3-3-24. 治験管理センター

平成16年度以降、毎年当院の医薬品・医療機器臨床試験取扱規程を改訂しているが、平成19年度も改訂作業を行った。その内容は、副看護部長1名を新たに加え、代わりに診療科長及び診療施設の部長のうちから選出された者6名を5名としたものである。これは、GCP省令第28条の治験審査委員会の構成等において、治験審査委員会は男女両性で構成されることが望ましいとされていることに則ったものである。

治験、製造販売後調査および試験の新規・継続契約件数の推移を図1、2に示す。図に示すごとく、平成17年度、18年度と2年続けて一桁であった治験の新規契約件数は、19年度17件(医師主導治験2件を含み治験に準じて申請された体外診断薬1件を除く)と一見回復したかにみえたが、新規と継続を合わせた件数は、18年度、19年度とも35件であり、50件を切った平成14年度以降減少傾向にある。件数は少なくても症例数が多ければよいとの考え方もあるが、治験の契約症例数も平成14年度以降、新規は100例を、新規及び継続を合わせたものは200例を切っている。製造販売後臨床試験の契約件数は、新規、継続合わせて3件であった。使用成績調査および特定使用成績調査の契約件数は順調に増加しており、19年度は新規・継続合わせていずれも50件であった。

新規治験受け入れ件数に対する診療科数の割合(以下、割合)は、10年度29.4%(新規契約34件に対して10診療科:以下同様)、11年度37.9% (29件、11診療科)、12年度37.5%(24件、9診療科)、13年度50.0%(20件、10診療科)、14年度36.8%(19件、7診療科)、15年度50.0%(16件、8診療科)、16年度43.5%(23件、10診療科)、17年度66.7%(9件、6診療科)、18年度75.0%(8件、6診療科)、19年度47.1%(17件、8診療科)であった。割合については、新規契約件数が多いと低く、件数が少ないと高くなる傾向がみられた。近年の割合は、ほぼ5割以上であり、治験を実施しているのは特定の診療科であることを意味しているのではないだろうか。

平成10年度以降新規契約された治験のうち、過去に前相等を本院で実施したことがある治験数は、10年度34件中10件(29.4%)、11年度29件中4件(13.8%)、12年度24件中11件(45.8%)、13年度20件中6件(30.0%)、14年度19件中5件(26.3%)、15年度16件中5件(31.3%)、16年度23件中6件(26.1%)、17年度9件中5件(55.6%)、18年度8件中4件(50.0%)、19年度17件中5件(29.4%)であった。平成13年度以降、5件前後で推移している。過去に実施した治験の後相が再び本院で実施される件数が多いことはもちろん好ましいことではあるが、逆の見方をすると受入件数の総数が少ない場合は、これまで実施したことのない新たな治験の申込が少ないことであり、本院が深刻な状況につながる可能性がある。

センターの人員では、平成19年度当初CRC 3名体制でスタートしたが、うち1名が年度途中で退職し再び2名体制となった。CRC 2名とも非常勤職員であるが、その専門性は非常に高く、今後の当院での治験実施を考える上で勤務年限等の問題をクリアする必要がある。治験は外部資金導入の点で重要であり、本院での契約件数・症例数を増やし、かつ質の高い治験を実施するためには、病院当局、診療科、治験管理センターが協力して治験を推進しなければならない。

(林原 正和)

図1.治験および製造販売後臨床試験契約件数の推移
図1.治験および製造販売後臨床試験契約件数の推移

図2.製造販売後調査(使用成績調査および特定使用成績調査)契約件数の推移
図2.製造販売後調査(使用成績調査および特定使用成績調査)契約件数の推移