心臓血管外科

 当診療科では、心臓血管外科に関する高度専門診療をおこなっている。
 入院診療では、心臓血管外科領域における標準的な術式はもちろんのこと、小切開心臓手術、心拍動下冠動脈バイパス手術、弁形成術、胸部あるいは腹部大動脈瘤に対するステントグラフト治療、下肢静脈瘤に対する高周波焼却療法など、術後の日常生活の質的改善や臓器機能の温存を重視した低侵襲手術を積極的におこなっている。また、高周波焼却療法に限らず、下肢静脈瘤手術では局所麻酔による1泊2日の短期入院治療をおこなっている。
 一方、心臓移植を必要とするよう重症心不全に対する植込み型補助人工心臓を用いた治療にも中国地方唯一の認定施設として取り組んでいる。去年度、第1例目に成功し、本年度も2例におこなった。
 本年度の活動状況は、入院患者総数 359、手術件数497(前年比+108)であった。領域別の手術件数は、心臓外科192、血管外科305であった。領域別にみると、虚血性心疾患25、弁膜症64、先天性8、胸部大動脈82、腹部大動脈70、末梢動脈疾患207であり、特に高齢者の弁膜症やステントグラフトを中心とした大動脈疾患が増加した。ステントグラフト治療による大動脈瘤手術数は105例であり、中・四国地方でも有数の症例数を誇っている。
 今後、高齢者人口の増加に伴い、ますます動脈硬化性疾患が倍増することが予想され、かつ、他疾患との合併など症例の重症化、複雑化も予想される。このような背景の中で、当科では、低侵襲手術を含む先端医療を積極的に取り入れつつ、循環器内科に新設されたCCUともタイアップし、重症例、緊急例にも24時間体制で対処できる診療体制を整えている。またハイブリッド手術室も完成し、経カテーテル的大動脈弁置換術も実施可能な体制となっている。

                                              (西村元延)