3-3-24. 治験管理センター
治験、製造販売後調査および試験の新規・継続契約件数の推移を図1および2に示す。図に示すごとく、治験の新規と継続の契約件数は、依然減少傾向にある。17年度以降の新規契約件数はほぼ一桁であり、平成21年度は新規7件、継続21件(医師主導治験2件を含む)の合計28件であった。症例数についても同様に減少傾向にある。製造販売後臨床試験の契約件数は、新規0件、継続1件であった。使用成績調査および特定使用成績調査の契約件数は順調に増加しており、21年度は新規・継続あわせて使用成績調査が68件、特定使用成績調査が83件であった。また、図には示していないが、21年度に契約した副作用・感染症症例報告は15件であった。本院での副作用・感染症症例報告契約件数について過去に遡ってみると、平成11年度4件、12年度5件、13年度5件、14年度17件、15年度13件、16年度5件、17年度19件、18年度16件、19年度16件、20年度15件であり最近は年間16件前後で推移している。
製造販売後調査の最近の傾向として全例調査が増えてきている。これは、特に抗がん剤で多くみられ、ドラッグラグを解消するためなど少ない治験症例で承認されることから、製造販売後は全例を対象に調査が行われるものである。新規契約件数に対する全例調査の割合について平成18年度まで遡ってみると、使用成績調査では、平成18年度は新規契約14件の内4件(29%)、19年度は新規契約14件の内6件(43%)、20年度は新規契約25件の内14件(56%)、21年度は新規契約25件の内14件(56%)であった。特定使用成績調査では、平成18年度は新規契約14件の内4件(29%)、19年度は新規契約21件の内9件(43%)、20年度は新規契約25件の内10件(40%)、21年度は新規契約33件の内14件(42%)であった。件数、割合ともに増加の傾向にある。全例調査の中でも、登録等の仕方が異なり契約成立後でないと医薬品の納入ができないものや、医療機関や医師の登録、要件が厳しく制限されているものなど、実際に使用し調査を開始するまでに多くハードルを越えることが必要なものがある。今後、益々その傾向になると思われる。
鳥取大学では、治験や製造販売後調査に係わる経費は前納となっている。世の中の流れとして、実際に実施した症例数について対価が支払われる(出来高制)ようになってきており、本院も契約の仕方について早急に検討をしていく必要があると思われる。
治験については、国の方針により拠点病院が絞り込まれるなど、特に地方の大学・医療機関では今後益々件数が減るなど、厳しい状況になることが予想される。しかし、最近本院が受託する治験の傾向として、抗がん剤や、市中の施設では症例がなかなか集められない治験などが申請されるようになってきた。このような治験の場合、被験者の来院が毎週になるなど、件数は減っても受入側(医師やCRCなど)の業務量は減らなくなってきている。今後、治験を受託する上では人的な体制整備も必要と思われる。
図1.治験および製造販売後臨床試験契約件数の推移
図2.製造販売後調査(使用成績調査および特定使用成績調査)契約件数の推移
(林原 正和)