3-2-02. 第二内科診療科群
当科は41床を有し、肝臓、消化管・胆・膵、腎臓疾患の3つの診療グループが密に連携をとりながら病棟診療を行っている。
肝臓グループでは、ウイルス性慢性肝疾患が慢性肝炎、肝硬変、肝癌と進展していくことを考慮して、それぞれの時期に最も望ましい治療法を行っている。つまり、慢性肝炎においてはインターフェロンや抗ウイルス剤の投与によりウイルスの除去、肝炎の進展抑制を行い、肝硬変においては、ウイルスの抑制や肝発癌の予防、肝再生の促進を目的とした治療を行っている。肝癌に対しては、10年以上の生存を目指してラジオ波焼灼療法、エタノール注入療法、および放射線科と協力し肝動脈塞栓術やリザーバーを用いた持続的肝動注化学療法を肝癌の進展度に合わせて行っている。また、造影超音波やreal time virtual sonographyといった新しい画像診断にも取り組んでいる。肝癌治療後においても、新たな発癌を抑制するために抗ウイルス療法をはじめとした発癌予防に取り組んでいる。高度の肝硬変、肝不全患者や劇症肝炎に対しては第一外科とともに肝移植へ取り組んでいる。さらに近年話題となっている生活習慣病としての脂肪肝、脂肪性肝炎の治療も積極的に行っている。
消化管・胆・膵グループでは、ハイビジョン画像システムやNBI(narrow band imaging)などを併用した内視鏡検査による癌の早期発見、拡大内視鏡・超音波内視鏡を用いた病変の詳細な検討も行っている。また、症例によっては患者様の苦痛軽減のため、経鼻内視鏡も導入している。内視鏡治療では、食道静脈瘤に対する内視鏡的硬化療法・静脈瘤結紮術、消化管出血止血術、消化管内異物除去、消化管狭窄治療、早期食道癌および早期胃癌に対する内視鏡的粘膜切除術・アルゴンプラズマ及びレーザー焼灼術、胆膵疾患に対する砕石術・胆道ドレナージ、早期大腸癌・ポリープの内視鏡的治療等の様々な治療が行われている。最近は早期胃癌に対する新しい内視鏡的切除術である内視鏡的粘膜下組織剥離術(endoscopic submucosal dissection; ESD)も行うようになっている。消化性潰瘍等に対するヘリコバクター・ピロリ除菌療法、炎症性腸疾患診療、食道・胃・胆道・膵癌の化学療法にも積極的に取り組んでいる。また、特殊検査として小腸内視鏡、超音波内視鏡下のFNA(fine needle aspiration biopsy)、特殊治療として膵石に対しては体外衝撃波結石破砕療法を施行している。
腎臓グループでは検尿異常、腎機能障害に対する腎生検、ネフローゼ症候群、急速進行性腎炎症候群の治療、急性腎不全に対する血液透析および慢性腎不全に対する透析導入、合併症治療が主な診療内容である。平成19年度腎生検数は41件であった。透析コンソールは病棟に2台あり、血液透析は急性腎不全が4例、慢性腎不全の血液透析導入が10例、透析患者の合併症による入院中の透析が13例であった。また腹膜透析の導入は2例であった。
(河口 剛一郎)