胸部外科診療科群

胸部外科診療科群は胸部外科と乳腺内分泌外科を共同で診療しています。現在のスタッフは3名の大学院生を含めて合計13名で、手術部やHICUなど各部署での仕事を兼ねながら、日常診療をしています。胸部外科の診療を中心に行っているのは8名です。診療活動は毎朝7時45分の始動を原則としており、曜日毎に抄読会、手術手技検討会、肺がんカンファレンス、術前検討会、術後検討会を行っていますが、これも胸部外科診療科群として合同で行っています。胸部外科の平成26年度の手術件数は別表のとおりで、合計238件(前年度比-5件)でした。手術件数は手術枠による制限のある中で、特に肺癌手術を増加させることに重点を置いています。その成果として原発性肺癌手術は131件(前年度比+24件)でした。また、当科の得意分野である胸腔鏡手術も196件(前年比+5件)で増加しており、低侵襲手術として定着しているとともに、術式を普及させるためにしばしば他施設からの手術見学も受け入れています。ダ・ヴィンチによるロボット支援手術は16例(肺癌9例、胸腺疾患5例、後縦隔腫瘍2例)(前年比+2件)でした。少しずつですが、年々増加しており、良好な成績が集積されています。当院は呼吸器外科領域では国内最多の経験症例数であり、引き続き安全なロボット手術手技の確立に努めていきたいと思います。
 診療ガイドラインに沿った標準治療を診療科の理念としており、入院患者には以前からクリティカルパスを積極的に適応していますが、近年は高度・先進医療の導入のため、倫理委員会での承認に基づき、他施設共同臨床試験の実施件数が増加しています。また、他科との診療体制の強化は重要課題であり、呼吸器内科、放射線科と毎週行う肺がんカンファレンスで治療方針を確認し、緊密な連携を取っています。 また、月1回行う胸部疾患カンファレンスでは問題症例を検討し、治療経過の確認を行っています。地域連携では西部医師会と合同の胸部X線勉強会を継続しており、肺がん検診の普及と精度向上に努めています。肺がん地域連携パスの運用も含めて地域との前方連携・後方連携は地道に続けており、市民への啓発活動も含めてさらに推進して行きたいと思います。今後も引き続き地域医療に貢献しながら、われわれの行っているハイレベルの呼吸器外科医療を内外に向けて発信して行きたいと思います。

(文責:胸部外科科長 中村 廣繁)

表 平成26年度(平成26年4月~平成27年3月)手術患者

疾患名

手術患者数

原発性肺癌

131(110)

転移性肺腫瘍

21(18)

良性肺疾患

8(8)

自然気胸

24(24)

膿胸・胸膜炎

3(3)

縦隔疾患

16(12)

胸膜中皮腫

3(2)

胸膜腫瘍

2(0)

胸壁疾患

1(1)

胸部外傷

4(0)

手掌多汗症

13(13)

横隔膜疾患

2(2)

その他

10(0)

238(196)

(  )は胸腔鏡手術