高次集中治療部
当院の第一集中治療室の患者さんは半分以上が手術後の患者さんです。さらにその半分以上は心臓手術後の患者さんです。私たちは、より早い人工呼吸器からの離脱、より早い飲水・食事の開始、より早い立位・歩行の開始を目指しています。これには患者さんご自身、またご家族の協力が不可欠です。患者さんも手術の翌日は寝ていたいとお考えかもしれませんが、呼吸器合併症や深部静脈血栓症といった合併症を減らすためにも、昼間は起きて夜は眠るというメリハリのある生活をしていただきます.ご理解、ご協力お願いいたします。日々近くに医師、看護師、理学療法士、薬剤師、臨床工学技士、歯科衛生士がおり、多職種で連携し、チーム医療で患者さんにとってよりよい治療、ケアを提供します。ご意見、ご感想がありましたら、遠慮無くおっしゃってください。
平成28年度統計
本統計は平成28年4月1日から平成29年3月31日の間に第1集中治療室(ICU1)に入室された患者さんを対照としています。昨年度と比較して、入室患者は391人から492人と大幅に増加しました。緊急手術の増加や、心臓血管外科手術症例の増加に伴うものと考えられます。一方平均滞在日数は4.5日から4日へと短縮しました。平均年齢は65歳で男性274人、女性218人でした。診療科別では例年通り心臓血管外科が4割程度を占め、整形外科、消化器外科と続いております。死亡退室された患者さんは16人と昨年より減少いたしました。
当ICUは本年度から集中治療学会データベースのJIPADに登録を開始しました。来年度以降は重症度評価など詳細な統計結果がお示しできる予定です。
H28年度入室患者 |
|||
入室患者 |
492人 |
術後 |
325人 |
死亡退室 |
16人 |
66% |
|
ICU死亡率 |
3.25% |
在室日数 |
|
性別 |
平均 |
4 |
|
男 |
274人 |
中央値 |
3 |
女 |
218人 |
年齢 |
|
緊急入室 |
155人 |
平均 |
65.04113 |
32% |
中央値 |
72.19178 |
診療科別 |
|
心臓血管外科 |
219 |
整形 |
59 |
消化器外科 |
54 |
泌尿器 |
23 |
口腔外科 |
22 |
小児科 |
16 |
耳鼻科 |
15 |
胸部外科 |
13 |
神内 |
12 |
消化器内科 |
8 |
呼吸器内科 |
7 |
脳外科 |
6 |
循環器内科 |
5 |
眼科 |
4 |
救急 |
4 |
血液内科 |
4 |
形成外科 |
4 |
女性診療科 |
4 |
脳小 |
3 |
小児外科 |
3 |
精神科 |
2 |
精神科 |
2 |
乳腺 |
1 |
放射線 |
1 |
腎臓内科 |
1 |
森山直樹 記
平成28 年度 ICUⅡ、HCU年次統計
本統計は平成28年4月1日から平成29年3月31日の間にICUⅡまたはHCUに入室した患者を対象としています。複数回入室している患者様も延べ数として計上しています。なお、各病棟とも入室患者数が0だった診療科(小児科など)については割愛して表記しておりますので御了承下さい。
ICUⅡの入室患者数は、延べ1,455名でした。内訳は男性840名、女性615名で、年齢は16~97歳(平均68.4歳)でした。在室日数は1~59日(平均3.4日)、緊急入室は317例で全体の21.8%と、いずれの数値も概ね例年通りでした。診療科別では、消化器外科、心臓血管外科、胸部外科、泌尿器科、脳神経外科、女性診療科など外科系各科の入室数が多くなっています。前年度大きく増加していた循環器内科の入室患者数は元の水準に戻りました。CCU、HCUなど他病棟での運用が増えた影響と推定されます。耳鼻咽喉科の入室患者数も前年度は例年並みに戻りました。例年と同じく、内科系各科では緊急入室の割合が高めで在室日数が長くなる傾向があり、外科系各科は予定手術後の短期間の入室が多い状況には変わりがありません。本年度は前年度ほど月別の全入室患者数の波がみられませんでした。。
HCUの入室患者数は、延べ684名で前年度を下回りました。長期入症となった患者様が複数いらっしゃった影響と思われます。内訳は男性340名、女性344名、年齢は15~99歳(平均69.5歳)でした。在室日数は越年例については365日を上限として算出していますが、1~365日(平均5.5日)となり、例年より長めとなっています。緊急入室は321例で全体の46.9%と例年並みに戻りました。診療科別では、循環器内科、乳腺内分泌外科、消化器外科、脳神経外科が多数を占めました。とくに循環器内科の入室患者数は前年度から4割増で、逆に消化器外科、脳神経外科は前年度の6割に減っていました。越年例があった胸部外科、歯科口腔外科などは平均在室日数が大幅に長くなっていますが、それ以外はここ数年の傾向と同様だった模様です。
ICUⅡおよびHCUは、予定手術後早期や一般病棟で発生した急変した患者様を受け持ちつつ、ICUⅠや救命救急センター病棟、CCUから一般病棟への橋渡し的な役割の病棟として、平成28年度も運営させていただきました。患者様や御家族におかれましても、各診療科の担当医、日当直医、病棟医長の皆様や、各病棟およびベッドコントロールセンターの皆様にも、御協力をいただき有難うございました。
今後も円滑な病棟の運用が継続できることと、それが患者様の利益につながることを願います。
(高次集中治療部 高野周一)