医療福祉支援センター
医療福祉支援センターは患者さんやご家族に安心して良質な医療をお受けいただけるよう、万全の体制で各種の医療サービスを提供することを使命とし、“迅速" “信頼" “思いやり" をモットーに日々業務に励んでおります。業務内容は多岐にわたりますが、主として患者さんの外来診療、入院治療、退院支援、在宅医療、医療福祉相談などに関する業務を行い、他の医療機関や介護・福祉施設との連携を図っています。また、鳥取県西部圏域における医療連携の拠点として、最近は地域連携ネットワークや地域連携パスを積極的に活用しています。当センターの役割は年々重要性を増していますが、地域医療の先導的な役割を果たすべく、重点を置いている業務は以下のとおりです。
1. FAXによる外来診療予約対応
2. セカンドオピニオン外来の受付
3. 各種医療福祉制度、公費負担医療制度の案内
4. 退院支援
5. マルトリートメント業務
6. 地域医療連携パスの推進
7. ロシア(ウラジオストック)ネブロン医療センターとの交流
8. 鳥取県西部圏域の医療連携
平成27年度の医療福祉支援センターへの紹介件数を経年的変化とともに示します。各診療科や病棟から医療連携、医療福祉制度の相談などで医療福祉支援センターに紹介された平成27年度の件数は前年度より増加し、合計2,274件でした。平成25年度に新設された入退院センターと常に連携しながら、患者さんの円滑な入退院を行うために、ベッドコントロール、入院オリエンテーション、検査説明、入院連絡説明、手術前説明を行っています。
以下に業務内容毎の業績を示します。
1. FAXによる外来診療予約
病院、開業の先生方から診療科への診察依頼やCT、MRI、RI、PETなどの検査依頼をFAX予約で受付けています。FAX予約された患者さんは診察や検査が予約時間内にスムーズに実施ができるように調整しています。FAX予約件数の推移をみると、年々増加し、平成27年度は9,813件で病院全体の書面による紹介患者数の80.9%を占め、FAX予約の重要度が増しています。また、FAXによる逆紹介も増加しており、平成27年度は442件でした。
2.セカンドオピニオン外来の予約受付業務
かかりつけ医や2次医療圏以外の施設からも当院で行っている専門診療を受けていただくために、FAXまたは郵送でセカンドオピニオン外来の予約を受付しています。平成27年度は48件でした。一方、セカンドオピニオンで逆紹介するケースも7件ありました。
3.各種医療福祉制度、公費負担医療制度の案内
医療福祉支援センターでは患者さんが利用できる各種の医療福祉制度、公費負担医療制度のご案内を行っております。医療福祉制度では身体障害者福祉、障害年金、傷病手当金等、また、公費負担医療制度では結核医療、更生医療、育成医療、精神通院医療、養育医療、特定医療費(指定難病)、小児慢性特定疾病医療費、肝炎治療助成、生活保護等の紹介と申請に関する案内業務を行っています。
4.退院支援
入院における急性期治療が順調に経過した患者さんに対し、主治医からの要請により転院調整や在宅支援を行っています。転院調整は一般病院、回復期リハビリテーション病院、療養型病院などへの転院を希望される患者さんに対して病院の紹介や確保を行います。在宅支援は介護や医療処置を必要とする患者さん、癌末期の患者さん、認知症、運動機能障害や重度身体障害を有する患者さんなど、退院後に在宅での医療支援を望まれる患者さんに対して、地域の訪問看護ステーションや医療機関と協力して支援を行っています。これらはすべて25年度に新設された入退院センターと連携しています。退院支援患者数は平成27年度転院調整956件、在宅支援5,224件となっており、前年度に比して転院調整が約100件、在宅支援が約300件増加しました。退院支援のために行われた地域の医療施設とのカンファレンス(支援会議)数と患者さんとの面談数(延べ数)もそれぞれ740件、5,167件と増加しました。
なお、平成28年度の診療報酬改定により、患者さんへの手厚い積極的な退院支援に対する評価がより高まりました。本院はこれに呼応すべく、病棟の各セクションに専任の退院支援看護師を配置し、退院に向けて迅速かつ的確な支援を強化する態勢を整えました。
5.マルトリートメントへの対応
児童虐待、家庭内暴力(DV)などのマルトリートメントに対して医療支援を行っています。マルトリートメントを疑う事例については院内外での連絡体制を整え、緊急対応もできるようにしています。平成27年度は141件のカンファレンスを行いました。
6.地域医療連携パス
これまで大腿骨頸部骨折と脳卒中に関して、西部地区の医療機関や回復期リハビリテーション施設と協力して地域連携パスを運用してきました。4ヶ月に1回の定期的カンファレンスも行い、問題点を共有しています。胃がん、大腸がん、肝がん、肺がん、乳がんの5大がんに対するがん診療においても地域連携パスを作成し、運用しています。かかりつけの開業医との間で連携パスの活用が期待されます。平成27年度は大腿骨頸部骨折の連携パスが9件、脳卒中連携パスが206件、がん診療連携パスが23件(胃がん12件、大腸がん4件、乳がん7件)使用されました。
7.ロシア(ウラジオストック)ネブロン医療センターとの交流
ロシア極東のウラジオストックにあるネブロン医療センターからの患者を受け入れています。平成24年6月の第1例目の紹介以降、平成28年3月までに延べ41名の患者受け入れ相談、その他検査等に関しても8件の相談を受けました。相談内容は多岐にわたり、受け入れ困難な場合でも誠実な対応を心がけています。
8.鳥取県西部地域の医療連携
鳥取大学医学部附属病院医療福祉支援センターと鳥取県福祉保健局及び鳥取県西部医師会の三者が協力し、毎年1回鳥取県西部地区医療連携協議会を開催しています。本協議会は、患者さんのニーズにあった医療連携を目指しています。平成27年度は平成28年2月18日に 「地域包括ケアシステムの構築に向けて ~認知症の一事例を通して~」 というテーマでシンポジウムを実施し、活発な議論を行いました。
また、ICTを活用した医療連携として、電子カルテ相互参照システム「おしどりネット」を運用して患者さんの診療情報の共有を行っており、平成28年3月末までに鳥取県東部圏域を含めて31医療機関が参加、平成28年度には情報提供病院の追加や島根県の医療連携ネットワーク「まめネット」の接続医療機関の参加など、さらなる拡充が計画されています。「おしどりネット」は患者情報の一元管理によりスムーズな病-病、病-診の連携を促進しており、鳥取県全域並びに隣県との医療連携を担う重要なツールになっています。
(文責:センター長 前垣義弘)