3-2-05. 小児科

第4代教授の神崎晋が就任して9年、当科では診療、教育、研究の各方面において幅広い活動を続けています。
診療面においては、小児科は近年特に専門分化が進み各専門分野における充分な知識や技術を有した診療が要求されるようになっています。しかしその一方で小児をトータルにケアすることも忘れることはできません。さらに小児医療は胎児医療から思春期医療を含む総合医療、即ち成育医療として多様な医療体系を呈してきています。このような情勢のもと当教室では専門分化とともに小児の総合医療を実践していけるよう努力を重ねています。
外来診療におきましては初診、再来患者外来が毎日ありますが、加えて各専門外来が開かれています。専門外来は循環器疾患(月曜日午前午後、金曜日午前)、肝・胆道/消化器疾患(火曜日午前)、内分泌代謝疾患(水曜日午前)、血液悪性腫瘍疾患(水曜日午前)、フォローアップ健診(木曜日午前)、乳幼児健診(木曜日午前)、喘息・アレルギー疾患(木曜日午後)、膠原病・腎泌尿器疾患(金曜日午前)に分けられています。
当大学附属病院の小児総合病棟は小児医療を総合的に担う診療部として益々重要な役割を果たすべきと考えています。小児総合病棟におきましては小児内科系と小児外科系の枠を越えて診療各科が共同して診療が行われています。また白血病、悪性腫瘍に対する造血幹細胞移植や動脈管開存症に対するカテーテルintervention術などをはじめとして、各専門領域における高度医療が行われています(表1)。
小児総合病棟内の新生児医療センターは9床の新生児集中治療施設(NICU)を含む18床を有し、山陰地方の新生児医療の中核施設として機能し、年間250例前後の病的新生児の管理が行われています。多胎児や出生体重1000g未満児の管理に加えて、当院外科系各科の協力のもと外科系疾患の治療も積極的に行っています(表2)。
最近小児疾患は多様化しており、糖尿病、肥満や高脂血症などの生活習慣病などの疾患にも対応する必要がありますが、当教室でも外来、病棟ともにこれらの疾患にも対応できるよう鋭意努力しています。また長期の入院生活を強いられる患児に対して、就学年齢の児を対象とした院内学級が小児総合病棟に開設されおり、就将小学校、湊山中学校から教員を派遣していただいています。
今後も診療、研究ともに高度医療を担う地域の中核施設としてさらなる研鑽を重ね小児医療の発展に貢献したいと考えています。


表1 平成20年度小児科入院患者数(新生児医療センターを除く)
疾患名   疾患名  
血液・腫瘍 118 喘息・アレルギー 15
呼吸器 43 腎臓・膠原病 64
循環器 89 神経・筋疾患 3
肝臓・消化器 18 中毒・事故 6
内分泌・代謝 44 その他 26
感染症 18    
    合計 444

表2 平成18年度新生児医療センター入院患者数
出生時体重(g) 患者数
1,000g未満 6
1,000以上1,500未満 17
1,500以上2,500未満 80
2,500以上4,000未満 133
4,000以上 1
合 計 237



(村上 潤)