麻酔診療科群

 麻酔診療科群では、麻酔管理の必要な手術の周術期管理、集中治療、人工呼吸器管理、ペインクリニック(疼痛緩和)、緩和医療などの診療活動を行っています。当科の性質上、常に各診療科と連携しながら診療を進める必要がありますが、強い協力体制のもと綿密に情報交換して日々の診療に取り組んでいます。

麻酔科

1. 手術業務

 手術部あるいは各科診療外来において、大学病院に求められる高度で先進的な手術や検査などの医療が、安全・快適な環境で実践できるよう最新の機材、技術を駆使し麻酔業務を行っています。麻酔法としては、全身麻酔、硬膜外麻酔、脊髄くも膜下麻酔(脊椎麻酔)、エコーガイド下末梢神経ブロックなどを単独または組み合わせて、患者の状態や術式に応じて最適な麻酔管理を行っています。
 平成29年度の手術症例数は、7978症例と前年度より約5%増加しております。麻酔科管理手術枠は月曜日から金曜日まで午前7列、午後7列の固定枠があり、4088件と前年度よりやや増加しました。ロボット手術やハイブリッド手術室を用いた低侵襲手術がますます増加している中で、手術の複雑化と長時間化がより進む中、術前術後の速やかな対処や効率的な運用など限られた環境で患者の手術待機期間の短縮に対応するのはもちろん、多忙な中でも安全で快適な手術環境を整えるべく努めていきたいと思います。

   平成27年度 平成28年度 平成29年度
 手術症例数  7,091  7,616  7,968
 麻酔科管理症例数  3,943  4,075  4,0088
2.麻酔科術前外来

 麻酔科術前外来は、月・木曜日に開設しています。
 当外来では日本麻酔科学会専門医または指導医が、各外科系診療科で手術を予定している患者さんのうち、麻酔管理上の注意が必要な方や重症の方、手術前日や当日入院を予定する方、小児の方を対象に、術前評価を実施しています。また術前麻酔説明ブースでは、タブレットを使用した解説ビデオの提供や、手術部看護師による低リスク患者さんの麻酔術前説明と術前評価など、術前の患者の負担が減り、安心して手術を受けていただける環境を目指しています。

 

   平成27年度 平成28年度 平成29年度
 麻酔科術前診察 1,201 919  961

いたみ緩和ケア科

1.外来診察

 ペインクリニック外来は、水曜日と金曜日に終日開設しています。日本ペインクリニック学会認定医研修施設である当ペインクリニック外来では、治療の難しい各種の痛み(帯状疱疹痛、慢性腰下肢痛、腰椎術後、がん性疼痛など)の治療を、各種鎮痛薬による薬物治療、近赤外線照射などによる理学療法、神経ブロックなどを用いて行っています。神経ブロックでは、症状に応じて局所麻酔薬だけでなく高周波熱凝固法やアルコール等の神経破壊薬を用いたブロックも施行しています。近年では、より安全に施行するため、超音波診断装置やX線透視を積極的に使用するようになりました。また、痛み以外でも四肢血流障害、突発性難聴、顔面神経麻痺、脳梗塞、多汗症などには神経ブロックや高気圧酸素療法などの治療法も提供しています。平成29年度の新規患者数は、74人でした。

  平成27年度  平成28年度 平成29年度
 ペインクリニック受診患者 2,540 2,336  2,243
H29年度 初診患者
 帯状疱疹関連痛  11人 
 頭頸部、顔面痛  13人
 脊椎疾患  7人
 肩、上肢痛  4人
 腰下肢痛  9人
 がん性痛  7人 
 脳脊髄液減少症  2人
 その他  21人
 合計  74人
2.入院診療

 いたみ治療の軸足を外来診療に置いているため、当科入院での入院患者数は少ないですが、当科入院患者だけでなく各診療科から紹介を頂いた患者さんに対しては、入院中に各種神経ブロックや薬剤調整など痛み治療に特化した専門性を生かして、緩和ケアチームに参加し、患者さんの症状緩和についてサポート活動を行っています。ペインクリニック外来の診療日も担当医も少なく、患者にはご負担をかけることもありますが、治療期限を限った濃厚な治療を実施することで、速やかな日常生活への復帰を目標にして、患者のモチベーションを高め、治療結果向上につなげたいと考えています。

麻酔科診療科群 統括医長 遠藤 涼 記