3-2-08. 整形外科
<外来>
平成19年度の外来診療は、新患は月、水、金曜日、再来は月から金曜日まで毎日対応した。専門外来として、リウマチ性疾患、脊椎脊髄疾患、末梢神経障害、骨軟部腫瘍、小児整形、股関節、膝関節、肩関節、手の外科、スポーツ傷害、骨代謝(主に骨粗鬆症)を開設し、初診(主に紹介患者)・再診患者の診療にあたった。平成19年度の新患患者は1507名、延べ外来患者数は24115名であった。
<入院>
整形外科・リウマチ科病棟は8階にある一般病棟であるが、患者の重症度や年齢によって高次集中治療病棟、小児病棟も使用する。予定入院のほとんどが四肢・脊椎の手術を受ける患者であり、その大半が高齢者である。そのためスムースに術後リハビリテーションへ移行し早期社会復帰を目指すプログラムが必要である。当科では術前または術後早期から支援センターを通して米子周辺の医療機関と地域連携を行い、情報交換を行っている。特に高齢者の大腿骨頚部骨折では地域連携パスを導入し、早期離床を目指した診療体制をとるよう努力している。また救急災害科の開設以降、交通事故をはじめとする多発外傷での入院患者が増加しており、救急災害科医師の協力のもと救命救急センターの利用が増加傾向にある。平成19年度の新入院患者は758名、平均在院日数は20。45日であった。
<手術>
平成19年度の手術件数は683件であり、前年度の619件より64件増加した。手術部、麻酔科の協力を得て、定期の手術枠以外にも緊急手術、時間外・夜間・休日手術も行っており、年々増加している。
(1)骨折外傷手術 :緊急手術や多発外傷患者の手術が増加している。
(2)脊椎手術 :高齢者や内科的疾患を合併した患者が多く、そのなかで手術を希望する患者が増えており、平成19年度の当科における脊椎手術は142件であった。理学所見と各種画像所見を十分に検討し、適切な術式を決定すると共に必要な場合には内固定材料を用いることにより早期離床を目指している。腰椎椎間板ヘルニア患者に対して、低侵襲で手術が行えるよう内視鏡視下手術機器を整備し、患者のQOL向上や早期社会復帰をめざして努力している。
(3)人工関節・骨切り術 :平成19年度に行った人工関節置換術は、股関節31件、膝関節27件、その他1件であった。また骨切り術は9件であった。関節疾患に対しては、若年者には骨切術など関節温存手術を行うが、高齢者では人工関節置換術の比率が高くなる。人工関節置換術を開始して約30年が経過し、再置換術を必要とする患者も増加してきた。再置換術では、より高度な知識と技術が必要であるが、各種人工関節補強材や同種骨移植などを併用し安定した成績が得られるようになった。
(4)手の外科・マイクロ・形成外科的手術 :手の外科では、近年患者のQOL維持向上のため、マイクロサージャリーを必要とし、紹介されてくる患者が増えている。平成19年度の手の外科・マイクロ・形成外科的手術の件数は99件であった。
(5)リウマチ性疾患の手術 :生物学的製剤の使用により、活動性の関節炎に対し滑膜切除を行う症例は減少傾向にある。
(6)骨軟部腫瘍の手術 :平成19年度における骨軟部腫瘍に対する手術件数は67件であった。骨軟部腫瘍の治療においては、化学療法や術式の改良により、従来の切断術に代わって患肢温存が可能な症例が増えている。腫瘍用人工関節、創外固定器を用いた骨延長、マイクロサージャリーによる血管柄付骨移植、複合組織移植などの技術により患肢温存手術の成績も向上しつつある。
(7)関節鏡視下手術 :鏡視下手術は低侵襲であり、病態を把握する上で有用な方法である。当科ではスポーツ選手や中高齢者の膝や肩関節の外傷や疾患に対して鏡視下手術を行うことが多く、この数年明らかに増加している。
<今後の展望>
整形外科では外科的治療のみならず、いわゆる保存療法といった内科的治療も行っている。局所の病状のみにとらわれることなく、患者の全身の機能を評価し
平成19年度の手術件数とその内容
手術名
件数
骨折
80
脊椎
142
人工関節
59
骨切術
9
骨関節感染症
64
手の外科、マイクロ、形成外科的手術
99
関節リウマチ
5
骨軟部腫瘍
67
関節鏡視下手術(膝・肩・その他)
81
末梢神経障害
15
外傷・その他
71
計
683(重複あり)