検査部
検査部では、高度な医療提供を支援する臨床検査のため、部員の資質技能向上を目指しています。
専門知識を有する臨床検査技師が、多項目検査測定装置による血液検査、細菌学的検査などの検体検査や生理機能検査を、高品質の臨床検査により保証し安心・安全な診療に貢献しています。
Ⅰ.質の高い臨床検査の保証
1.検体検査(微生物検査部門、生化学・免疫血清検査部門、血液検査部門、一般検査部門、輸血検査部門)
微生物検査部門は、日常微生物検査業務と共に、感染制御対策チーム(ICT)に1名の技師が参画しています。毎週、毎月の検出菌集計を行うと共に、ICTカンファレンス、感染症カンファレンス、ICT病棟ラウンド参加しカンファレンス記録作成を担当しています。26年度は病棟環境調査培養を行い感染制御部の支援を行いました。感染制御部に専任する技師の業務は質的要求度、業務量ともに増加しています。26年11月に検査機器更新を行い、同定感受性検査機器ならびに同定検査に質量分析装置を新規に導入し検出菌結果報告、感受性検査の所要日数短縮化をはかりました。資格取得は27年1月に感染制御認定微生物検査技師(ICMT)を1名取得しました。
生化学・免疫血清部門は自動分析装置による迅速報告に取り組み外来診療を支援しています。外来検体検査の迅速報告を行うとともに、外来迅速検査加算対象項目について、検査所要時間調査を定期的に行い迅速報告の検証を行っています。ウイルス肝炎検査の結果フォローのデータ抽出にも協力しています。 治験検査、特殊検査の検体管理業務を行い、診療科の診療・研究に協力しています。
血液検査部門は、知識の習得と技術向上をはかり骨髄検査の質向上に努めました。骨髄検査は、骨髄画像報告も他の造血器検査と合わせて電子カルテに報告を行っています。
26年12月の血液検査機器更新により、血球計数装置の処理能力は従来の2倍となり外来検査報告時間短縮をはかりました。また、末梢血液像自動読取装置を導入し、血液像報告の迅速化と標準化を行いました。フローサイトメーターの最新機種を導入し、解析能力を向上しました。資格取得は27年2月に認定臨床染色体遺伝子検査師(遺伝子分野)を1名取得しました。
一般検査部門は、顕微鏡による尿沈渣精査検体について、尿中有形成分装置の機械法結果の迅速報告を行い、外来診療の迅速報告を行っています。検尿中に異型細胞出現が疑われる場合は、臨床医への報告にあわせ画像報告書報告を行っています。26年12月に尿定性機器更新を行いました。
輸血検査部門は、安全な輸血が行える輸血検査、輸血業務体制を継続しています。血液型検査、交差適合試験は、緊急時にも対応できる24時間検査体制で取り組んでいます。
26年度は時間外のO型血液製剤の緊急出庫が毎月1~2回の頻度に増加しました。26年5月よりコンピュータークロスマッチを開始しました。これにより該当する患者の血液製剤出庫にかかる所要時間を短縮しました。時間外は20%がコンピュータークロスマッチによる出庫でした。27年1月より輸血検査機器を更新し運用開始しました。
中央採血室は、採血患者数は24年度80680名、25年度83652名、26年度83999名の採血件数になりました。車椅子の来室患者数も増加し、患者介助の機会も増加しました。
平成26年12月に採血システムを更新しました。「患者に優しい安心・安全な採血室」を目指し、自動採血・採尿受付機2台(1台追加購入)、採血架台8台(自動昇降採血台)、採血管準備装置1台(更新)を行いました。採血システム更新では、ICチップいりRFIDラベルを採用し、検体統括管理システムによる検体管理を行い特に中央採血室の採血時の検査採血漏れ、検体紛失などのリスク回避をはかりました。採血架台は、固定の高さであった机の高さを患者さんの体格に合わせ高さ調整可能であり、番号が聞き取りにくかった採血時の番号も呼出しモニターを設置し、高齢者にも優しい中央採血室となりました。
病棟払出し採血管はRFIDラベル採取管を患者1名ずつシート袋による個別化包装配布運用を開始しました。払い出し時の採血管漏れ防止のため機器チェック後、病棟配布しています。
2.生理部門(心電図検査、呼吸機能検査、超音波検査、聴力検査、神経生理学検査) 生理検査部門では、患者さんに安全・安心した生理検査を受けていただくために技能の向上とともに接遇、検査環境整備に努めています。
生理検査の充実のため26年度臨床検査技師1名の増員が認められました。検査件数では、超音波検査は26年度も引き続き件数増加が高くなりました。技師によるエコー検査として26年9月より腹部エコーを1名増員し2名体制としました。関連する診療科カンファレンスに参加し業務の精度向上に努めています。
超音波検査23、24、25、26年度の技師検査実績は、23年度以降、増加を続けています。心臓エコーは、745、1369、2021、2474件に増加しました。技師による心臓エコー実施率では22年度20%は26年度65%となりました。腹部エコーは850、893、911、992件でした。頸動脈エコーは784、892、1005、939件でした。下肢静脈エコーは990、1122、1093、1150件でした。甲状腺エコー(内分泌、耳鼻科)は122、363、500、564件に増加しました。
病棟出張のエコー検査は心臓エコー、下肢静脈エコー、頚動脈エコーが増加しています。心臓エコーはCCU開設に伴い出張検査は24、25年70、136件の件数は26年330件に急増しました。
分野別の23、24、25、26年度の検査件数は、循環器機能検査は、16785、18051、19157、19259件、呼吸機能検査の件数は6708、6961、8581、12994件に増加しました。新生児聴力検査(AABR)も出張検査として395、406、513、480件と実施件数が伸びています
Ⅱ.未来の力を育てる
検査部教育プログラムにそって部員の卒後教育を行い人材育成に取り組んでいます。その中では専門分野の認定資格取得を推奨し、部員の資質向上に努めています。全国学会、地方会の学会ならびに研修会の講演、発表、論文発表を行いました。検査部勉強会は毎月一回開催し、研究発表、業務、採血関連の研修を行っています。
Ⅲ.チーム医療参画・.臨床検査情報発信
チーム医療への参加では、糖尿病支援チームに2名が参加し、糖尿病教室で月2回糖尿病の血液検査と動脈硬化の超音波検査の講義を行っています。栄養サポートチーム(NST)は2名が患者の血液検査値の分析を行い週1回カンファレンスとNST病棟ラウンドに参加しています。26年度も院内NST研修会講義を行いました。ICT活動は1名を専任業務に配置し、検出菌統計、病棟ラウンド、ICTラウンド、感染症カンファレンスに参画しています。
検査部情報発信「検査部だより」は毎月1回定期発行を継続しています。臨床検査について院内職員、患者様に理解してもらいやすい紙面づくりに工夫しています。中央採血室前に患者用配布を行い、毎月20~30名の利用があります。「検査部だより」は検査部ホームページにも掲載しています。
Ⅳ.業績
平成26年度学術業績
論文発表 10編 (全国5、地方5)
学会発表 22演題 (全国10、地方22)
学術表彰 宮木真里 (第105回日本循環器学会中国地方会コメディカルセッション優秀賞)
Ⅴ.実績
検査部 原 文子