形成外科

 形成外科は、熱傷、悪性腫瘍切除後の再建、外傷、瘢痕拘縮、難治性潰瘍、褥瘡、種々の先天奇形、良性腫瘍などの様々な組織欠損や醜状変形を対象として、整容あるいは機能的な観点に基づいて治療し、「生活の質(Quality of Life)」の向上に貢献する外科系分野の一つです。当科は、平成15年4月1日以来、日本形成外科学会より形成外科認定施設として認定されており、形成外科学を教育し、形成外科専門医を育成できる施設です。

 平成27年度には、手術件数は326件であり、年余にわたり年間300件以上の手術件数を維持しています。手術の内容は、難治性潰瘍・褥瘡、腫瘍切除、腫瘍切除後の再建、熱傷、先天異常、ケロイド、肥厚性瘢痕、リンパ浮腫など各種形成外科の分野を幅広く網羅しています。また、他科との合同手術が2割以上を占め、外科系のみならず、内科系の各科とも連携をとって手術を行っています。

 形成外科の手術の中でも、最も難易度が高い手術とされるのが、マイクロサージャリーによる遊離皮弁移植術です。悪性腫瘍切除後の再建に活躍することが多い手技であり、平成27年度は30例行い、100%の成功率を収めています。中咽頭、舌、下咽頭、上顎など頭頸部再建などを主体としています。この成功率は、日本国内のみならず、世界でもトップクラスです。

 また、近年、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病が増加するに従い、糖尿病性足病変、末梢性血行障害といった患者が増加しています。また、高齢化に伴い、褥瘡やその他難治性潰瘍が問題となっています。これらに対する治療は、形成外科が大きな役割を担っています。当科でも、これらの手術件数が最も多いものとなっており、そして年々増加しています。外科治療のみならず、原疾患の治療や保存的治療を含め、放射線科、心臓血管外科、循環器内科、内分泌内科、腎臓内科といった複数の科と協力して行っています。また、在宅・施設での創部管理について、退院時や外来で家族や介護者に指導を行い、他院との連携をとりながら治療に取り組んでいます。

 褥瘡は、院内で褥瘡対策委員会を設置し、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、栄養士、薬剤師など他職種で協力して院内の褥瘡患者、褥瘡ハイリスク患者の対策を行っています。また、当科は、日本褥瘡学会在宅褥瘡医療ネットワーク委員会鳥取県代表であり、年1回鳥取県在宅褥瘡セミナーを開催し、地域の褥瘡予防対策・治療の普及と啓蒙に努めています。

 再生医療の分野では、平成23年10月に厚生労働省の定める「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」の承認を受け、全国初の「自己皮下組織由来細胞移植による乳房再建術」の臨床研究を5名の方に実施し、終了することができました。今回の臨床研究の結果を基にし、この方法が今後、乳房再建法の選択肢のひとつとして発展することが期待されます。 

 形成外科は、創を治すだけではなく、創をより良くする、ひいては「より良く生きる」ことをめざしています。形成外科の役割は、従来から行っている頭頚部再建、乳房再建、急性期の重症顔面外傷、熱傷、フットケアを含む下肢血行障害、褥瘡、血管異常、再生医療、難治なケロイドなどの治療はもちろんのこと、常に新しい分野へ挑戦をしていきます。より広く形成外科を知って活用していただけるよう努めていきたいと思います。

 

                                          (文責:陶山 淑子)