医療スタッフ研修センター

 患者さんを思いやる心を持ち続けることが、看護の役割として最も重要であることに変わりはありませんが、昨今の医療の高度化および専門化、また国民の保健医療福祉に対する価値観やニーズの変化に伴い、看護の役割は拡大し、質の高い看護ケアが求められるようになってきました。このような期待に応え、看護の実践現場におけるケアの質向上を図ることを目的に、平成24年4月に医療スタッフ研修センター(旧・看護師キャリアアップセンター)が附属病院内に設置されました。
 本センターではこれらの目的を達成するため、平成24年度より認定看護師育成支援室を本センター内に設置し、日本看護協会が認定している『認定看護師教育課程』を開講し、特定分野の認定看護師を養成することといたしました。
 平成26年度からは在宅医療推進支援室を本センター内に設置し、鳥取県地域医療介護綜合確保基金事業として『在宅医療推進のための看護師育成プログラム』を開始し、訪問看護師を育成することといたしました。
 さらに特定機能病院として最先端医療に対応するために、病態の変化や疾患を包括的にアセスメントする能力を身につけ、治療内容を理解し安全に看護を提供できる人材の育成を目的として、看護師特定行為研修プログラムを平成30年度から提供できるように準備を整え、平成29年度に厚生労働省より指定研修機関に認定されました。

在宅医療推進支援室

  これからの日本の医療では、住み慣れた自宅で安心して暮らすことができる地域包括ケアシステムやコミュニティー文化の再構築が必須のものとなりました。これらの変化に対応するため、本院は、鳥取県の支援により、平成26年度より『在宅医療推進のための看護師育成支援事業』を実施しており、在宅医療推進支援室が担当しております。

【在宅医療推進のための看護師育成プログラム】

 平成27年度より3つのコースからなる「在宅医療推進のための看護師育成プログラム」を開設し、平成29年度は開講3年目となりました。

1) 教育目標

 患者の退院後の生活をイメージしながら入院中からセルフケア支援が出来る病院看護師、在宅医療者の医療処置管理や薬剤管理などの高度な知識や技術を備えた訪問看護師を育成することを目的します。

2) 各コースの概要

(1) 在宅生活志向をもつ看護師育成コース

    鳥取県内の病院に入職後1~2年の看護師を対象に在宅志向を持ち続けるための研修(2年間)
    を行う基礎コースと、基礎コース終了後の3年目看護師を対象として実践を強化する
    実践コースがあります。平成29年度からは実践コースが開講し平成30年度には訪問看護
    ステーションへの出向が始まります。

(2) 在宅医療・看護体験コース

    鳥取県内で病院に勤務している3年目以上の看護師を対象に、体験実習を行うコース

(3) 訪問看護能力強化コース

    訪問看護経験者や上記コース修了者に、訪問看護能力やスキルを強化するコース

3) 教育期間と講義・実習時間数

5月~翌年3月
 Ⅰコース(1年目) 集合研修、HOCノートによる個人課題  
 Ⅰコース(2年目) 集合研修、HOCノートによる個人課題  
 Ⅰコース(実践)  集合研修、HOCノートによる個人課題+訪問看護ステーション実習5日間、
           訪問診療同行実習、地域包括支援センター実習、退院支援実習
 Ⅱコース( 半年間) 集合研修+訪問看護ステーション実習2日間、退院後家庭訪問実習
 Ⅲコース (1年間) 60時間以上の講義アラカルト式+訪問看護ステーション実習5日間
           遠隔講義システム(UCS)による講義

4) 講師

附属病院看護師、医学部保健学科・医学科教員、学外非常勤講師の訪問看護師、他大学教員、医師、
薬剤師、訪問看護事業者、ケアマネージャー、行政職など

5) 受講者・修了者
受講者数

平成29年度

 Ⅰ 在宅生活志向をもつ看護師育成コース(1年目):31名 (2年目):30名
   実践コース:10名
 Ⅱ 在宅医療・看護体験コース:23名
 Ⅲ 訪問看護能力強化コース:7名

修了者数

平成29年度

 Ⅰ 在宅生活志向をもつ看護師育成コース:29名
   実践コース:10名
 Ⅱ 在宅医療・看護体験コース:22名
 Ⅲ 訪問看護能力強化コース:7名

【公開セミナー・事業報告会等の開催】

1) 事業報告会開催
  第5回 事業報告会 平成30年3月5日 出席者 130名
2) T-HOCひのセミナー開催
  第3回 T-HOCひのセミナー 平成29年9月8日~9日 出席者 125名
3) T-HOC特別セミナー開催
  第5回 T-HOC特別セミナー 平成29年10月28日 88名
  第6回 T-HOC特別セミナー 平成30年3月5日 130名

【広報・研究活動】

1) 第22回日本在宅ケア学会学術集会にて発表
  「新人病棟看護師を対象とした2年間の在宅生活志向育成プログラムの効果」
  平成29年7月15日~16日
2) 第37回日本看護科学学会学術集会にて発表
  「訪問看護体験コース受講1年後に評価した病院看護師の在宅生活志向」
  平成29年12月16日~17日
3)第6回T-HOC特別セミナー シンポジウム(主催)
  「これからの在宅医療を見据えた人材育成のあり方」
  平成30年3月5日