3-2-02. 第二内科診療科群

当科は消化器内科(肝臓グループ、消化管・胆・膵グループ)47床、腎臓内科8床を有し、各診療グループが密に連携をとりながら外来及び病棟診療を行っている。

【肝臓グループ】

対象疾患
1.ウイルス性肝疾患

慢性肝炎、肝硬変に対し、インターフェロンや核酸アナログなどの抗ウイルス療法を中心にウイルスの除去、肝炎進展抑制、発癌予防を目的に患者さんの病状に合わせた治療を行っています。また、進行した肝硬変での腹水、肝性脳症、食道胃静脈瘤に対しても積極的に治療しています。

2.肝臓癌

肝臓癌の早期発見のために、造影超音波や新しいMRI造影剤を用いた最新の画像診断を取り入れています。治療においては10年以上の生存を目指してラジオ波焼灼療法(RFA)、エタノール注入療法などの局所療法を積極的に行っています。また、放射線科と協力し、肝動脈塞栓療法、リザーバーを用いた肝動注化学療法を行っています。
内科・外科・放射線科との三科合同カンファレンスにおいて患者さんに最も良い治療法を検討しています。
肝癌の再発を減らすために、肝がん治療後にもインターフェロンなどの抗ウイルス療法をはじめとした発癌予防に取り組んでいます。

3.急性肝炎、劇症肝炎

当院は山陰地区の基幹病院として、高度医療を必要とする重症肝炎や劇症肝炎を受け入れています。消化器外科と肝移植にも取り組んでいます。

4.脂肪肝、脂肪肝炎

近年生活習慣病の一つとして増加の著しい脂肪肝、脂肪肝炎に対しても肝生検や新しい血清マーカーを用いた診断を行い、食事・運動療法を中心として薬物療法も行っています。

5.遺伝性肝疾患

ポルフィリン症を中心として遺伝子診断、治療を行っており、全国より診療の依頼を受けています。

得意分野
  1. 非代償期肝硬変の対策
  2. 肝癌に対するラジオ波焼灼療法
  3. 進行肝癌に対する動注化学療法
  4. C型肝炎ウイルスに対するインターフェロン療法
  5. 脂肪肝炎の診断、治療
  6. ポルフィリン症の遺伝子診断
主な検査
1.最新画像診断

超音波、造影超音波、CT、MRI、血管造影、PET-CT

2.肝生検、肝腫瘍生検

【消化管・胆・膵グループ】

ハイビジョン画像システムやNBI(narrow band imaging)などを併用した内視鏡検査による癌の早期発見、拡大内視鏡・超音波内視鏡を用いた病変の詳細な検討も行っている。また、症例によっては患者様の苦痛軽減のため、経鼻内視鏡も導入している。内視鏡治療では、食道静脈瘤に対する内視鏡的硬化療法・静脈瘤結紮術、消化管出血止血術、消化管内異物除去、消化管狭窄治療、早期食道癌および早期胃癌に対する内視鏡的粘膜切除術・アルゴンプラズマ及びレーザー焼灼術、胆膵疾患に対する砕石術・胆道ドレナージ、早期大腸癌・ポリープの内視鏡的治療等の様々な治療が行われている。最近は早期胃癌に対する新しい内視鏡的切除術である内視鏡的粘膜下組織剥離術(endoscopic submucosal dissection; ESD)も行うようになっている。消化性潰瘍等に対するヘリコバクター・ピロリ除菌療法、炎症性腸疾患診療、食道・胃・胆道・膵癌の化学療法にも積極的に取り組んでいる。また、特殊検査として小腸内視鏡、膵疾患及び消化管粘膜下腫瘍などに対して超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNA)、特殊治療として膵石に対しては体外衝撃波結石破砕療法を施行している。

【腎臓グループ】

検尿異常、腎機能障害に対する腎生検、ネフローゼ症候群、急速進行性腎炎症候群の治療、急性腎不全に対する血液透析および慢性腎不全に対する透析導入、合併症治療が主な診療内容である。平成21年度腎生検数は51件であった。透析コンソールは病棟に2台あり、血液透析は急性腎不全が4例、慢性腎不全の血液透析導入が17例、透析患者の合併症による入院中の透析が11例、その他が4例であった。また腹膜透析の導入は3例であった。

(文責 統括医長 原田賢一)