手術部

 鳥取大学医学部附属病院の手術件数が,平成26年度は15年ぶりに前年度より減少しました。(表1)。本年度は,麻酔科医の減少に伴い麻酔科管理手術枠が1枠減になり,ある程度の減少はやむを得ないと思っていましたが,減少率は1.3%で,最小限にとどまったのではと考えています。
 これは,麻酔科管理手術枠が減少した分を局所麻酔枠に振り替えたことや,少なくなった枠を補うべく,効率的運用を心がけていただいた,外科系各科医師,麻酔科医師,手術室看護師,臨床工学技士はじめ,手術部に関わるすべて方々のご尽力・ご協力のおかげと思います。
 7月より念願であったハイブリッド手術室(17番手術室)の運用が開始となりました。主に心臓血管外科のステントグラフト内挿術や循環器内科のペースメーカーや埋め込み型除細動器の植え込み術に活用していただいております。
 患者さんに,これまで以上に安全で良質な医療を提供できる手術室を目指していきたいと考えています。

手術部 谷口雄司


○最近5年間の手術件数の推移(表1)
        年度    手術件数
  平成22年     6,489
  平成23年     6,549
  平成24年     6,737
  平成25年     7,168
  平成26年     7,070

 

○各診療科別手術件数(表2)           
       診療科   手術件数    診療科  手術件数
循環器内科   103 放射線科            0
呼吸器・膠原病内科     1 女性診療科        584
精神科         41 麻酔科          27
消化器外科       516 歯科口腔外科        235
心臓血管外科       443 脳神経外科        278
乳腺・内分泌外科       168 救急災害科           6
整形外科       657 小児外科        127
皮膚科       253 形成外科        287
泌尿器科       416 胸部外科        232
眼科    1,888 小児科          31
耳鼻咽喉科・頭頚部外科       759 合   計     7,070

 

ICUⅡ、HCU年次統計


 本統計は平成26年4月1日から平成27年3月31日の間にICUⅡあるいはHCUに入室した患者を対象としています。複数回入室している患者様も延べ数として全ての入室について計上していますが、それぞれの病棟内での部屋移動については1回の入室として扱っています。なお、両病棟を通じて入室患者数が0だった診療科(小児科など)については割愛しておりますので御了承下さい。 ICUⅡの入室患者数は、延べ1,410名でした。内訳は男性824名、女性586名で、年齢は13~98歳(平均68.1歳)でした。在室日数は1~54日(平均3.4日)で概ね例年通りです。本年度の緊急入室は300例で全体の21.3%とこれもほぼ横這いでした。診療科別では、消化器外科、心臓血管外科、胸部外科、泌尿器科、脳神経外科など外科系各科の入室数が多くなっています。循環器内科の入室患者数が昨年の1.6倍に増えていますが、同科の平均在室日数は半減しており、ICUⅡの隣にCCUが新設された影響がうかがわれます。外科系各科では予定手術後の短期間の入室が多かったです。一方、内科系各科では緊急入室の割合が多く、入室患者数は少なめながら在室日数は長くなる傾向があり、いずれも例年同様でした。今年は相次いで病室の改修工事が行われたため、病室数が少ない中での運用となる期間がありましたが、月別の入室患者数の推移を見る限り数値上では大きな影響はありませんでした。 HCUの入室患者数は、延べ658名で患者総数として減少しています。内訳は男性331名、女性327名、年齢は13~99歳(平均66.7歳)でした。在室日数は1~120日(平均4.0日)で例年並み、緊急入室は286例で全体の56.5%と例年より高めでした。診療科別では、脳神経外科、乳腺内分泌外科、消化器外科、循環器内科が多数を占めました。内訳を見ると比較的低侵襲な治療後に一般病棟へ移動するまでの前病棟的な役割が見てとれます。その一方で今年も人工換気管理や感染症の遷延などで在室が長期化する患者様も多く、脳神経小児科や呼吸器膠原病内科の平均在室日数は1週間を超えています。HCUでも循環器内科の平均在室日数が大幅に減少しており、CCU開設の影響がうかがわれます。ICUⅡよりも病室の改修工事等に伴う制限の影響が大きかったようで、HCU全体の患者総数は昨年より大きく減少しています。 前年度と同様に、平成26年度もICUⅡおよびHCUは、予定手術後早期の全身管理を担う一方で、一般病棟で発生した急変例を受け入れる立場にもあり、ICUⅠや救命救急センター病棟から一般病棟への橋渡し的な役割を任される病棟として運営されました。急性期の通過点となる病棟であるが故に、そのベッドコントロールは各診療科や各病棟との臨機応変な連携相談の上に成り立っています。時には満床状態で御迷惑をおかけすることもありますが、各診療科の担当医、日当直医、病棟医長の皆様や、各病棟およびベッドコントロールセンターの看護師長、主任看護師、担当看護師の皆様の、厚い御理解と御協力を得てどうにか運営できております。 昨年と同じ言葉にはなりますが、今後も皆様の御協力の下で円滑に病棟の運用が得られることと、それが患者様の利益につながることを願っております。
                                       (高次集中治療部 高野周一)