3-2-03. 第三内科診療科群

第三内科は平成16年4月からの法人化をふまえて、特定機能病院における高度先進医療の追求、入院期間の短縮や効率化、高い稼働性を目指して日々努力を重ねている。入院の状況は昨年度と同様、病床稼働率が常時100%超という状態が続いており、大幅増床がなされた。外来では各種専門外来が充実するとともに、外来化学療法室を利用し入院期間の短縮と患者さんへの利便をはかっている。平成17年度から膠原病内科を担当し担当診療科は「呼吸器内科」、「膠原病」の他、肺癌、アレルギー、呼吸器感染症と多岐にわたる。また、新しい卒後臨床研修制度に対応し、研修内容の充実と指導体制の強化を図っている。

1)呼吸器内科

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の潜在的患者数が多いことが明らかにされている。外来で禁煙外来を開き予防に努めている。治療は薬物治療を中心に診療を行い、感染などにより急性増悪を来した重症COPDに対しては、入院の上、非侵襲的陽圧換気療法を積極的に実施している。間質性肺炎に対して、胸腔鏡下肺生検を積極的に行い治療方針を決定している。睡眠時無呼吸症候群患者に対して終夜ポリソムノグラフィー検査を1泊2日で行い、重症例に在宅で持続気道陽圧療法(CPAP療法)を行うとともに、先進的研究も行っている。

感染症は種々の耐性菌の出現により複雑化、難治化している。我々は院内感染対策の1つとして難治性感染症の起炎菌であるMRSAやMDRP(多 剤耐性緑膿菌)などの感染経路を分子生物学的手法により検討している。さらに、山陰地方の基幹病院と連携し各種起炎菌の耐性化状況について継続調査してい る。免疫・アレルギー疾患のうち最も多い気管支喘息に関しては、国内あるいは国際ガイドラインに従い、外来治療を基本とした診療を行っている。

2)膠原病内科

平成17年度から診療を開始している。山陰地区に専門医が少ないことから遠方からの紹介も少なくない。研究会などを立ち上げ、周辺医療機関との協力も行っている。

3)腫瘍関連

最も多い肺癌に関しては、患者のQOLの向上や入院日数の短縮を図るため、診断、治療の中心は外来に移行している。外来で施行可能な化学療法として、我々はweekly paclitaxel療法を開発した。表1、2に示すように、この治療法は高い奏功率に加えて副作用が少ないという特徴を有する。診断面では経気管支超音波診断、蛍光気管支内視鏡検査、血清、体液中微量DNAを用いた癌遺伝子診断(高度先進医療)、治療面では気管支内病変に対する気管支鏡によるレーザー治療、ステント留置などにも力を注いでいる。肺癌以外の癌腫に関しては、乳癌を扱う機会が増加している。肺癌と同様、外来化学療法を中心に診療を行っている。

(鰤岡 直人)

統計

1.Weely paclitaxel療法の治療効果
患者
%
完全奏功 0 0
部分奏功 17 49
安定 6 17
進行 9 26
判定不能 3 9
総合効果 49%
95%信頼区間 32-66%
2.Weely paclitaxel療法の有害事象
Grade 1 Grade 2 Grade 3 Grade 4
% % % %
血液毒性
白血球減少 8 23 4 11 0 0 1 3
好中球減少 8 23 6 17 1 3 1 3
貧血 4 11 4 11 1 3 0 0
血小板減少 0 0 0 0 0 0 0 0
白血球減少性発熱 0 0 0 0 1 3 0 0
非血液毒性
神経障害 9 26 1 3 0 0 0 0
筋痛/関節痛 4 11 0 0 0 0 0 0
全身倦怠 3 9 0 0 0 0 0 0
嘔気/嘔吐 1 3 0 0 0 0 0 0
下痢 1 3 0 0 0 0 0 0
発熱 2 6 0 0 0 0 0 0
脱毛 12 34 7 20 0 0 0 0
爪変形 3 9 0 0 / / / /
じんま疹 0 0 1 3 0 0 0 0
低血圧 2 6 1 3 0 0 0 0
食欲不振 2 6 0 0 0 0 0 0
血栓症 0 0 0 0 0 0 0 0
間質性肺炎/肺線維症 0 0 0 0 1 3 1 3