心臓血管外科

 当診療科では、心臓血管外科に関する高度専門診療をおこなっている。

 入院診療では、心臓血管外科領域における標準的な術式はもちろんのこと、小切開心臓手術、心拍動下冠動脈バイパス手術、弁形成術、胸部あるいは腹部大動脈瘤に対するステントグラフト治療、内視鏡的大伏在静脈採取など、術後の日常生活の質的改善や臓器機能の温存を重視した低侵襲手術を積極的におこなっている。本年度は、大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的人工弁植え込み術を開始し、特に高齢者や併存疾患が多い患者を中心に施工している。また、局所麻酔による下肢静脈瘤手術など短期入院手術を積極的におこなっている。一方、心臓移植を必要とするよう重症心不全に対する植込み型補助人工心臓を用いた治療にも中国地方唯一の認定施設として取り組んでいる。

 去年度の活動状況は、入院患者総数 446、手術件数471(前年比 −26)であった。
領域別の手術件数は、心臓外科176、血管外科295である。領域別にみると、虚血性心疾患25、弁膜症64、先天性5、胸部大動脈82、腹部大動脈92、末梢動脈疾患203であり、特に高齢者の弁膜症やステントグラフトを中心とした大動脈疾患が増加した。経カテーテル大動脈弁置換術は11例に施行した。ステントグラフト治療による大動脈瘤手術数は84例であり、中・四国地方でも有数の症例数を誇っている。

 今後、高齢者人口の増加に伴い、ますます動脈硬化性疾患が増加することが予想され、かつ、他疾患との合併など症例の重症化、複雑化も予想される。このような背景の中で、当科では、低侵襲手術を含む先端医療を積極的に取り入れつつ、循環器内科ともタイアップし、ハートチームとして、重症例、緊急例にも24時間体制で対処できる診療体制を整えている。
                                                                                                                                                                              (西村元延)