音波検査※ 9,218 117.8 5,907,310 113.7
採血 71,904 104.1 790,944 104.1
合計 2,526,203 105.2 72,220,852 107.2
※超音波検査室の件数も含む
(谷本 綾子)